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冒険の始まり
ハバー大陸一周の旅 2
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モンディールから左手に牧草地を見ながら北に進む。
「ディル、質問」
俺の魔力を使い体長一メートルになっているミンテに股がりながらリョウが右手を上げた。
「なんだ?」
「小型の地蜂って言ってたけど、六センチぐらいの大きさだったでしょ、オオクロバチは、どれぐらいの大きさなの?」
「ん、オオクロバチは、この大陸に住む蜂の中で一番大きくて、体長十センチ程だな。女王蜂は、二十センチ位だったはず」
「はぁ?」
「どうした?」
「十って…じゃ、じゃぁ、巣は?どんな大きさなの?十センチの蜂に襲われるの?」
「お前なぁ、襲われるの前提で話すなよ。それにな、この世界では、基本、大型になるほど寿命が長いんだ。だから、大型は、一度に生む卵の数も小型種より少ない。だから、巣の大きさもせいぜい倍程度だ」
「倍って事は、一メートル位か」
「攻撃的なのですか?」
「いや、防衛特化型だね。攻撃しなければ、戦闘モードにはならないと聞いてる」
今回、一番の目的にしているオオクロバチの事を話していると、目の前に不自然に並んだ木々が見えてきた。
「着いたな」
「すごいきちんと並んで生えてるね。植えたの?」
「そう、ここは、シーズで従魔師が多く集まっている紡績地帯なんだ」
「ううん?従魔師で紡績?」
「この間捕まえたミスリルスパイダーの雌二匹がここに引き取られたんだ。そのための、モリジバチの巣の採取だって、説明したよなぁ?」
「え?」
「はい、ちゃんと、伺いました」
「ハハハ…、そうだった。ね…」
「怪しいなぁ、まぁ、ここからは、リョウの仕事だから、しっかりやってこい」
「え?それは、聞いてないよね」
「これは、必然だから言う必要はないだろ。ミンテと、ココは交代して、ココとリョウであそこに見える小屋に行って、この依頼書と注文書と巣を見せる。あとは、村人達が案内してくれるから、指示された通りの所に巣を置いてくれば良いからな。行ってこい」
「必然って…単に、ディルが、虫苦手だからでしょー、嫌なことを人に押し付けるなんてヒドイ大人だなぁ…」
「いいか。俺が一人だったら、この依頼は受けてない。それに、ミスリルスパイダーの服も俺は着れないから、必要ない。だけど、お前達は、身に付けることが出来て、高い防御力も付けられる。この依頼は、俺ではなく、お前達の為の依頼なんだ。だから、リョウが行く。分かったか?」
「…」
リョウが、考えてる。考えてる。考えてる。
「なんか、言い含められた感はあるけど、良い装備は欲しいからね。僕、行ってくるよ。巣の障壁は僕でも解除出来るんだよね?」
「ああ、精霊達にそうお願いしてある」
「じゃぁ、ココちゃん、行ってこよう。精霊さん達もついてきて」
「私は、いいのですか?」
「うん、クラリーちゃんは、次の機会にお願い。一人ずつやって、慣れることを前提にしてるからね」
「はい、分かりました」
しばらく待っていると、リョウが赤毛のダークエルフを伴って戻ってきた。
「えーと、ミスリルスパイダーを引き取った家のルネさんで、僕達にお礼がしたいんだって」
リョウがそう言って紹介すると、ルネという若い男性は、俺の前に来た。
「あなたが、ディルさんですね。ミスリルスパイダーをあんな風に捕獲する事が出来るなんて、初めて知りました。ありがとうございます。これで、ウチの村も安泰です。是非、お礼がしたいので、今夜はウチに泊まって下さい」
「あっ、いや、それほど大した事ではないので…、申し訳ありませんが、急ぐ旅なので、今日のところは…」
「そうですか?残念です。折角、お会い出来たのに、また、戻ってきたら、是非、遊びに来てください。注文の反物も用意しておきますから」
「はい、お願いします。では、失礼します」
やんわり断りつつ、別れを告げ先に進む…
「素直に苦手だから、村には入れないって言えば良いのに、って、いうか、村に入っても、蜘蛛とか全然見えなかったよ」
「蜘蛛や虫は、苦手な人がいるから、ああいった場所は、来客には見えない工夫がされてると聞いたことがありますよ」
そう。分かっているけど、ごめんなさい。俺には、無理なのだ。
「見えなくても、確実に居るだろう。それに、あそこで主に飼われているのは、コットンスパイダー、その名の通り、綿のような優しい肌触りが特徴の反物が織れる糸を出す蜘蛛で、体長五センチ程、ざっと調べたところ、二百は居たぞ。あの狭い範囲で、それは無理。想像しただけで、ほれ、これ見ろ」
「うわっ、スッゴい鳥肌!キモっ!」
「そのわりには、ちゃんと、解説してくださいますよね」
「そう言えば、そうだね」
「当たり前だろ。苦手なのだから、生態を把握して、視界に入れないようにすることは大事だろ」
「苦手だから、殲滅とは、言わないんだ」
「そんなことをしたら、生態系が崩れて、大変な事になるんだ。昔、貪欲な獣人族の王が、自分の領地の生き物を狩りつくし富を得ようとしたが、一種、二種といなくなるに連れ砂漠化が進み。最後は、その領地から精霊も消え、その獣人族は、飢えに苦しみながら絶滅したと、伝えられられているんだ」
「うわっ、そっちの方が怖いね」
