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第二章:異世界を駆ける
その29 至れり尽くせり?
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片道8時間かけ、特に問題なく王都へと到着する。
途中、ゴブリンの群れが立ちはだかろうとしてすぐに散っていたのを見かけたくらいか。近くに商人の馬車が居たからちょうど牽制した形になったので良かったと思う。
少しずつ速度を落として門に近づいていくと、衛兵が槍を振りながら止まるように示唆してきたのでブレーキをかけて窓を開ける。
「こんにちは、ソリッド様に会うため街へ入りたいんですが」
「ああ、ヒサトラさんですね? この乗り物が来たら通すように聞いております、少々お待ちを」
「すみません、お手数をおかけします」
衛兵は兜のバイザーを上げて笑いながら少し待てと言ってくる。
すぐに手を上げて門の傍にいる衛兵にアクションを取ると、重い格子扉が開いていく。
そのままゆっくり入るように指示されて町の中へ入っていくと――
「おお、来たぞ!」
「陛下を送迎した時に少し見たけどやっぱでけぇなー」
「いいね、かっこいいじゃん」
――なんかたくさん人が大通りに集まっていた。
「今日ここに来るのが分かってたんですかね?」
「うーん、ソリッド様にはだいたいの日にちは手紙で書いていたけどピンポイントでこの日とは分からないと思うんだが……」
俺とサリアが不思議がっていると、正面に平民みたいな服を着たソリッド様が両手を上げ、満面の笑みで立っていた。
トラックを止めるとこっちへ近づいてきて手を上げながら口を開く。
「やあ、待っていたよヒサトラ君!」
「お久しぶりですソリッド様。これはいったい?」
「ああ、みんなで歓迎しようと思ってね」
「この人、七日前からずっと張っていたんですよ」
「こ、こら、言うんじゃない!?」
ころころと笑いながら山登りでもしそうな格好をした美人の女性がソリッド様の横でそんなことを言う。なるほど、ずっと待ってたのか……いや、嬉しいけど。
「はは……ありがとうございます。えっと?」
「ああ、私の妻だ」
「リーザと申しますわ。夫からあなたの噂はかねがね聞いております。先日、送ってくれた時に見せたかったと」
「だから言うんじゃない!?」
慌てるソリッド様をよそに窓越しで手を差し出してきたので握手をする。
分かっていると思うが、周辺には30人からの騎士がついているので、視覚情報が多すぎである。
と、わいわいしている中、サリアも紹介したところでソリッド様が咳ばらいをして俺達に話しかけて来た。
「さて、それではヒサトラ君の住まいに案内しようと思う」
「あ、用意してくれたんですか? 自分で探そうと思ってたんですけど……」
「構わん、ウチの名物になるかもしれんからな。それで乗ってもいいかね?」
「ええ、もちろんです。あの、王妃様も?」
「はい!」
サリアに寝台へ移動してもらい、ソリッド様とリーザ様に乗り込んでもらう。なるほど、軽装だったのはあらかじめ乗り込む予定だったからか。
いつも通り騎士達もコンテナに乗り込……あ、こら喧嘩すんな!? ま、まあ、騎士達も乗り込んで指示された方へ。
トラックを止められる敷地くらいはあるだろうけど、家までとは助かる。家賃とかどれくらいか聞いて難しそうならしばらく車中泊だな。
そんなことを考えていたのだが――
「さ、到着だ。ここを使ってくれるかな?」
「こ、れは……!?」
「ほほう……!」
俺とサリアの眼前には、平屋ながらも3LDKくらいありそうなでかい家屋。その隣にはさらに負けないくらいの倉庫兼店舗があり、さらにその隣にはトラックを置ける広々とした庭が、あった。
「んん……目の錯覚、じゃないよな……?」
「私にも多分同じものが見えていますよ……」
珍しくサリアも驚いた口調で呟く。
明らかに予算オーバーといったレベルの豪華な庭付き一戸建てと店舗や……。思わず関西弁になってしまったがそれくらい衝撃なんだよ。
「あの、ソリッド様? 俺、ちょっとは稼いできましたけどこれは予算オーバーですよ! 家賃とかいくらかかるんですかね!?」
「ん? いや、これは君にプレゼントだよ」
「「はあ!?」」
サリアと一緒に目を見開いてソリッドさんの方へ顔を向けると、なんでもないといった感じでドヤ顔をする。
隣に座るリーザさんも口元に手を当てて微笑み、口を開く。
「この『とらっく』という乗り物は頑張ってもこの世界で後数百年は経たないと再現できる代物ではないと踏んでおりますわ。当然いつか飽きられることはあると思いますが、仕事が無くなるということはないと思っています」
「だから税金で返してくれればということだな! なんにでも使えそうだし、金が入らないことはないだろ」
王都には周知をかけて、いけそうならあちこちの領地へも通達するのだとか。
おおごとになってしまった……だが、税金という形で返せと言ってくれるあたり、こちらも気が楽にはなる。
それにしてもだ。
トラックから降りて周囲を確認して気づいたことがある。
「ここ、なんか後付けで拡張した感じがありますね……?」
「うむ、本来このラインに壁があったのだが、大きく膨らませて土地を作ったのだよ。急だったがよくやってくれたよ」
やっぱりか。明らかにここだけ新しいと分かる環境だからな。隣の家まで結構遠いし。
