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本編
(番外編)相原の後悔
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俺はただアイツを独り占めしたかっただけなんだ。
小学生のときに兄貴が読んでいた異世界物のラノベを読んですっかりハマってしまった。兄貴の本は全部読んで、自分でも買っていたけれど少ない小遣いで買える数はたかが知れていた。地域の図書館でもラノベの棚はあったのだが、人気のある作品はいつも貸出中でなかなか読むことができなかった。
中学生になって学校の図書室にもラノベが置いてあると知りテンションが上がった。でも友達にラノベが好きだと話すと「中二病かよ w」と揶揄われたのであまり知られないようにコッソリと通っていた。
何度か図書室に行ったときに、一番奥の窓際の席にいつも同じ男子生徒が座っていることに気が付いた。
明るい茶髪が目立っていたので最初は「不良も図書室に通うんだな」と思っていた。少し長い前髪で顔がよく見えないけれど、上靴の色で同学年だとわかった。
「なぁ、何の本読んでるんだ?」
入学してから1ヶ月、どうしても気になったので初めてアイツに声をかけたみた。
パッと驚いた表情で顔を上げたその人の目は髪と同じで明るい茶色だった。目を見れば髪の色は地毛だったんだなということがわかる。
その日から本を勧め合ったり感想を言い合う関係になった。俺の好きな異世界物は読んだことがないジャンルらしく、
「この前の本は転生だったけどこれは転移なのか。色んなパターンがあって面白いね。」
「最初から言葉が通じたり文字が読めるような力って便利だけどある日突然消えたりしないのかなぁ?」
「多種族の設定覚えたよ。僕は獣人が好きかな。」
などと勧めた本は必ず読んで感想をくれるので嬉しくてたまらなかった。
図書室で会うのは昼休みとアイツの部活が休みの木曜日の放課後だけ。クラスが離れているから図書室以外で会うことはない。クラスの友人と喋るのも楽しいが、本の話は絶対にしない。
ある日の休み時間、隣の席の女子たちがファッション雑誌を片手に騒いでいる。
「あーTHUMUカッコ良い。顔面国宝。尊い。早く活動再開してほしい。」
「そういえばTHUMUのお兄さんがこの学校にいるらしいよ。」
「ええ!?だれだれ!?カッコ良い?」
「ほら、2組の茶髪で不良っぽい人いるでしょ?」
「ええ!あの人?顔は知らないや。THUMUがカッコ良すぎてグレちゃったのかなー?」
何言ってんだ。あれは地毛だ。目を見たらわかるだろ。
スマホで検索したらすぐに"THUMU"情報は出てきた。確かにアイツには似ていなかった。
*******************************
2年になってもクラスは一緒にはなれなかった。相変わらず俺とアイツの図書室通いは続いている。テスト前になると部活も休みになるため図書室で一緒に勉強をした。俺が教えてもらうことがほとんどだったが。
変わったことといえば今年はアイツの弟が活動再開したらしく、教室では女子が毎日のように騒いでいた。
「ねぇねぇTHUMUのお兄さん見た?」
「見たっていうか、THUMUにファンレター渡してもらおうと思ったら冷たく断られた。」
「ええー渡すくらい良いじゃんねぇ。」
そりゃあんなにしつこく絡んでいたら冷たくもなるんじゃないかな。
何となく図書室以外では話さない俺たち。たまにアイツを見かけるといつも女子に囲まれているが、それは全然羨ましい光景ではなく、
打算的な「友達になろう」という誘い
「THUMUの情報が欲しい」
「THUMUに物を渡して欲しい」
といった要望ばかりで、図々しい奴は
「THUMUの私物やサインが欲しい」
と言っていた。
こんなところを見ていたので連絡先を聞き辛くなった。あいつらと同じ目的だと思われたら立ち直れなくなる。
さすがに家までついてくるような人はいないらしいと周りの人からの噂話でアイツの状況を聞く。俺と図書室で話すときは本の話ばかりで、日常生活で煩わしい思いをしているはずなのに愚痴の一つもこぼさない。アイツが話さないなら俺も聞かない。
俺と話すことは楽しい?
少しは気分転換になってる?
