異世界転移魔方陣をネットオークションで買って行ってみたら、日本に帰れなくなった件。

蛇崩 通

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第十四話 魔族と交渉してみた

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  第十四話 魔族と交渉してみた
 たたき落とした。
 トッキロが、木製のつえで。
 バレーボール大のファイアー・ボールを。
 毒薔薇姫に、あたる寸前に。
 ファイアー・ボールは、火種となっている物をたたき落とせば、火球もたたき落とせる。
 デーモン・チーフが投げつけたファイアー・ボールの火種は、二酸化炭素から分離した炭素のかたまりのようだ。
 毒薔薇姫は悲鳴をあげて、トッキロの背後に隠れた。
 デーモン・チーフが、大声で呼びかけた。
 「黒髪の人間! わたしは、おまえの質問に答えたぞ! 今度は、おまえがわたしの質問に答える番だ!」
 そのときだった。
 毒薔薇姫が、気を取り直して大声で尋ねた。
 「お金以外の、なにが欲しいの? 欲しいものは、なんでもあげるわ! なんでも言ってちょうだい!」
 数秒間、デーモン・チーフが考え込んだ。
 冷静さを、取り戻したようだ。
 「そうだな。そこにいる人間の女たち全員を、われらに渡せ。そうすれば、おまえのことは、見逃してやろう」
 冗談じゃない。そんな要求は、受け入れることは、絶対にできない。
 だが、毒薔薇姫が即答した。
 「いいわ! 半分で、どう?」
 女生徒たちが、どよめいた。まさかの発言に。
 毒蛇姫が、小声で抗議した。
 「ちょっと、半分って、どういうことよ?」
 「だいじょうぶよ。ヤツは交渉に乗ってきたわ。渡すのは、貧乏人だけですむわ」
 「九割だ!」
 そう、デーモン・チーフが怒鳴った。
 それに対し、毒薔薇姫も大声で答えた。
 「六割で、どう!」
 まずい。こんな交渉は。
 そう思い、間髪入れずに大声で尋ねた。トッキロが。
 「人間の女を手に入れて、どうするつもりだ?」
 「うに決まってるだろ!」
 やっぱりそうか、と思った。
 噂では、魔族は人間を喰う、と言われている。
 本当だったようだ。
 トッキロが、大声でさらに尋ねた。
 「おまえ一人でか?」
 「そんなわけ、ないだろ! われらは、人間のような利己主義者ではない。うまい食い物は、皆で分けあって喰う」
 「何人で喰うんだ?」
 一瞬、押し黙った。デーモン・チーフが。
 「言うわけ、ないだろ! おまえ、われらの戦力を聞き出すつもりだろうが、その手になんか、のるか!」
 ダメだったか。
 気を取り直して、さらに尋ねた。トッキロが。
 「なまで喰うのか?」
 「そんなわけ、あるか! われらは野獣ではない」
 とはいえ、原始人には見える。
 なぜなら、身につけている衣服は、腰巻き一枚だ。その皮は、ワニ革だろうか。
 靴も、はいていない。足の指の爪は、鋭そうだ。
 デーモン・チーフが、言葉を続けた。
 「肉は、火で焼いて喰う。人間の若い女の丸焼きは、やわらかくてうまいぞ。特に肉付きの良い女は、脂がのっていて、なおうまい」
 そう言って、ガハハと笑った。デーモン・チーフが。
 ブチッと切れた。
 次の瞬間、つぶやいた。小さな声で。
 「ウオーター・アロー」
 頭上の水球から、高圧水が飛んだ。半メートルほどの長さの矢状の水が。
 貫通した。デーモン・チーフの左胸を。
 少しずつ、前進していた。デーモン・チーフは。話しながら。
 トッキロも、同様だ。
 おたがいの魔法攻撃を、あてるために。
 すでに、互いの距離は、三十メートルを切っていた。
 互いに、魔法攻撃の射程圏内だ。
 デーモン・チーフは、バタリと倒れた。あおむけに。
 やったか。
 そう思った直後、上半身を起こした。デーモン・チーフが。
 「卑怯者ひきょうものめ! 突然攻撃するなんて!」
 心臓を、はずしたようだ。
 あるいは、心臓に細い穴を開ける程度では、すぐに再生するのか。
 もっと大きく破壊しなければ。魔族の心臓を。
 怒鳴り返した。トッキロが。
 「人のこと言えるか! おまえだって、突然攻撃しただろ! 毒薔薇姫を!」
 デーモン・チーフも、怒鳴り返した。
 「わたしの質問に答えよ! 黒髪の人間!」
 「誰が答えるか! 交渉決裂だ!」
 「それなら、おまえら皆殺しだ! 全員ぶっ殺して、死体を喰ってやる!」
 一気に、デーモン・チーフが距離を詰めてきた。ものすごい速度で。
 女生徒たちが、悲鳴をあげた。
 あまりの恐怖で。
 毒薔薇姫も、毒蛇姫も、サソリ姫も。
 それにアミーアやエメラルディア、シルキアたちも。
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