異世界転移魔方陣をネットオークションで買って行ってみたら、日本に帰れなくなった件。

蛇崩 通

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第五話 いけにえになってしまった

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  第五話 いけにえになってしまった
 そのときだった。
 「にえだよ! 生け贄を差し出せば、満腹するはず」
 サソリ姫だ。
 「すでに男を十一名も喰った。だからあと二名か三名、生け贄を喰えば、満腹して襲ってこないはず」
 「そうよ、そのとおりよ」
 毒薔薇姫も同調した。
 サソリ姫が、女生徒たちを見回した。
 誰もが、恐怖で硬直した。
 目があった瞬間に、恐怖で悲鳴をもらす女生徒もいた。
 多くの女生徒が、サソリ姫と目があわないように、うつむいた。
 目が、あってしまった。
 サソリ姫が叫んだ。
 「黒髪の新入り! 最初の生け贄は、あんただよ!」
 言葉を続けた。サソリ姫が。
 「あんたの名前は……。ええっ、と……」
 言葉に詰まった。
 すかさず、取り巻きの少女たちが、口を開いた。サソリ姫をサポートするために。
 「イガイガ」
 「ガシガシ」
 「トッチオ」
 すぐさま、答えた。
 「三人とも不正解です。ボクの名前は、トウキチロー・イガラシ(五十嵐 十吉郎)です」
 「トッキロ?」
 取り巻き少女の一人が、尋ねるように言った。
 「まあ、それでいいです」
 実は、教師も十吉郎の名前を発音できない。
 そのため、教師公認の通称ができた。
 その通称は、トッキロ・イガラシウスだ。
 名前だけ聞くと、この異世界の支配者階層っぽい名前だ。
 教師たちに、相場通りの賄賂を渡したおかげだ。
 そのおかげで、教師たちからは、いじめられていない。
 ちなみに、あまり豊かではない家の娘で賄賂を相場通り払えず、そのうえ成績も良くないと、教師たちからいじめられる。
 百円ショップで買ったガラス製品が高く売れたおかげで、学費も賄賂も、キチンと払えている。
 サソリ姫が、意地悪そうな顔で言った。
 「黒髪の新入り! 生け贄として、最初に喰われな! あたしに逆らい続けた罰だよ!」
 入学したばかりの時に、サソリ姫率いる不良少女グループに、からまれた。
 「税金を払え!」と突然言われた。
 サソリ姫は、おとなしい女生徒たちから、お金をカツアゲしていた。
 不良少女の金づるなんかには、なりたくなかった。
 そこで、「あなたは役人ですか?」と尋ねてみた。
 思わず、口ごもった。サソリ姫たちが。
 たたみかけた。
 「どのような名目の税金ですか? 営業税ですか? ボクはなにも営業していませんよ」
 襲ってきた。サソリ姫が。両手を伸ばして。
 「生意気な口をきくな」と叫びながら。
 首を絞めようとしてきた。
 だがその直前、両手で彼女の両手首をつかんだ。
 「離せよ!」
 だが、離さなかった。
 蹴りを入れてきた。
 少し足を上げて、足首でカットした。彼女のローキックを。
 「痛い!」
 蹴った側のサソリ姫が、そう叫んだ。
 もう一発、逆の足で蹴ってきた。
 また、足首でカットした。
 「痛いだろ!」
 サソリ姫が、そう怒鳴った。涙目で。
 「蹴るのをやめれば、痛い目にあわずにすみますよ」
 そう、答えた。
 「覚えてろよ」
 そう捨てゼリフを残して、去っていった。
 それ以降、頻繁に、からんできた。
 だが言葉だけで、暴力はふるってこなかった。
 蹴った足が、だいぶ痛かったようだ。
 「トッキロを先頭に立たせな!」
 サソリ姫が、不良少女たちに命じた。
 だが、不良少女たちは、トッキロの反撃を恐れて動かない。
 サソリ姫が、言葉を続けた。
 「二番目の生け贄は、黒髪のブスだ!」
 不良少女たちが、すぐに動いた。
 小柄な黒髪少女が、拘束された。
 彼女の名前は、シルキア。
 東方人系のルックスだが、母親は王都育ちの中央人のため、彼女は漢字の読み書きはできない。
 「いや! やめて!」
 シルキアが泣き叫んだ。
 両腕をつかまれたシルキアは、アース・ドラゴンの前に引きづり出された。
 「誰か助けて! お願いよ! なんでもするから!」
 だが誰も、彼女を助ける者は、いなかった。
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