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第102話 一学期・期末テスト・アフター at 1995/7/5
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「ふーっ。やっと終わったー。やっぱり何度やっても緊張するなぁ」
今日を含めて三日間。
ようやく期末テストも無事終わった。
うーっ、とうなり声を出しながら席で伸びをしている僕の肩を純美子が、ちょん、ちょん、と指先で突いた。横目で捉えたその顔は、にこやかでいながらどこかとまどった色を含んでいる。
「……ね? これからどうするつもりなの、ケンタ君?」
「そうだなぁ」
僕は考える。
いや、考えるフリをした。
「まずは……僕らの部室にご案内、かな? えっと……時間ある?」
セリフの最後で、僕は今までは誰もいなかったはずの後ろの席を振り返りながらそう告げる。
「あ………………あります。だい……じょうぶです……」
そこにいたのは――水無月さん。
今まで廊下側の一番後ろだった水無月さんの机は、おとといから僕の後ろになっていた。もちろん荻島センセイには、いの一番に許可をもらっている。そこでもやっぱり、荻島センセイはまるで道化役者のように大袈裟に眉毛を吊り上げてみせただけで、いいですよ、と応じた。
(なんだか思っていた以上に期待されてるっぽいよなぁ……。いや、利用されてる、のか?)
ちゃっかりというかなんというか、荻島センセイの飄々としたこういうところは嫌いじゃない。教師としての役割を果たしていない、そう非難する人もいるだろうけれど、結局のところ生徒たちが変わらない限りは、どう叱ろうが、どう指導しようが、事態が好転することはないのだ。
(あいかわらず癖のある人だよな、荻島センセイって。の割に、抜けてるところもあったり)
どちらかといえば、マッド寄りの科学者でもある荻島センセイなのだが、大掃除の日に濡れ雑巾でコンセント周りを拭いていたら感電した、という迷(?)エピソードも持っていたりする。
(やれやれ……今年の大掃除の日には注意してあげないとな……っと、それよりも、だ)
僕はカラダごと後ろに振り返ってから、改めて水無月さんにこう告げた。
「はじめまして。僕は『電算論理研究部』の部長、古ノ森健太です。よろしくね」
「な……名前は……知ってます……。こ……校外活動……行けなくて……ごめんなさい……」
水無月さんのセリフに驚いた僕と純美子は思わず顔を見合わせた。
それからじんわりと笑顔になると、交互にこう話しかけた。
「僕たちも楽しみにしてたんだけど……。いいよ、気にしなくって。まだチャンスならあるし」
「そうだよ! これからだって遅くないもんね! 文化祭とか、体育祭とか、球技大会とか!」
「だ……だったら……いいのにな……って思うんですけど……」
「………………え?」
僕と純美子の浮かべていた笑顔がぎこちなく固まった。
それを盗み見るようにして水無月さんは、すっ、と目を反らしてしまう。前髪の奥の奥の、彼女の唇から途切れ途切れにかすれたような震え声が紡ぎ出された。
「あ……あたし……病気なんです……。か……カラダが……弱くって……。だ……だから……」
「――今まで登校できなかった、そういうことでしたね?」
「え……? 五十嵐……君?」
いつの間にか僕たちの後ろには、五十嵐君が、そして、渋田と佐倉君が立っていた。
「そのあたりのくわしい話は、我々の部室に行ってからにしませんか、古ノ森リーダー?」
僕は頼もしい仲間たちの顔をひとりずつ眺めてから、笑みを浮かべてうなずくのだった。
今日を含めて三日間。
ようやく期末テストも無事終わった。
うーっ、とうなり声を出しながら席で伸びをしている僕の肩を純美子が、ちょん、ちょん、と指先で突いた。横目で捉えたその顔は、にこやかでいながらどこかとまどった色を含んでいる。
「……ね? これからどうするつもりなの、ケンタ君?」
「そうだなぁ」
僕は考える。
いや、考えるフリをした。
「まずは……僕らの部室にご案内、かな? えっと……時間ある?」
セリフの最後で、僕は今までは誰もいなかったはずの後ろの席を振り返りながらそう告げる。
「あ………………あります。だい……じょうぶです……」
そこにいたのは――水無月さん。
今まで廊下側の一番後ろだった水無月さんの机は、おとといから僕の後ろになっていた。もちろん荻島センセイには、いの一番に許可をもらっている。そこでもやっぱり、荻島センセイはまるで道化役者のように大袈裟に眉毛を吊り上げてみせただけで、いいですよ、と応じた。
(なんだか思っていた以上に期待されてるっぽいよなぁ……。いや、利用されてる、のか?)
ちゃっかりというかなんというか、荻島センセイの飄々としたこういうところは嫌いじゃない。教師としての役割を果たしていない、そう非難する人もいるだろうけれど、結局のところ生徒たちが変わらない限りは、どう叱ろうが、どう指導しようが、事態が好転することはないのだ。
(あいかわらず癖のある人だよな、荻島センセイって。の割に、抜けてるところもあったり)
どちらかといえば、マッド寄りの科学者でもある荻島センセイなのだが、大掃除の日に濡れ雑巾でコンセント周りを拭いていたら感電した、という迷(?)エピソードも持っていたりする。
(やれやれ……今年の大掃除の日には注意してあげないとな……っと、それよりも、だ)
僕はカラダごと後ろに振り返ってから、改めて水無月さんにこう告げた。
「はじめまして。僕は『電算論理研究部』の部長、古ノ森健太です。よろしくね」
「な……名前は……知ってます……。こ……校外活動……行けなくて……ごめんなさい……」
水無月さんのセリフに驚いた僕と純美子は思わず顔を見合わせた。
それからじんわりと笑顔になると、交互にこう話しかけた。
「僕たちも楽しみにしてたんだけど……。いいよ、気にしなくって。まだチャンスならあるし」
「そうだよ! これからだって遅くないもんね! 文化祭とか、体育祭とか、球技大会とか!」
「だ……だったら……いいのにな……って思うんですけど……」
「………………え?」
僕と純美子の浮かべていた笑顔がぎこちなく固まった。
それを盗み見るようにして水無月さんは、すっ、と目を反らしてしまう。前髪の奥の奥の、彼女の唇から途切れ途切れにかすれたような震え声が紡ぎ出された。
「あ……あたし……病気なんです……。か……カラダが……弱くって……。だ……だから……」
「――今まで登校できなかった、そういうことでしたね?」
「え……? 五十嵐……君?」
いつの間にか僕たちの後ろには、五十嵐君が、そして、渋田と佐倉君が立っていた。
「そのあたりのくわしい話は、我々の部室に行ってからにしませんか、古ノ森リーダー?」
僕は頼もしい仲間たちの顔をひとりずつ眺めてから、笑みを浮かべてうなずくのだった。
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