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第2章 南城壁攻防戦 <第一話 姫を救おう>
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第一話 姫を救おう
「行きましょう。ボクが。救援に」
トッキロが、伝令にそう答えた。
クラス委員長のアーミアが、すぐさま口をはさんだ。
「あたしはクラス委員長として、この持ち場を離れるわけには、いかないわ」
「だったら、あたしが行くわ」
即答した。副委員長のエメラルディアが。
「トッキロのウオーター・ボールの水補給には、十数人以上いたほうが良いわ。半分、あたしについてきて」
エメラルディアが、そう呼びかけた。二組や三組の女生徒たちにも。
「ちょっと、待ちなさいよ」
毒薔薇姫がエメラルディアに抗議した。
「トッキロがいなくなったら、誰が、わたくしを守るのよ」
「このあたりには、もう見える範囲内には、魔族も魔獣もいないですよ」
そう、あっさりと答えた。トッキロが。
「わたくしを、守りなさい。お金なら、あげるわ。金貨百枚で、どう?」
「いえ、ボクは救援に向かいます。南城壁第三十番砦へ」
「氷姫のほうが、いいっていうの? わたくしよりも」
たしかに、氷姫には興味がある。すごい美少女のような予感もする。
だが、そんな下心は、おくびにも出さなかった。
「南城壁を突破されたら、南区の民衆が、アース・ドラゴンに喰われてしまいます」
「べつに良いじゃない。貧乏人なんて、いくら喰われても」
南区の北側には高級住宅街があるが、南側は低所得層の居住地だ。特に、南東の角の内側周辺は、極貧層が住むスラム街だ。
トッキロが、冷静に答えた。
「アース・ドラゴンは、人間を喰えば喰うほど巨大化します。南区南東のスラム街には、たくさんの人間が住んでいますからねえ。十メートル級のアース・ドラゴンも、あっという間に三十メートル級、いや、五十メートルや百メートルに、なるかもしれませんよ」
息をのんだ。毒薔薇姫が。百メートルのアース・ドラゴンを、想像してしまったのだ。
「そうなったら、南区北部の高級住宅街も、全滅しますね」
そのときだった。毒蛇姫が、肘で小突いた。毒薔薇姫の脇腹を。
「これは、チャンスよ」
「なんのチャンスよ?」
「貴族令嬢を救えば、あたしたちの名声が高まるわ」
「もう充分、名声なんてあるわ。わたくしには。なぜなら、わたくしは南区総督の娘なのだから」
「それは、平民区である南区の中だけでしょ」
毒薔薇姫の父は、貴族だ。だが彼女の母は、平民だ。そのうえ、正式な妻ではなく、愛人だ。そのため毒薔薇姫も、平民身分だ。
毒薔薇姫の母方の祖父は、南区の大商人の富豪だ。母方の祖父は、南区総督とのコネづくりのために、自分の娘を捧げたのだ。愛人として、総督に。
とはいえ、毒薔薇姫は、それなりに父に愛されているようだ。
毒蛇姫も、同様だ。父の南区警察署長は下級貴族だが、平民の母は愛人のため、毒蛇姫も平民身分だ。
「あたしたちのようなニセモノの姫様ではなく、本物の貴族令嬢を救えば、本物の貴族男性と結婚できるかもしれないわ。正妻として。つまり、玉の輿よ」
そのコソコソ話に耳をそばだてていたサソリ姫が、目を爛々と輝かせた。
玉の輿、に惹かれたのだろう。
手下の不良少女たちに、呼びかけた。
「あたしらも、トッキロと共に、南城壁に行くよ」
「でも姉御、南城壁は激戦で、危険なんじゃ……」
「カネの匂いのするところは、危険なものだよ」
サソリ姫が、ニヤついた。
「貴族令嬢を救えば、大金がザクザク手に入るかも。それに、戦うのはトッキロだけ。あたしたちは、サポートするだけ」
毒蛇姫が、毒薔薇姫に呼びかけた。
「トッキロがいれば、勝てるわよ。今までまったく知らなかったけど、トッキロの魔法戦闘力は、Aランク魔法使い並よ。たぶん」
それから、小声でささやいた。
「そして手柄は、あたしたちのもの。なぜなら貴族は、貴族の血を引く者しか、目に入らない。つまり、あたしたちしか認識しない。東方のド田舎から出てきた平民のトッキロなんて、あたしたちの従者くらいだとしか思わないわよ」
話が、まとまった。
毒薔薇姫たちも、南城壁へ救援に行くことになった。
