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第十五話 魔族と闘ってみた
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第十五話 魔族と闘ってみた
一瞬だった。
バッサリと斬った。
デーモン・チーフの胴体を。
エア・ソードで。
左足を、ななめ後方に一歩、引きながら。
真っ二つに引き裂かれた。デーモン・チーフの胴体が。
トッキロの目の前で。
「おのれ!」
そう、声を絞り出した。デーモン・チーフが。
胴体を上下に切断されたにもかかわらず、即死しない。
両手で這って、後退しようとした。デーモン・チーフの上半身が。
切断された下半身に、上半身を繋げるためだろう。
デーモン・チーフの上半身は、トッキロの足下、二メートル半ほど先にある。
足早に、接近した。少し左に回り込むように。
切り落とした。
エア・ソードで。
デーモン・チーフの首を。
出血は、すぐに止まった。
皮膚が再生して。
首のほうは。
よく見ると、上半身のほうの傷口は、すでに皮膚が再生して出血が止まっている。
だが、下半身のほうの傷口は、大量出血し続けている。皮膚も再生していない。
どうやら、心臓が送り出す血液の量によって、再生する皮膚の面積が異なるようだ。
「おのれ……」
そう、ふりしぼったデーモン・チーフの声は、弱々しかった。
どうも顔色も、青いようだ。
もともとの皮膚の色が暗緑色のため、ハッキリとは分からないが。
話しかけてみた。トッキロが。
「もうしばらくたつと、おまえ、死ぬんじゃないのか? 脳への血液が足りなくなって」
「わかった。取引しよう。そのかわり、首を上半身に、つなげてくれ」
冷たく尋ねた。トッキロが。
「なにを取引するんだ?」
「喰う女の数は、半分でいい」
その瞬間、斬った。エア・ソードで。デーモン・チーフの頭部を。左右に。
だが、切れなかった。出血はしたが。頭蓋骨は、かなり固いようだ。
「痛いだろ。敗者をいたぶるとは、人間はどこまで極悪非道で残虐なのか」
「おまえら魔族だって残虐だろ。人間を喰っているんだから」
「人間は食い物だから、残虐じゃない。豚や牛を喰っても、残虐じゃないだろ」
「人間は、豚や牛とは違う」
「同じだ。人間なんて、豚や牛と」
次の瞬間、切り裂いた。ウオーター・カッターの高圧水で。頭部を左右に。
絶命した。デーモン・チーフが。
念のために、上半身の心臓も、破壊した。
最初にエア・ソードで試し、そのあとウオーター・カッターで確実に破壊した。
恐る恐る、尋ねてきた。毒薔薇姫が。
「確実に死んだかしら?」
「ああ。だいじょうぶだ。これでもう、再生することはない」
その瞬間、歓喜の声をあげた。毒薔薇姫が。
「わたくしたちの勝利よ!」
女生徒たちが、歓喜乱舞した。涙を流しながら。
「さすが、わたくしが率いる一組ね」
そう自画自賛する毒薔薇姫に、毒蛇姫が小声で毒づいた。
「あなたは、なにもしてないけどね」
「えっ? なにか言った?」
「いえ、なにも」
そのときだった。
兵士が二名走ってきた。南側から。
「伝令! 伝令!」
息を切らしながら、叫んだ。伝令の一人が。
「救援要請! 陥落寸前! 南城壁、第三十番砦が! 火炎魔法の使い手、求む!」
南城壁の第三十番砦は、南城壁の最も東側にある。つまり、王都の城壁の南東の角だ。
毒蛇姫が、驚愕した。
「まさか! 南城壁が、陥落寸前なんて! だってあそこには、一流の魔法使いが何人もいるんでしょ。Aランク魔法使いに、Sランク魔法使いだって」
クラス委員長のアーミアも、驚愕していた。
「南城壁には、北校の生徒たちも従軍しているはず。彼女たちは、一流の魔法使いのはず」
副委員長のエメラルディアが、言葉を継いだ。
「北校には、先祖代々受け継いできた魔法剣を持つ魔法貴族の娘たちがいるはずよ」
聞いたことがある。貴族しか入学できない王立魔法学園北校には、魔法剣を持つ少女たちがいる、と。
魔法剣には、複雑で高度な魔法詠唱が刻まれている。そのため魔法剣の使い手は、わずかな詠唱で、巨大な魔法を発動できるそうだ。
毒薔薇姫も、口を開いた。
「三大魔法剣姫だっけ? 火炎魔法剣の使い手、炎姫と、あと、なんだったかしら?」
毒蛇姫が答えた。
「雷鳴魔法剣の雷姫と、氷結魔法剣の氷姫よ」
伝令が、口をはさんだ。大声で。
「その氷姫様からの救援要請です!」
驚愕の声をあげた。女生徒たち全員が。
「三大魔法剣姫がいるのに、陥落寸前だなんて!」
伝令が、答えた。
「氷魔法はアース・ドラゴンとは相性が悪いそうで、だから火炎魔法の使い手を何人か、できれば十数人、南校から借りたいとのことです」
伝令によると、第三十番砦は現在、氷姫が実質的な指揮を執っているらしい。
毒薔薇姫が、首を振った。涙目で。