だけど門からそこまで離れていないのはいい。
安全面を考えるとなるべくトラックの取り回しがいい道を使いたいしな。
そんなこんなでコンテナに積んだウチの荷物を降ろす準備に取り掛かるのであった。
途中、ゴブリンの群れが立ちはだかろうとしてすぐに散っていたのを見かけたくらいか。近くに商人の馬車が居たからちょうど牽制した形になったので良かったと思う。
少しずつ速度を落として門に近づいていくと、衛兵が槍を振りながら止まるように示唆してきたのでブレーキをかけて窓を開ける。
「こんにちは、ソリッド様に会うため街へ入りたいんですが」
「ああ、ヒサトラさんですね? この乗り物が来たら通すように聞いております、少々お待ちを」
「すみません、お手数をおかけします」
衛兵は兜のバイザーを上げて笑いながら少し待てと言ってくる。
すぐに手を上げて門の傍にいる衛兵にアクションを取ると、重い格子扉が開いていく。
そのままゆっくり入るように指示されて町の中へ入っていくと――
「おお、来たぞ!」
「陛下を送迎した時に少し見たけどやっぱでけぇなー」
「いいね、かっこいいじゃん」
――なんかたくさん人が大通りに集まっていた。
「今日ここに来るのが分かってたんですかね?」
「うーん、ソリッド様にはだいたいの日にちは手紙で書いていたけどピンポイントでこの日とは分からないと思うんだが……」
俺とサリアが不思議がっていると、正面に平民みたいな服を着たソリッド様が両手を上げ、満面の笑みで立っていた。
トラックを止めるとこっちへ近づいてきて手を上げながら口を開く。
「やあ、待っていたよヒサトラ君!」
「お久しぶりですソリッド様。これはいったい?」
「ああ、みんなで歓迎しようと思ってね」
「この人、七日前からずっと張っていたんですよ」
「こ、こら、言うんじゃない!?」
ころころと笑いながら山登りでもしそうな格好をした美人の女性がソリッド様の横でそんなことを言う。なるほど、ずっと待ってたのか……いや、嬉しいけど。
「はは……ありがとうございます。えっと?」
「ああ、私の妻だ」
「リーザと申しますわ。夫からあなたの噂はかねがね聞いております。先日、送ってくれた時に見せたかったと」
「だから言うんじゃない!?」
慌てるソリッド様をよそに窓越しで手を差し出してきたので握手をする。
分かっていると思うが、周辺には30人からの騎士がついているので、視覚情報が多すぎである。
と、わいわいしている中、サリアも紹介したところでソリッド様が咳ばらいをして俺達に話しかけて来た。
「さて、それではヒサトラ君の住まいに案内しようと思う」
「あ、用意してくれたんですか? 自分で探そうと思ってたんですけど……」
「構わん、ウチの名物になるかもしれんからな。それで乗ってもいいかね?」
「ええ、もちろんです。あの、王妃様も?」
「はい!」
サリアに寝台へ移動してもらい、ソリッド様とリーザ様に乗り込んでもらう。なるほど、軽装だったのはあらかじめ乗り込む予定だったからか。
いつも通り騎士達もコンテナに乗り込……あ、こら喧嘩すんな!? ま、まあ、騎士達も乗り込んで指示された方へ。
トラックを止められる敷地くらいはあるだろうけど、家までとは助かる。家賃とかどれくらいか聞いて難しそうならしばらく車中泊だな。
そんなことを考えていたのだが――
「さ、到着だ。ここを使ってくれるかな?」
「こ、れは……!?」
「ほほう……!」
俺とサリアの眼前には、平屋ながらも3LDKくらいありそうなでかい家屋。その隣にはさらに負けないくらいの倉庫兼店舗があり、さらにその隣にはトラックを置ける広々とした庭が、あった。
「んん……目の錯覚、じゃないよな……?」
「私にも多分同じものが見えていますよ……」
珍しくサリアも驚いた口調で呟く。
明らかに予算オーバーといったレベルの豪華な庭付き一戸建てと店舗や……。思わず関西弁になってしまったがそれくらい衝撃なんだよ。
「あの、ソリッド様? 俺、ちょっとは稼いできましたけどこれは予算オーバーですよ! 家賃とかいくらかかるんですかね!?」
「ん? いや、これは君にプレゼントだよ」
「「はあ!?」」
サリアと一緒に目を見開いてソリッドさんの方へ顔を向けると、なんでもないといった感じでドヤ顔をする。
隣に座るリーザさんも口元に手を当てて微笑み、口を開く。
「この『とらっく』という乗り物は頑張ってもこの世界で後数百年は経たないと再現できる代物ではないと踏んでおりますわ。当然いつか飽きられることはあると思いますが、仕事が無くなるということはないと思っています」
「だから税金で返してくれればということだな! なんにでも使えそうだし、金が入らないことはないだろ」
王都には周知をかけて、いけそうならあちこちの領地へも通達するのだとか。
おおごとになってしまった……だが、税金という形で返せと言ってくれるあたり、こちらも気が楽にはなる。
それにしてもだ。
トラックから降りて周囲を確認して気づいたことがある。
「ここ、なんか後付けで拡張した感じがありますね……?」
「うむ、本来このラインに壁があったのだが、大きく膨らませて土地を作ったのだよ。急だったがよくやってくれたよ」
やっぱりか。明らかにここだけ新しいと分かる環境だからな。隣の家まで結構遠いし。
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