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3章 公爵令嬢の救い方 編
ハーレムキングは招待に預かる
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「それにしても……どうしてこんな場所で、あんな連中に襲われていたんです?」
護衛の治療を終えたサラがルシアに尋ねると、彼女は一瞬だけ視線を逸らした。
ほんの僅かな沈黙。そしてすぐに、柔らかな笑みを作って答える。
「……訳あってああいう襲撃はたまにあるんです。まさかああも露骨な奇襲を受けるとは思いませんでしたが……」
「ふむ……狙われたのは偶然ではないな。馬車の標章、荷台の布地、そして君の所作と装い。どう見ても“金持ちのお嬢様が移動中”とアピールしているようなものだ。君は盗賊連中にも覚えがあるような口ぶりだし、おそらく家庭の事情が原因で襲われたのだろう?」
「ご明察です。デイビッドさんは鋭い観察眼をお持ちなのですね」
ルシアはわずかに目を細める。
その中に、ごく小さな影が見えた気がした。
「もしかして、誰かに行き先を漏らされて……とか?」
サラが恐る恐る訊くと、ルシアは“あえて”のように、微笑んだまま首を振った。
「……きっと、運が悪かっただけです」
その言葉はどこか不自然だった。
彼女の美しい顔立ちが崩れることはなかったが、どこかよそゆきの仮面を貼り付けているようにも見える。
これは明らかに何かを隠しているな。
オレのハーレムキングセンサーが反応していた。
女の子の“強がり”と“秘密”には敏感なのだ。なぜなら、それは堕とす時の重要ポイントだからな!
しかし、今はそれを追及する場ではない。
「ともかく、無事でなによりだ。サラがいたおかげでもあるな。結界魔法、実に見事だった!」
「そ、そうですか? ふふん……当然です。私も立派な神官ですから」
「元、な」
「それは言わないお約束です!」
褒められて少し鼻を高くしたサラを見て、ルシアがくすりと笑った。
「お二人の連携、素晴らしかったです。助けていただいたお礼がしたいのですが、よろしければ、私の領地までお越しになりませんか?」
「領地とな」
「ええ。北方にあるエルネス領。私は分家筋の養女です」
養女、という言葉に、サラがほんの少し眉をひそめた。
だが、ルシアは気にする素振りもなく、優雅に話を続ける。
「今は外交の帰りだったんです。出先でのんびりする暇もなく、こうして招聘されるのは日常茶飯事なんですよ」
「それは養女であるが故の扱いの厳しさ、というわけか?」
「……かもしれませんね。厳しい外交やそんな役回りを押し付けられることも多いですから」
どうやら苦しい立場にいるようだ。
「ふむ、そうか」
あえて詳細は聞かなかった。まだその段階ではない。
そんなオレの反応を受けたルシアは、一つ息を吐いてから言った。
「お二人を客人としてお招きします。救っていただいた命へのお礼をさせてください」
「……公爵家の招待とは、また豪勢なものだな。だが、礼を受けることは王の義務でもある! よかろう! その招待、ありがたく受けよう! 新たなる地、新たなる出会い、そして、ハーレムの可能性を求めて!」
「ちょっと、卑しい目的がはっきり見えてるんですけど!?」
サラがすかさずツッコミを入れたが、ルシアは柔らかく微笑んだままだった。
「ふふ……楽しい旅になりそうですね」
その笑顔の奥に、ふと何かがよぎった。
まるで、「楽しい」だけでは済まない何かが、その背後にあるかのように。
こうして、オレたちは公爵令嬢ルシアと共に、新たなる地「エルネス領」へと向かうことになった。
旅は続く。次なるハーレムの香りと、一つの影を追いながら!
護衛の治療を終えたサラがルシアに尋ねると、彼女は一瞬だけ視線を逸らした。
ほんの僅かな沈黙。そしてすぐに、柔らかな笑みを作って答える。
「……訳あってああいう襲撃はたまにあるんです。まさかああも露骨な奇襲を受けるとは思いませんでしたが……」
「ふむ……狙われたのは偶然ではないな。馬車の標章、荷台の布地、そして君の所作と装い。どう見ても“金持ちのお嬢様が移動中”とアピールしているようなものだ。君は盗賊連中にも覚えがあるような口ぶりだし、おそらく家庭の事情が原因で襲われたのだろう?」
「ご明察です。デイビッドさんは鋭い観察眼をお持ちなのですね」
ルシアはわずかに目を細める。
その中に、ごく小さな影が見えた気がした。
「もしかして、誰かに行き先を漏らされて……とか?」
サラが恐る恐る訊くと、ルシアは“あえて”のように、微笑んだまま首を振った。
「……きっと、運が悪かっただけです」
その言葉はどこか不自然だった。
彼女の美しい顔立ちが崩れることはなかったが、どこかよそゆきの仮面を貼り付けているようにも見える。
これは明らかに何かを隠しているな。
オレのハーレムキングセンサーが反応していた。
女の子の“強がり”と“秘密”には敏感なのだ。なぜなら、それは堕とす時の重要ポイントだからな!
しかし、今はそれを追及する場ではない。
「ともかく、無事でなによりだ。サラがいたおかげでもあるな。結界魔法、実に見事だった!」
「そ、そうですか? ふふん……当然です。私も立派な神官ですから」
「元、な」
「それは言わないお約束です!」
褒められて少し鼻を高くしたサラを見て、ルシアがくすりと笑った。
「お二人の連携、素晴らしかったです。助けていただいたお礼がしたいのですが、よろしければ、私の領地までお越しになりませんか?」
「領地とな」
「ええ。北方にあるエルネス領。私は分家筋の養女です」
養女、という言葉に、サラがほんの少し眉をひそめた。
だが、ルシアは気にする素振りもなく、優雅に話を続ける。
「今は外交の帰りだったんです。出先でのんびりする暇もなく、こうして招聘されるのは日常茶飯事なんですよ」
「それは養女であるが故の扱いの厳しさ、というわけか?」
「……かもしれませんね。厳しい外交やそんな役回りを押し付けられることも多いですから」
どうやら苦しい立場にいるようだ。
「ふむ、そうか」
あえて詳細は聞かなかった。まだその段階ではない。
そんなオレの反応を受けたルシアは、一つ息を吐いてから言った。
「お二人を客人としてお招きします。救っていただいた命へのお礼をさせてください」
「……公爵家の招待とは、また豪勢なものだな。だが、礼を受けることは王の義務でもある! よかろう! その招待、ありがたく受けよう! 新たなる地、新たなる出会い、そして、ハーレムの可能性を求めて!」
「ちょっと、卑しい目的がはっきり見えてるんですけど!?」
サラがすかさずツッコミを入れたが、ルシアは柔らかく微笑んだままだった。
「ふふ……楽しい旅になりそうですね」
その笑顔の奥に、ふと何かがよぎった。
まるで、「楽しい」だけでは済まない何かが、その背後にあるかのように。
こうして、オレたちは公爵令嬢ルシアと共に、新たなる地「エルネス領」へと向かうことになった。
旅は続く。次なるハーレムの香りと、一つの影を追いながら!
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