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第53話 爆発した理科準備室
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「伏せて!」
皇帝は叫んだかと思うと、末明と柚吏の上に覆いかぶさった。
その瞬間、ボンッ…と大きな音を立てて理科準備室が爆発。
廊下側の窓ガラスが爆風で吹き飛んだ。
床には粉々になったガラス片が飛び散り、割れた窓ガラスからはもくもくと黒い煙が流れ出してくる。
「…大丈夫ですか…?」
背中側の全身に思いっきり飛び散ったガラス片を浴びているのは皇帝なのに、柚吏と末明に声をかけ
「早く逃げましょう!」
と促す。
「お前、血が出てるじゃねぇか!」
心配する柚吏にも、
「そんなことを心配している場合ですか!この爆発を隠れ蓑にして抹殺されたいですか?」
声を荒げる皇帝。
「でも、さ、紗里は…?!」
末明が叫んだとき、
「私は平気」
廊下の天井で息を潜めていた紗里が着地。
「急ごう!」
あらためて声をかけた。
「理科準備室で皇帝に縛られて囮になってたんじゃなかったの?」
退避しながら末明が聞く。
「理科準備室で囮になってるっていう話を周知するために皇帝がウソをついただけ」
「…え?そんな必要あった?」
「ええ、もちろんです。これで、アナタたちを襲おうとしている輩が伊賀忍者であるということがハッキリしました」
皇帝の言葉のあと、
「実は昨日あのあと、扇を通じて皇帝から私に連絡があったの。それでしばらく電話で話してて今回の作戦を思いついたんだよね。相手が引っ掛かるかどうかはわからなかったけど、まずは皇帝が白鷺学園に通う人物として匿名で私を囮に伊賀忍者へ交渉する手紙を送ったの」
紗里が昨日のこれまでの流れについて教えてくれた。
「そうだったの?私が知らない間にも着々と話は進んでたんだ…?」
「うん。でもまぁ伊賀の忍者もすぐには信用しないだろうから、誰が手紙を出したのかを見張る忍者を狙う作戦だったってわけ」
「なるほど。でも、どうして相手が伊賀の忍者だと…?」
そう末明が聞いたとき、理科準備室のほうから連続する激しい爆発音が聞こえてきた。
皇帝は叫んだかと思うと、末明と柚吏の上に覆いかぶさった。
その瞬間、ボンッ…と大きな音を立てて理科準備室が爆発。
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「…大丈夫ですか…?」
背中側の全身に思いっきり飛び散ったガラス片を浴びているのは皇帝なのに、柚吏と末明に声をかけ
「早く逃げましょう!」
と促す。
「お前、血が出てるじゃねぇか!」
心配する柚吏にも、
「そんなことを心配している場合ですか!この爆発を隠れ蓑にして抹殺されたいですか?」
声を荒げる皇帝。
「でも、さ、紗里は…?!」
末明が叫んだとき、
「私は平気」
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「急ごう!」
あらためて声をかけた。
「理科準備室で皇帝に縛られて囮になってたんじゃなかったの?」
退避しながら末明が聞く。
「理科準備室で囮になってるっていう話を周知するために皇帝がウソをついただけ」
「…え?そんな必要あった?」
「ええ、もちろんです。これで、アナタたちを襲おうとしている輩が伊賀忍者であるということがハッキリしました」
皇帝の言葉のあと、
「実は昨日あのあと、扇を通じて皇帝から私に連絡があったの。それでしばらく電話で話してて今回の作戦を思いついたんだよね。相手が引っ掛かるかどうかはわからなかったけど、まずは皇帝が白鷺学園に通う人物として匿名で私を囮に伊賀忍者へ交渉する手紙を送ったの」
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「うん。でもまぁ伊賀の忍者もすぐには信用しないだろうから、誰が手紙を出したのかを見張る忍者を狙う作戦だったってわけ」
「なるほど。でも、どうして相手が伊賀の忍者だと…?」
そう末明が聞いたとき、理科準備室のほうから連続する激しい爆発音が聞こえてきた。
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