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第331話 球技大会・最終戦(5) at 1995/11/10
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熾烈な戦いだった。
――どん!――ピッ!
「ち――っ! ナマイキな真似してくれるじゃねえかよぉ、インチキ野郎に根暗野郎がぁ!」
小山田のチャージでラインを割らされてしまったタツヒコがいらだちを隠せない声音で詰め寄る。さりげなく僕は二人の近くまで駆け寄ったが――いや、もう心配はいらないだろう。
小山田は、威嚇するように上から下まで全身に鋭い視線を這わせるタツヒコに告げる。
「……うるせぇ、さえずるな。サッカーには、ナマイキもクソもねぇ。最後まであきらめなかったヤツにだけ、ほんのちょっぴりの運が向いてくるだけだ。俺様たちは絶っ対あきらめねぇ」
「偉そうな口ききやがってよぅ! 俺よりヘタクソのくせになぁ!」
「……確かに俺様は、お前ほどうまくはねぇさ」
そこで小山田は、うしろを振り返ってにやりと笑った。
「だがよ? 今の俺様には、頼もしい仲間がいるんだ! 背中預けられるダチ公たちがな!」
「ダチ……だと……!? けっ!」
タツヒコは血走った眼を細めて吐き捨てる。
「子分とか手下とか、奴隷とかの間違いじゃねぇのか、ダッチィ!? お前のようないばり腐った俺様野郎を、本気で信じて、仲間になる奴なんていねえ! いつか裏切られるだろうぜ!」
「………………かもしんねぇな」
小山田の返事までには間が空いた。
たちまちタツヒコは、にんまり、と獲物を見つけたハイエナのごとく笑みを浮かべたが、
「でもよ? それでもまずは、俺様がココロの底から信じてやらねぇといけねぇんだ。じゃなけりゃ、あいつらだって本気で信じちゃくれねぇ。お互いが信じあってこそ、ダチ公なんだぜ」
「な……!?」
タツヒコの笑顔はしぼんで消え、驚愕と失望とがないまぜになった表情になる。
そして、心底腹立たしそうに足元の砂つぶてを蹴りつけて、甲高い声で吐き捨てた。
「け――っ! くだらねぇ! とんだガキのお遊びだぜぇ!」
そのまま走り去っていくタツヒコには目もくれず、足元のボールを拾い上げた小山田は、スローインの構えをする寸前、僕をじっと見つめて言った。
「なあ、ナプキ――いや、モリケン?」
「えっ……?」
「なんだよ、てめぇ……呼んじゃ悪いのかよ? あだ名は、し、親愛のなんとかなんだろ?」
「………………うん。そうだよ、ダッチ」
「俺様は怖かったのかもしれねぇ……。てめぇみたいなヤツが、いつの間にか仲間を集めて、いつかこのクラスのリーダーになっていくのかも、ってな? 俺様は……俺はやっぱり――」
僕は笑うとあっさりと首を振る。
「僕は、リーダーってガラじゃないし、クラスのまとめ役になんてなれないよ。何年か、何十年か経ってオトナになった時、ひさしぶりに同窓会やろうぜ! って声をかけてみんなを集められるのは、ダッチみたいな本当のリーダーだからこそできることなのさ。……頼んだぜ!」
小山田は――まるで泣き顔のように顔を歪めて、ぎこちなく笑ってみせる。
「……ああ。やってやるよ。てめぇも絶っ対呼んでやるから、来るって約束しろ。いいな?」
「ええと……努力する」
「けっ! やっぱりムカつく野郎だぜ、てめぇは!!」
それから、しっかりと掴んだボールを頭の上に高く掲げ、小山田は囁くように言った。
「残り時間もあと少しだ……。よし、仕掛けるぞ! てめぇも攻めに参加しろ! いいな!?」
「オッケィさ! 僕らのチカラ、タツヒコの奴に見せつけてトドメ刺してやろうぜ、ダッチ!」
――どん!――ピッ!
「ち――っ! ナマイキな真似してくれるじゃねえかよぉ、インチキ野郎に根暗野郎がぁ!」
小山田のチャージでラインを割らされてしまったタツヒコがいらだちを隠せない声音で詰め寄る。さりげなく僕は二人の近くまで駆け寄ったが――いや、もう心配はいらないだろう。
小山田は、威嚇するように上から下まで全身に鋭い視線を這わせるタツヒコに告げる。
「……うるせぇ、さえずるな。サッカーには、ナマイキもクソもねぇ。最後まであきらめなかったヤツにだけ、ほんのちょっぴりの運が向いてくるだけだ。俺様たちは絶っ対あきらめねぇ」
「偉そうな口ききやがってよぅ! 俺よりヘタクソのくせになぁ!」
「……確かに俺様は、お前ほどうまくはねぇさ」
そこで小山田は、うしろを振り返ってにやりと笑った。
「だがよ? 今の俺様には、頼もしい仲間がいるんだ! 背中預けられるダチ公たちがな!」
「ダチ……だと……!? けっ!」
タツヒコは血走った眼を細めて吐き捨てる。
「子分とか手下とか、奴隷とかの間違いじゃねぇのか、ダッチィ!? お前のようないばり腐った俺様野郎を、本気で信じて、仲間になる奴なんていねえ! いつか裏切られるだろうぜ!」
「………………かもしんねぇな」
小山田の返事までには間が空いた。
たちまちタツヒコは、にんまり、と獲物を見つけたハイエナのごとく笑みを浮かべたが、
「でもよ? それでもまずは、俺様がココロの底から信じてやらねぇといけねぇんだ。じゃなけりゃ、あいつらだって本気で信じちゃくれねぇ。お互いが信じあってこそ、ダチ公なんだぜ」
「な……!?」
タツヒコの笑顔はしぼんで消え、驚愕と失望とがないまぜになった表情になる。
そして、心底腹立たしそうに足元の砂つぶてを蹴りつけて、甲高い声で吐き捨てた。
「け――っ! くだらねぇ! とんだガキのお遊びだぜぇ!」
そのまま走り去っていくタツヒコには目もくれず、足元のボールを拾い上げた小山田は、スローインの構えをする寸前、僕をじっと見つめて言った。
「なあ、ナプキ――いや、モリケン?」
「えっ……?」
「なんだよ、てめぇ……呼んじゃ悪いのかよ? あだ名は、し、親愛のなんとかなんだろ?」
「………………うん。そうだよ、ダッチ」
「俺様は怖かったのかもしれねぇ……。てめぇみたいなヤツが、いつの間にか仲間を集めて、いつかこのクラスのリーダーになっていくのかも、ってな? 俺様は……俺はやっぱり――」
僕は笑うとあっさりと首を振る。
「僕は、リーダーってガラじゃないし、クラスのまとめ役になんてなれないよ。何年か、何十年か経ってオトナになった時、ひさしぶりに同窓会やろうぜ! って声をかけてみんなを集められるのは、ダッチみたいな本当のリーダーだからこそできることなのさ。……頼んだぜ!」
小山田は――まるで泣き顔のように顔を歪めて、ぎこちなく笑ってみせる。
「……ああ。やってやるよ。てめぇも絶っ対呼んでやるから、来るって約束しろ。いいな?」
「ええと……努力する」
「けっ! やっぱりムカつく野郎だぜ、てめぇは!!」
それから、しっかりと掴んだボールを頭の上に高く掲げ、小山田は囁くように言った。
「残り時間もあと少しだ……。よし、仕掛けるぞ! てめぇも攻めに参加しろ! いいな!?」
「オッケィさ! 僕らのチカラ、タツヒコの奴に見せつけてトドメ刺してやろうぜ、ダッチ!」
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