「ムリムリ、絶対無理。三大魔法剣姫でも負けそうなところになんて行ったら、すぐに殺されちゃう」
第2章「南城壁攻防戦」に続く
一瞬だった。
バッサリと斬った。
デーモン・チーフの胴体を。
エア・ソードで。
左足を、ななめ後方に一歩、引きながら。
真っ二つに引き裂かれた。デーモン・チーフの胴体が。
トッキロの目の前で。
「おのれ!」
そう、声を絞り出した。デーモン・チーフが。
胴体を上下に切断されたにもかかわらず、即死しない。
両手で這って、後退しようとした。デーモン・チーフの上半身が。
切断された下半身に、上半身を繋げるためだろう。
デーモン・チーフの上半身は、トッキロの足下、二メートル半ほど先にある。
足早に、接近した。少し左に回り込むように。
切り落とした。
エア・ソードで。
デーモン・チーフの首を。
出血は、すぐに止まった。
皮膚が再生して。
首のほうは。
よく見ると、上半身のほうの傷口は、すでに皮膚が再生して出血が止まっている。
だが、下半身のほうの傷口は、大量出血し続けている。皮膚も再生していない。
どうやら、心臓が送り出す血液の量によって、再生する皮膚の面積が異なるようだ。
「おのれ……」
そう、ふりしぼったデーモン・チーフの声は、弱々しかった。
どうも顔色も、青いようだ。
もともとの皮膚の色が暗緑色のため、ハッキリとは分からないが。
話しかけてみた。トッキロが。
「もうしばらくたつと、おまえ、死ぬんじゃないのか? 脳への血液が足りなくなって」
「わかった。取引しよう。そのかわり、首を上半身に、つなげてくれ」
冷たく尋ねた。トッキロが。
「なにを取引するんだ?」
「喰う女の数は、半分でいい」
その瞬間、斬った。エア・ソードで。デーモン・チーフの頭部を。左右に。
だが、切れなかった。出血はしたが。頭蓋骨は、かなり固いようだ。
「痛いだろ。敗者をいたぶるとは、人間はどこまで極悪非道で残虐なのか」
「おまえら魔族だって残虐だろ。人間を喰っているんだから」
「人間は食い物だから、残虐じゃない。豚や牛を喰っても、残虐じゃないだろ」
「人間は、豚や牛とは違う」
「同じだ。人間なんて、豚や牛と」
次の瞬間、切り裂いた。ウオーター・カッターの高圧水で。頭部を左右に。
絶命した。デーモン・チーフが。
念のために、上半身の心臓も、破壊した。
最初にエア・ソードで試し、そのあとウオーター・カッターで確実に破壊した。
恐る恐る、尋ねてきた。毒薔薇姫が。
「確実に死んだかしら?」
「ああ。だいじょうぶだ。これでもう、再生することはない」
その瞬間、歓喜の声をあげた。毒薔薇姫が。
「わたくしたちの勝利よ!」
女生徒たちが、歓喜乱舞した。涙を流しながら。
「さすが、わたくしが率いる一組ね」
そう自画自賛する毒薔薇姫に、毒蛇姫が小声で毒づいた。
「あなたは、なにもしてないけどね」
「えっ? なにか言った?」
「いえ、なにも」
そのときだった。
兵士が二名走ってきた。南側から。
「伝令! 伝令!」
息を切らしながら、叫んだ。伝令の一人が。
「救援要請! 陥落寸前! 南城壁、第三十番砦が! 火炎魔法の使い手、求む!」
南城壁の第三十番砦は、南城壁の最も東側にある。つまり、王都の城壁の南東の角だ。
毒蛇姫が、驚愕した。
「まさか! 南城壁が、陥落寸前なんて! だってあそこには、一流の魔法使いが何人もいるんでしょ。Aランク魔法使いに、Sランク魔法使いだって」
クラス委員長のアーミアも、驚愕していた。
「南城壁には、北校の生徒たちも従軍しているはず。彼女たちは、一流の魔法使いのはず」
副委員長のエメラルディアが、言葉を継いだ。
「北校には、先祖代々受け継いできた魔法剣を持つ魔法貴族の娘たちがいるはずよ」
聞いたことがある。貴族しか入学できない王立魔法学園北校には、魔法剣を持つ少女たちがいる、と。
魔法剣には、複雑で高度な魔法詠唱が刻まれている。そのため魔法剣の使い手は、わずかな詠唱で、巨大な魔法を発動できるそうだ。
毒薔薇姫も、口を開いた。
「三大魔法剣姫だっけ? 火炎魔法剣の使い手、炎姫と、あと、なんだったかしら?」
毒蛇姫が答えた。
「雷鳴魔法剣の雷姫と、氷結魔法剣の氷姫よ」
伝令が、口をはさんだ。大声で。
「その氷姫様からの救援要請です!」
驚愕の声をあげた。女生徒たち全員が。
「三大魔法剣姫がいるのに、陥落寸前だなんて!」
伝令が、答えた。
「氷魔法はアース・ドラゴンとは相性が悪いそうで、だから火炎魔法の使い手を何人か、できれば十数人、南校から借りたいとのことです」
伝令によると、第三十番砦は現在、氷姫が実質的な指揮を執っているらしい。
毒薔薇姫が、首を振った。涙目で。
「ムリムリ、絶対無理。三大魔法剣姫でも負けそうなところになんて行ったら、すぐに殺されちゃう」
第2章「南城壁攻防戦」に続く
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