俺はこの時間を誰にも邪魔されたくないよ
****************************
もうすぐ冬休み。テストも終わってあとは冬休みを待つばかり。来年はアイツと同じクラスになれたらなと思いながら、部活に入っていない友人と2人で放課後の教室でだらだらと喋っていた。他のクラスメイトもちらほらと教室に残っている。
「なぁ相原、図書室でいつも喋ってる茶髪の奴って友達?」
「そうだけど、なんで?」
「俺ミステリー小説が好きで、いつも面白そうな本を借りてるなと思ってたから話してみたかったんだよ。今度一緒のときに話しかけていい?」
そういやこいつは図書委員だったな。仕事中の図書委員は私語禁止だから話しかけてきたことはなかったから忘れていた。
「えっ!茶髪ってTHUMUのお兄さんのこと!?何で仲良いの!私も紹介して!」
「何だよ横から。THUMUって誰?」
突然会話に入ってきたこの女は以前からしつこくアイツに絡んでいた奴だ。紹介とか絶対に嫌だ。図書委員のこいつはTHUMUのことを知らないみたいだな。ただ純粋にアイツと話してみたいんだろうなということがわかる。アイツはいい奴でちゃんと話せば誰だって好きになる。
でも俺の中に自分でも気付かないような独占欲が湧いた。あの、2人だけの時間を誰にも奪われたくないと思ってしまった。
「やだよ俺だってまだ連絡先も聞けてないのに。」
「えっ!あんたもTHUMU兄と仲良くなってTHUMUを紹介してもらうつもり!?」
何言ってるんだ。皆が同じだと思うなよ。でも、そう思ってもらったほうが牽制になるかもしれない。
「そりゃそうだろ。紹介してくれなんて皆言ってるだろ?でもこういうのは興味ないふりして自分から言わせるようにするんだよ。」
だから、つい俺はアイツとは友達関係ではないという話を作りたくて口から出任せを言った。自分と同じ考えを持っていると思ったクラスメイトの女はそれ以上は紹介しろとは言ってこなかった。
図書委員の奴は「それにしちゃお前楽しそうだったけどな」とイマイチ納得していなかったがそれ以上は何も言われなかった。
そんなことより俺は教室を離れていく明るい茶髪が見えたことに酷く動揺していた。
その日から図書室でアイツを見かけなくなった。短縮授業なので実質昼休みはないものだったが、今までの短縮授業では長めの休み時間のときに会えていた。
やっぱりあの日教室から見えた姿はアイツだった?俺の出任せを聞いていた?
教室が離れているので俺とアイツが会える場所なんて図書室以外は意図しなければないのだと気付いた。
確認する勇気が出ないまま冬休みに入ってしまった。連絡先も交換していないので会うことも話すこともできない。
年末はずっと暗い気持ちでいたが、年明けと共に気持ちを切り替えた。学校が始まったらアイツの教室に行こう。
もしあの日、俺の出任せを聞いていたなら精一杯謝ろう。もしかしたら許してくれないかもしれないけれど本心ではなかったと伝えたい。
もし、許してくれたら連絡先を聞こう。昼休みとたまの放課後だけじゃ全然足りない。
こんなに冬休みが長く感じたのは初めてだ。
明日は始業式。
やっとアイツに会える。
(終わり)
小学生のときに兄貴が読んでいた異世界物のラノベを読んですっかりハマってしまった。兄貴の本は全部読んで、自分でも買っていたけれど少ない小遣いで買える数はたかが知れていた。地域の図書館でもラノベの棚はあったのだが、人気のある作品はいつも貸出中でなかなか読むことができなかった。
中学生になって学校の図書室にもラノベが置いてあると知りテンションが上がった。でも友達にラノベが好きだと話すと「中二病かよ w」と揶揄われたのであまり知られないようにコッソリと通っていた。
何度か図書室に行ったときに、一番奥の窓際の席にいつも同じ男子生徒が座っていることに気が付いた。
明るい茶髪が目立っていたので最初は「不良も図書室に通うんだな」と思っていた。少し長い前髪で顔がよく見えないけれど、上靴の色で同学年だとわかった。
「なぁ、何の本読んでるんだ?」
入学してから1ヶ月、どうしても気になったので初めてアイツに声をかけたみた。
パッと驚いた表情で顔を上げたその人の目は髪と同じで明るい茶色だった。目を見れば髪の色は地毛だったんだなということがわかる。
その日から本を勧め合ったり感想を言い合う関係になった。俺の好きな異世界物は読んだことがないジャンルらしく、
「この前の本は転生だったけどこれは転移なのか。色んなパターンがあって面白いね。」
「最初から言葉が通じたり文字が読めるような力って便利だけどある日突然消えたりしないのかなぁ?」
「多種族の設定覚えたよ。僕は獣人が好きかな。」
などと勧めた本は必ず読んで感想をくれるので嬉しくてたまらなかった。
図書室で会うのは昼休みとアイツの部活が休みの木曜日の放課後だけ。クラスが離れているから図書室以外で会うことはない。クラスの友人と喋るのも楽しいが、本の話は絶対にしない。
ある日の休み時間、隣の席の女子たちがファッション雑誌を片手に騒いでいる。
「あーTHUMUカッコ良い。顔面国宝。尊い。早く活動再開してほしい。」
「そういえばTHUMUのお兄さんがこの学校にいるらしいよ。」