毒薔薇姫が、号令をかけた。実際には、何の権限もないのだが。
「みんな、行くわよ! 南城壁へ。氷姫を救いに!」
「行きましょう。ボクが。救援に」
トッキロが、伝令にそう答えた。
クラス委員長のアーミアが、すぐさま口をはさんだ。
「あたしはクラス委員長として、この持ち場を離れるわけには、いかないわ」
「だったら、あたしが行くわ」
即答した。副委員長のエメラルディアが。
「トッキロのウオーター・ボールの水補給には、十数人以上いたほうが良いわ。半分、あたしについてきて」
エメラルディアが、そう呼びかけた。二組や三組の女生徒たちにも。
「ちょっと、待ちなさいよ」
毒薔薇姫がエメラルディアに抗議した。
「トッキロがいなくなったら、誰が、わたくしを守るのよ」
「このあたりには、もう見える範囲内には、魔族も魔獣もいないですよ」
そう、あっさりと答えた。トッキロが。
「わたくしを、守りなさい。お金なら、あげるわ。金貨百枚で、どう?」
「いえ、ボクは救援に向かいます。南城壁第三十番砦へ」
「氷姫のほうが、いいっていうの? わたくしよりも」
たしかに、氷姫には興味がある。すごい美少女のような予感もする。
だが、そんな下心は、おくびにも出さなかった。
「南城壁を突破されたら、南区の民衆が、アース・ドラゴンに喰われてしまいます」
「べつに良いじゃない。貧乏人なんて、いくら喰われても」
南区の北側には高級住宅街があるが、南側は低所得層の居住地だ。特に、南東の角の内側周辺は、極貧層が住むスラム街だ。
トッキロが、冷静に答えた。
「アース・ドラゴンは、人間を喰えば喰うほど巨大化します。南区南東のスラム街には、たくさんの人間が住んでいますからねえ。十メートル級のアース・ドラゴンも、あっという間に三十メートル級、いや、五十メートルや百メートルに、なるかもしれませんよ」
息をのんだ。毒薔薇姫が。百メートルのアース・ドラゴンを、想像してしまったのだ。
「そうなったら、南区北部の高級住宅街も、全滅しますね」
そのときだった。毒蛇姫が、肘で小突いた。毒薔薇姫の脇腹を。
「これは、チャンスよ」
「なんのチャンスよ?」
「貴族令嬢を救えば、あたしたちの名声が高まるわ」
「もう充分、名声なんてあるわ。わたくしには。なぜなら、わたくしは南区総督の娘なのだから」
「それは、平民区である南区の中だけでしょ」
毒薔薇姫の父は、貴族だ。だが彼女の母は、平民だ。そのうえ、正式な妻ではなく、愛人だ。そのため毒薔薇姫も、平民身分だ。
毒薔薇姫の母方の祖父は、南区の大商人の富豪だ。母方の祖父は、南区総督とのコネづくりのために、自分の娘を捧げたのだ。愛人として、総督に。
とはいえ、毒薔薇姫は、それなりに父に愛されているようだ。
毒蛇姫も、同様だ。父の南区警察署長は下級貴族だが、平民の母は愛人のため、毒蛇姫も平民身分だ。
「あたしたちのようなニセモノの姫様ではなく、本物の貴族令嬢を救えば、本物の貴族男性と結婚できるかもしれないわ。正妻として。つまり、玉の輿よ」
そのコソコソ話に耳をそばだてていたサソリ姫が、目を爛々と輝かせた。
玉の輿、に惹かれたのだろう。
手下の不良少女たちに、呼びかけた。
「あたしらも、トッキロと共に、南城壁に行くよ」
「でも姉御、南城壁は激戦で、危険なんじゃ……」
「カネの匂いのするところは、危険なものだよ」
サソリ姫が、ニヤついた。
「貴族令嬢を救えば、大金がザクザク手に入るかも。それに、戦うのはトッキロだけ。あたしたちは、サポートするだけ」
毒蛇姫が、毒薔薇姫に呼びかけた。
「トッキロがいれば、勝てるわよ。今までまったく知らなかったけど、トッキロの魔法戦闘力は、Aランク魔法使い並よ。たぶん」
それから、小声でささやいた。
「そして手柄は、あたしたちのもの。なぜなら貴族は、貴族の血を引く者しか、目に入らない。つまり、あたしたちしか認識しない。東方のド田舎から出てきた平民のトッキロなんて、あたしたちの従者くらいだとしか思わないわよ」
話が、まとまった。
毒薔薇姫たちも、南城壁へ救援に行くことになった。
毒薔薇姫が、号令をかけた。実際には、何の権限もないのだが。
「みんな、行くわよ! 南城壁へ。氷姫を救いに!」
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