私がガチなのは内緒である

ありきた

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4章 高校最初の夏休み

33話 萌恵ちゃんの隣で

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 長かった夏休みも、いよいよ最終日。
 毎日があまりにも楽しくて、感覚的には本当にあっという間だった。

「真菜、おはよ~っ」

 声が聞こえた直後に唇が重なり、小さな音を立てる。
 おはようのキスによってハッキリと目を覚ました私は、唇が離れないうちに萌恵ちゃんを抱き寄せた。

「んっ――ぁむ、ちゅっ」

 萌恵ちゃんは覆い被さるようにして体を預け、抱きしめ返してくれる。
 反動で背中から流れてきた髪が、私の肩を優しく撫でる。
 いい香りがふわっと漂い、萌恵ちゃんの吐息と共に鼻孔をくすぐった。
 大好きな人の温もりや匂いを感じて、体の奥底から湧き上がる情欲が理性を責め立てる。それと同時に、なにが起きても動じずにいられるような安心感に包まれる。
 私たちは起床直後にもかかわらず、抱擁と口付けを十数分に渡って堪能した。
 欲を言えば一日中続けたいところだけど、そんなわけにもいかない。
 洗顔や歯磨きなどを済ませたら、散歩用のラフな格好に着替えて、軽く準備運動を行う。
 快晴ながらも明け方は気温が穏やかで、外を歩くのにちょうどいい。
 普段よりも遠くまで足を延ばし、ついでに少し回り道をして、コンビニでアイスを買ってから帰宅する。
 手洗いうがいをしてアイスを冷凍庫に仕舞ったら、汗だくの服を洗濯機に放り込む。

「隙ありっ」

 私は萌恵ちゃんが背中を見せた瞬間を見逃さず、不意打ちで背後から抱きしめた。

「まっ、真菜!? ダメだよ! 汗臭いから、シャワーを浴び――ひぁんっ!」

 言うまでもなく、汗の臭いは止める理由にならない。
 恥ずかしがる萌恵ちゃんを黙らせるべく、私はおもむろに胸を揉みしだいた。
 もちもちすべすべ、しっとり滑らかな肌触り。

「手のひらが沈み込むほど柔らかいのに、力を入れれば負けじと押し返す確かな弾力もある。ふわふわなおっぱいとは対照的な先端のコリッとした感触が、いいアクセントになってるね」

 ちょっとだけイジワルして、感想を口に出してみる。

「はぅ、んぁっ。か、解説しないでよ~っ」

 照れる萌恵ちゃんも反則級にかわいい。
 あんまり続けると鼻血が噴き出るので、ほどほどのところで手を放す。

「ごめんね、つい出来心で」

「うぅ、後で仕返しするからね!」

 なにそのご褒美、めちゃくちゃ楽しみ。

***

 数時間ほど経って、萌恵ちゃんからお昼寝しようという提案を受けた。
 明日の準備も済ませたし、家事も一通り終えている。仮に寝過ごしたとしても特に問題はない。
 布団を敷いて寝転び、お腹を冷やさないようにタオルケットをかける。

「さっきの仕返し、させてもらうからねっ」

 言うが早いか、萌恵ちゃんは私の背中に手を回して抱き寄せた。
 ドキドキしながら身動きを取らずに待っていると、耳にふっと息を吹きかけられる。
 言葉にできないような感覚が全身を駆け巡り、一瞬にして力が抜けた。

「も、もえひゃ、み、みみは……」

「んふふっ、耳は真菜の弱点なんだよね~? はむっ、んっ、れろっ」

「~~~~っ!」

 耳たぶを甘噛みされたと思ったら、続け様に舌での愛撫が襲い来る。
 快楽に抵抗する余地すらなく、声にならない悲鳴が漏れてしまう。
 萌恵ちゃんはビクンッと跳ねる私の体を優しく包むように抱きしめ、はしたない嬌声をキスによって遮ってくれた。
 ご褒美でしかないという予想は正しく、内容の満足度は想像を遥かに凌いだ。
『仕返しの仕返し』みたいなノリでスキンシップの応酬は夕方まで続き、お昼寝はじゃれ合いに変更となる。

***

 夜になり、電気を消して布団に入ると、夏休みが終わるのだとしみじみ感じる。

「今日は少し肌寒いから、ぎゅって抱き合いながら寝ようよ」

「うん、いいよ~。熱帯夜でもたまに抱き合って寝てるけどね」

「確かに。それじゃあ、いつも以上に思いっきり密着しよう」

「んふふっ、温かいを通り越して熱くなっても離さないよ~」

 夏休みがもっと続いてほしいという気持ちも確かにあるけど、だからといって寂しいとは思わない。
 明日からも変わらず、こうして萌恵ちゃんの温もりと匂いに包まれながら眠りに就けるのだから。
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