「ええ!?だれだれ!?カッコ良い?」
「ほら、2組の茶髪で不良っぽい人いるでしょ?」
「ええ!あの人?顔は知らないや。THUMUがカッコ良すぎてグレちゃったのかなー?」
何言ってんだ。あれは地毛だ。目を見たらわかるだろ。
スマホで検索したらすぐに"THUMU"情報は出てきた。確かにアイツには似ていなかった。
*******************************
2年になってもクラスは一緒にはなれなかった。相変わらず俺とアイツの図書室通いは続いている。テスト前になると部活も休みになるため図書室で一緒に勉強をした。俺が教えてもらうことがほとんどだったが。
変わったことといえば今年はアイツの弟が活動再開したらしく、教室では女子が毎日のように騒いでいた。
「ねぇねぇTHUMUのお兄さん見た?」
「見たっていうか、THUMUにファンレター渡してもらおうと思ったら冷たく断られた。」
「ええー渡すくらい良いじゃんねぇ。」
そりゃあんなにしつこく絡んでいたら冷たくもなるんじゃないかな。
何となく図書室以外では話さない俺たち。たまにアイツを見かけるといつも女子に囲まれているが、それは全然羨ましい光景ではなく、
打算的な「友達になろう」という誘い
「THUMUの情報が欲しい」
「THUMUに物を渡して欲しい」
といった要望ばかりで、図々しい奴は
「THUMUの私物やサインが欲しい」
と言っていた。
こんなところを見ていたので連絡先を聞き辛くなった。あいつらと同じ目的だと思われたら立ち直れなくなる。
さすがに家までついてくるような人はいないらしいと周りの人からの噂話でアイツの状況を聞く。俺と図書室で話すときは本の話ばかりで、日常生活で煩わしい思いをしているはずなのに愚痴の一つもこぼさない。アイツが話さないなら俺も聞かない。
俺と話すことは楽しい?
少しは気分転換になってる?
俺はこの時間を誰にも邪魔されたくないよ
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もうすぐ冬休み。テストも終わってあとは冬休みを待つばかり。来年はアイツと同じクラスになれたらなと思いながら、部活に入っていない友人と2人で放課後の教室でだらだらと喋っていた。他のクラスメイトもちらほらと教室に残っている。
「なぁ相原、図書室でいつも喋ってる茶髪の奴って友達?」
「そうだけど、なんで?」
「俺ミステリー小説が好きで、いつも面白そうな本を借りてるなと思ってたから話してみたかったんだよ。今度一緒のときに話しかけていい?」
そういやこいつは図書委員だったな。仕事中の図書委員は私語禁止だから話しかけてきたことはなかったから忘れていた。
「えっ!茶髪ってTHUMUのお兄さんのこと!?何で仲良いの!私も紹介して!」
「何だよ横から。THUMUって誰?」
突然会話に入ってきたこの女は以前からしつこくアイツに絡んでいた奴だ。紹介とか絶対に嫌だ。図書委員のこいつはTHUMUのことを知らないみたいだな。ただ純粋にアイツと話してみたいんだろうなということがわかる。アイツはいい奴でちゃんと話せば誰だって好きになる。
でも俺の中に自分でも気付かないような独占欲が湧いた。あの、2人だけの時間を誰にも奪われたくないと思ってしまった。
「やだよ俺だってまだ連絡先も聞けてないのに。」
「えっ!あんたもTHUMU兄と仲良くなってTHUMUを紹介してもらうつもり!?」
何言ってるんだ。皆が同じだと思うなよ。でも、そう思ってもらったほうが牽制になるかもしれない。
「そりゃそうだろ。紹介してくれなんて皆言ってるだろ?でもこういうのは興味ないふりして自分から言わせるようにするんだよ。」
だから、つい俺はアイツとは友達関係ではないという話を作りたくて口から出任せを言った。自分と同じ考えを持っていると思ったクラスメイトの女はそれ以上は紹介しろとは言ってこなかった。
図書委員の奴は「それにしちゃお前楽しそうだったけどな」とイマイチ納得していなかったがそれ以上は何も言われなかった。
そんなことより俺は教室を離れていく明るい茶髪が見えたことに酷く動揺していた。
その日から図書室でアイツを見かけなくなった。短縮授業なので実質昼休みはないものだったが、今までの短縮授業では長めの休み時間のときに会えていた。
やっぱりあの日教室から見えた姿はアイツだった?俺の出任せを聞いていた?
教室が離れているので俺とアイツが会える場所なんて図書室以外は意図しなければないのだと気付いた。
確認する勇気が出ないまま冬休みに入ってしまった。連絡先も交換していないので会うことも話すこともできない。
年末はずっと暗い気持ちでいたが、年明けと共に気持ちを切り替えた。学校が始まったらアイツの教室に行こう。
もしあの日、俺の出任せを聞いていたなら精一杯謝ろう。もしかしたら許してくれないかもしれないけれど本心ではなかったと伝えたい。
もし、許してくれたら連絡先を聞こう。昼休みとたまの放課後だけじゃ全然足りない。
こんなに冬休みが長く感じたのは初めてだ。
明日は始業式。
やっとアイツに会える。
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