「だろ、だから、個人的に苦手でも、殲滅出来る力を持っていても、やってはいけないことなんだ。襲われたときは別だけどな」
「うん、分かった。蛇やミミズを見ても、過剰攻撃は仕掛けないようにするよ」
「ディル、質問」
俺の魔力を使い体長一メートルになっているミンテに股がりながらリョウが右手を上げた。
「なんだ?」
「小型の地蜂って言ってたけど、六センチぐらいの大きさだったでしょ、オオクロバチは、どれぐらいの大きさなの?」
「ん、オオクロバチは、この大陸に住む蜂の中で一番大きくて、体長十センチ程だな。女王蜂は、二十センチ位だったはず」
「はぁ?」
「どうした?」
「十って…じゃ、じゃぁ、巣は?どんな大きさなの?十センチの蜂に襲われるの?」
「お前なぁ、襲われるの前提で話すなよ。それにな、この世界では、基本、大型になるほど寿命が長いんだ。だから、大型は、一度に生む卵の数も小型種より少ない。だから、巣の大きさもせいぜい倍程度だ」
「倍って事は、一メートル位か」
「攻撃的なのですか?」
「いや、防衛特化型だね。攻撃しなければ、戦闘モードにはならないと聞いてる」
今回、一番の目的にしているオオクロバチの事を話していると、目の前に不自然に並んだ木々が見えてきた。
「着いたな」
「すごいきちんと並んで生えてるね。植えたの?」
「そう、ここは、シーズで従魔師が多く集まっている紡績地帯なんだ」
「ううん?従魔師で紡績?」
「この間捕まえたミスリルスパイダーの雌二匹がここに引き取られたんだ。そのための、モリジバチの巣の採取だって、説明したよなぁ?」
「え?」
「はい、ちゃんと、伺いました」
「ハハハ…、そうだった。ね…」
「怪しいなぁ、まぁ、ここからは、リョウの仕事だから、しっかりやってこい」
「え?それは、聞いてないよね」
「これは、必然だから言う必要はないだろ。ミンテと、ココは交代して、ココとリョウであそこに見える小屋に行って、この依頼書と注文書と巣を見せる。あとは、村人達が案内してくれるから、指示された通りの所に巣を置いてくれば良いからな。行ってこい」
「必然って…単に、ディルが、虫苦手だからでしょー、嫌なことを人に押し付けるなんてヒドイ大人だなぁ…」
「いいか。俺が一人だったら、この依頼は受けてない。それに、ミスリルスパイダーの服も俺は着れないから、必要ない。だけど、お前達は、身に付けることが出来て、高い防御力も付けられる。この依頼は、俺ではなく、お前達の為の依頼なんだ。だから、リョウが行く。分かったか?」
「…」
リョウが、考えてる。考えてる。考えてる。
「なんか、言い含められた感はあるけど、良い装備は欲しいからね。僕、行ってくるよ。巣の障壁は僕でも解除出来るんだよね?」
「ああ、精霊達にそうお願いしてある」
「じゃぁ、ココちゃん、行ってこよう。精霊さん達もついてきて」
「私は、いいのですか?」
「うん、クラリーちゃんは、次の機会にお願い。一人ずつやって、慣れることを前提にしてるからね」
「はい、分かりました」
しばらく待っていると、リョウが赤毛のダークエルフを伴って戻ってきた。
「えーと、ミスリルスパイダーを引き取った家のルネさんで、僕達にお礼がしたいんだって」
リョウがそう言って紹介すると、ルネという若い男性は、俺の前に来た。
「あなたが、ディルさんですね。ミスリルスパイダーをあんな風に捕獲する事が出来るなんて、初めて知りました。ありがとうございます。これで、ウチの村も安泰です。是非、お礼がしたいので、今夜はウチに泊まって下さい」
「あっ、いや、それほど大した事ではないので…、申し訳ありませんが、急ぐ旅なので、今日のところは…」
「そうですか?残念です。折角、お会い出来たのに、また、戻ってきたら、是非、遊びに来てください。注文の反物も用意しておきますから」
「はい、お願いします。では、失礼します」
やんわり断りつつ、別れを告げ先に進む…
「素直に苦手だから、村には入れないって言えば良いのに、って、いうか、村に入っても、蜘蛛とか全然見えなかったよ」
「蜘蛛や虫は、苦手な人がいるから、ああいった場所は、来客には見えない工夫がされてると聞いたことがありますよ」
そう。分かっているけど、ごめんなさい。俺には、無理なのだ。
「見えなくても、確実に居るだろう。それに、あそこで主に飼われているのは、コットンスパイダー、その名の通り、綿のような優しい肌触りが特徴の反物が織れる糸を出す蜘蛛で、体長五センチ程、ざっと調べたところ、二百は居たぞ。あの狭い範囲で、それは無理。想像しただけで、ほれ、これ見ろ」
「うわっ、スッゴい鳥肌!キモっ!」
「そのわりには、ちゃんと、解説してくださいますよね」
「そう言えば、そうだね」
「当たり前だろ。苦手なのだから、生態を把握して、視界に入れないようにすることは大事だろ」
「苦手だから、殲滅とは、言わないんだ」
「そんなことをしたら、生態系が崩れて、大変な事になるんだ。昔、貪欲な獣人族の王が、自分の領地の生き物を狩りつくし富を得ようとしたが、一種、二種といなくなるに連れ砂漠化が進み。最後は、その領地から精霊も消え、その獣人族は、飢えに苦しみながら絶滅したと、伝えられられているんだ」
「うわっ、そっちの方が怖いね」
「だろ、だから、個人的に苦手でも、殲滅出来る力を持っていても、やってはいけないことなんだ。襲われたときは別だけどな」
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