ハーレムキング

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2章 セイクリールの歩き方 編

ハーレムキングは神聖都市に行く

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 旅はいい。何がいいって? 女の子と二人きりという構図が素晴らしい!

 隣を歩く神官少女は可憐で美しい。風に靡く艶やかな銀髪、ふりふりと揺れる慎ましいアクセサリー、どこかからか香る甘い香り……うむ、最高だ!

「そうは思わないか!」

「思いません! というか、心の声が全て漏れてましたよ! 何が“二人きり”ですか。距離感を間違えないでください! こっちにぐいぐい詰めてこないでください」

「ふむ……オレが一歩近づくたびに、君の顔が赤くなる。それはつまり、距離を詰める価値があるということではないのか?」

「ち、違います! これは……そ、そう、日差しのせいです! あと、あなたが暑苦しいからです!」

「なるほど、オレは太陽のように熱く眩い存在というわけだな! それは喜ばしい! 全人類に必要とされる存在と肩を並べられるとはな! ふはははははっ!」

「もう! 話を聞いてぇぇぇっ!」

 サラのツッコミが今日も冴えている。

 村を出て、早くも数時間。
 オレたちはセイクリールへと続く街道を歩いていた。サラによるともうすぐ着くらしい。

 ちなみに、村からは悪霊退治の礼と称して馬車を譲られそうになったが、サラが「神聖都市セイクリールの神官である私は施しは受けないのです。当たり前のことをしただけですから」と言って断った。
 なので、移動は徒歩だ。

 まあ、苦ではないから気にしていない。むしろ、サラの善良な人間性を垣間見ることができたことが喜ばしいくらいだ。
 村人の前ではあんなんでも、オレの隣を歩く彼女は、ツンとデレの間を揺れ動いているしな!

「……あの、なんでニヤニヤしてるんですか? 視線を感じて怖いんですけど」

「ずっと君を見ていたい、そう思ったのだ!」

「っ……か、揶揄わないでください! 別に私はあなたのことなんてなんとも思ってないんですから!」

 と、言いつつも、サラの口調は踊っていた。
 実に可愛い。オレは幸せ者だ。

「それで、本当にセイクリールに行ってどうするんですか?」

 一つ咳払いをしたサラが空気を一新した。

「セイクリールに行く理由? 簡単だ! 新たな出会いを求めて、だな!」

「……」

「いや、冗談だ。半分だけな」

「やっぱり冗談じゃないんですね!? 私という人がいながら他の女性との出会いを求めるなんて最低です!」

 サラが早足で先を歩き始める。だが、彼女の背筋はまっすぐで、足取りも迷いがない。

「ふむ……君の歩く姿も、なかなかに絵になる。額縁に入れて寝室に飾りたいくらいだ。最高の目覚めになるのは間違い無いだろう! それに、その口ぶりだと君はオレのことを既に受け入れてくれたように聞こえるのだが? それもまた最高だ!」
 
「や、やめてください。褒め方が気持ち悪いんですけど……」

 そう言いながらも、耳がほんのり赤いのは見逃さない。うん、これはもうデレ始めている。

 しかも否定しないとは……うむ、やはりサラは最高だ!



 やがて、丘を越えた先に白く輝く街が姿を現した。

 高い石の外壁。真っ直ぐ伸びる大理石の道。
 その先に、空を衝くように建つ巨大な尖塔があった。

「ここが、神聖都市セイクリールか……」

「ええ。世界でも最も格式高く、神の言葉を最も大切にする、“祈りの都”とも呼ばれています」

「ふむ……つまり、美しい女性がたくさんいると」

「どこからそう繋がるんですか!?」

 サラが振り向いて詰め寄ってきた。
 だが、その顔はどこか安心したようにも見えた。

「ここでは、ちゃんと振る舞ってくださいね。あなたみたいな王様が暴れたら、大騒ぎになりますから」

「心配するな。オレは上品で繊細だ。貴族のように優雅に、騎士のように誠実に、王のように堂々と振る舞う。それこそがハーレムキングだ!」

「……あなたの言ってるところが信じられないんですけど」

「むしろ言わなければ伝わらない。女性は言葉での説得に弱いと聞くからな!」

「間違ってはないけど、悪用してる!」

 そうして騒がしくも、楽しげなやり取りを続けながら、オレたちは聖都の門をくぐった。

 ここが、神聖なる街——そしてきっと、次なるハーレムの舞台だ。
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