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3章 公爵令嬢の救い方 編
ハーレムキングは裏の顔を探る
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馬車に揺られて、数時間。
道中の景色はゆっくりと移り変わり、青々と茂った草原が、やがて丘陵地へと変わっていった。
舗装された街道は整っており、馬車の揺れも穏やかだった。流石は公爵家の領地といったところだ。
窓の外を眺めながら、オレは脚を組んで言った。
「ふむ……これだけの道を馬車で行くとなると、やはり貴族というのは優雅なものだな。空腹を感じないのが悩みになるほどに」
「……それ、完全に王様がハンモックみたいに背もたれに沈んでるからですよね?」
サラが呆れたように横から突っ込んできた。
彼女はいつもの修道服ではなく、動きやすい旅装を纏っていたが、その背筋はいつも通りぴんと伸びていた。緊張しているらしい。ツッコミの声もいささか小さい気がする。
彼女は揺れに耐えながらも、視線はしっかりとルシアに向いている。
「それにしても、ずいぶん静かですね。ルシアさん……何か、考え事ですか?」
前方に座るルシアは、窓の外を見つめたまま、ふと目を伏せた。
「……いえ、大丈夫です。ただ、久しぶりに戻る領地なので、少しだけ感傷的になっているだけです」
その声音は柔らかだったが、どこか冷たく、自分の感情を少し遠ざけているようにも感じられた。
感傷、か。養女であるがゆえ、悩みの種は無数にあるのだろうな。
オレはその言葉を咀嚼しながら、ルシアの様子を観察していた。
その横顔は相変わらず整っていて美しかったが、瞳の奥にはごく僅かな警戒が見て取れた。
そしてその警戒は、オレやサラに向けられたものではなく、これから訪れる場所に向けられたものだった。
「ふむ……ルシア。君が今、何を考えていようとオレは問わん。だが、もしもオレに頼れることがあれば、遠慮なく言ってくれて構わないぞ?」
「まあっ、王を名乗る人に、そう言われるとは思いませんでした」
ルシアが少しだけ笑みを見せたが、やはりその瞳の奥は笑っていなかった。
「王はいつでも助ける所存だ!」
「ふふ、いえ、失礼。ですが……お気持ちはありがたく……」
まただ。微笑んで、相手に安心を与える仮面。
完璧すぎる所作と、ほころびのない言葉選び。
彼女は確実に“何か”を隠している。
であれば、ますます気になるのが王の性!
秘密は暴くためにある! そして問題は解決するためにある! 全ては王であるオレに与えられた試練なのだ!
オレは堂々と胸を張って言い放った。
「よかろう! 秘密があるならそれで良い! 秘密が多い方がときめくというもの! そして、それすら包み込むのが、ハーレムキングの器である!」
「もう少し真面目なセリフに聞こえる言い方はなかったんですか!?」
サラのツッコミが炸裂する中、ルシアは肩を震わせて笑っていた。
「……面白い方ですね、本当に」
その笑みもまた、仮面かもしれない。
だが、オレは知っている。
仮面の奥には、きっと本当の顔がある。
それを暴くのもまた、王の務めというものだろう。
そうして、馬車は丘を越えた。
見えてきたのは、小さな城郭と、清らかな湖に囲まれた城館。
ここがルシアの故郷か。
何が待ち受けているのかはわからない。ただお招き預かったからには、王としてたっぷり堪能させてもらうとしよう!
道中の景色はゆっくりと移り変わり、青々と茂った草原が、やがて丘陵地へと変わっていった。
舗装された街道は整っており、馬車の揺れも穏やかだった。流石は公爵家の領地といったところだ。
窓の外を眺めながら、オレは脚を組んで言った。
「ふむ……これだけの道を馬車で行くとなると、やはり貴族というのは優雅なものだな。空腹を感じないのが悩みになるほどに」
「……それ、完全に王様がハンモックみたいに背もたれに沈んでるからですよね?」
サラが呆れたように横から突っ込んできた。
彼女はいつもの修道服ではなく、動きやすい旅装を纏っていたが、その背筋はいつも通りぴんと伸びていた。緊張しているらしい。ツッコミの声もいささか小さい気がする。
彼女は揺れに耐えながらも、視線はしっかりとルシアに向いている。
「それにしても、ずいぶん静かですね。ルシアさん……何か、考え事ですか?」
前方に座るルシアは、窓の外を見つめたまま、ふと目を伏せた。
「……いえ、大丈夫です。ただ、久しぶりに戻る領地なので、少しだけ感傷的になっているだけです」
その声音は柔らかだったが、どこか冷たく、自分の感情を少し遠ざけているようにも感じられた。
感傷、か。養女であるがゆえ、悩みの種は無数にあるのだろうな。
オレはその言葉を咀嚼しながら、ルシアの様子を観察していた。
その横顔は相変わらず整っていて美しかったが、瞳の奥にはごく僅かな警戒が見て取れた。
そしてその警戒は、オレやサラに向けられたものではなく、これから訪れる場所に向けられたものだった。
「ふむ……ルシア。君が今、何を考えていようとオレは問わん。だが、もしもオレに頼れることがあれば、遠慮なく言ってくれて構わないぞ?」
「まあっ、王を名乗る人に、そう言われるとは思いませんでした」
ルシアが少しだけ笑みを見せたが、やはりその瞳の奥は笑っていなかった。
「王はいつでも助ける所存だ!」
「ふふ、いえ、失礼。ですが……お気持ちはありがたく……」
まただ。微笑んで、相手に安心を与える仮面。
完璧すぎる所作と、ほころびのない言葉選び。
彼女は確実に“何か”を隠している。
であれば、ますます気になるのが王の性!
秘密は暴くためにある! そして問題は解決するためにある! 全ては王であるオレに与えられた試練なのだ!
オレは堂々と胸を張って言い放った。
「よかろう! 秘密があるならそれで良い! 秘密が多い方がときめくというもの! そして、それすら包み込むのが、ハーレムキングの器である!」
「もう少し真面目なセリフに聞こえる言い方はなかったんですか!?」
サラのツッコミが炸裂する中、ルシアは肩を震わせて笑っていた。
「……面白い方ですね、本当に」
その笑みもまた、仮面かもしれない。
だが、オレは知っている。
仮面の奥には、きっと本当の顔がある。
それを暴くのもまた、王の務めというものだろう。
そうして、馬車は丘を越えた。
見えてきたのは、小さな城郭と、清らかな湖に囲まれた城館。
ここがルシアの故郷か。
何が待ち受けているのかはわからない。ただお招き預かったからには、王としてたっぷり堪能させてもらうとしよう!
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