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第2章第十一話 姫たちの顔合わせ
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第2章第十一話 姫たちの顔合わせ
「いないだろう」
氷姫が、そう答えた。あっさりと。
トッキロが、さらに尋ねた。疑問に思った点を。
「アース・ドラゴンの群れが、この第三十砦を包囲した状態で、一部のアース・ドラゴンが南城壁を越えることは、可能なのでは?」
「そうかもしれないが、今までのところ、そのような報告は、ない」
「南城壁東端の内側は貧民街で、多数の人間が住んでいます。建物の多くは木製賃貸住宅で、多くの貧民が密集して暮らしています。アース・ドラゴンにとっては、絶好の餌場になるのに、なぜ、南城壁を越えないのでしょうか?」
「目の前に、たくさんのエサがあるからだろう。我々というエサが第三十砦に立て籠もっているかぎり、アース・ドラゴンは砦の中の人間に執着する」
そうだろうか。
そうかもしれないが、他の理由が、あるかもしれない。
なぜなら、アース・ドラゴンは、魔族が操っているからだ。
東城壁では、三名の魔族が、合計十一匹のアース・ドラゴンを操っていた。
操るのには、距離制限が、あるのかもしれない。
あるいは、分厚い城壁が間にあると、アース・ドラゴンと視覚や聴覚を共有できなくなる、とか。
だが、そうした考えは、言葉には出さなかった。
「なるほど。では、スカイ・ドラゴンは、南城壁を越えましたか?」
「偵察のためか、ときどき南城壁を越えて、王都の空を飛んでいる」
「スカイ・ドラゴンが、王都の住民を襲ったことは?」
「今のところ、まだ聞いたことがない」
「スカイ・ドラゴンも、肉食のはずです。なぜ王都の住民を襲わないのですか?」
「その理由は簡単だ。スカイ・ドラゴンは、風に乗って飛ぶ。鳥のように自由自在に飛べるわけではない。いったん王都内に着地したら、風が吹かないため、城壁より高く飛べない。だから、王都の上空を偵察飛行だけして、王都内には着地しないのだ」
「なるほど。安心しました。氷姫の奮戦のおかげで、王都の民が守られていることが分かって」
ちょっと、お世辞を言った。
「わたしは、自らの使命を果たしているだけだ」
氷姫のその言葉は、本音だと思った。
腐敗堕落した異世界のこの王国にも、気高い人がいるのだ、と感銘を受けた。ちょっとだけだが。
もう一つの懸念事項を、話した。アーミアたちのことだ。
「東城壁では今日、魔王軍の第一波攻撃で、警備の将兵は全員、アース・ドラゴンに喰われました。第一波攻撃は魔法で撃退したのですが、第二波攻撃が心配です。クラスメイトの半分が、東城壁に残っているので」
「東城壁の場合、第二波攻撃は、ないだろう」
「なぜですか?」
「東城壁と西城壁への魔王軍の攻撃は、陽動だ。ゆえに、二日か三日に一度、魔王軍は小規模な攻撃を仕掛けてくる。だが、その攻撃に備えるために、我々は、貴重な戦力を東城壁と西城壁に、さかなければない」
なるほど。
では、少なくとも今日と明日くらいまでは、東城壁のアーミアたちは安全か。
「勉強になりました。氷姫様」
「うむ。それより、天井窓がアース・ドラゴンの死骸で塞がれている以上、どうやって、砦の屋内に戻るかが問題だ。このままでは、魔王軍の第三波攻撃の前に、暑さで倒れてしまう」
「それなら、北側から降りられます。アース・ドラゴンの死骸がスロープのようになっていますので」
氷姫と兵士たちを連れて、砦の北側の端に向かった。
北側の端に立つと、毒薔薇姫たちの集団が見えた。
彼女たちが、歓喜の声をあげた。
「生きてた! トッキロが!」
サソリ姫が大声で毒づいた。
「死んだと思っただろ! いつまでも帰ってこないから!」
「みなさん、このかたが、氷姫様です」
砦の屋上で、氷姫を紹介した。
突然、氷姫が大きな声で呼びかけた。
「南校の諸君、救援、助かった。心より、感謝する」
歓喜の声をあげた。南校の女生徒たち約三十名が。
「いないだろう」
氷姫が、そう答えた。あっさりと。
トッキロが、さらに尋ねた。疑問に思った点を。
「アース・ドラゴンの群れが、この第三十砦を包囲した状態で、一部のアース・ドラゴンが南城壁を越えることは、可能なのでは?」
「そうかもしれないが、今までのところ、そのような報告は、ない」
「南城壁東端の内側は貧民街で、多数の人間が住んでいます。建物の多くは木製賃貸住宅で、多くの貧民が密集して暮らしています。アース・ドラゴンにとっては、絶好の餌場になるのに、なぜ、南城壁を越えないのでしょうか?」
「目の前に、たくさんのエサがあるからだろう。我々というエサが第三十砦に立て籠もっているかぎり、アース・ドラゴンは砦の中の人間に執着する」
そうだろうか。
そうかもしれないが、他の理由が、あるかもしれない。
なぜなら、アース・ドラゴンは、魔族が操っているからだ。
東城壁では、三名の魔族が、合計十一匹のアース・ドラゴンを操っていた。
操るのには、距離制限が、あるのかもしれない。
あるいは、分厚い城壁が間にあると、アース・ドラゴンと視覚や聴覚を共有できなくなる、とか。
だが、そうした考えは、言葉には出さなかった。
「なるほど。では、スカイ・ドラゴンは、南城壁を越えましたか?」
「偵察のためか、ときどき南城壁を越えて、王都の空を飛んでいる」
「スカイ・ドラゴンが、王都の住民を襲ったことは?」
「今のところ、まだ聞いたことがない」
「スカイ・ドラゴンも、肉食のはずです。なぜ王都の住民を襲わないのですか?」
「その理由は簡単だ。スカイ・ドラゴンは、風に乗って飛ぶ。鳥のように自由自在に飛べるわけではない。いったん王都内に着地したら、風が吹かないため、城壁より高く飛べない。だから、王都の上空を偵察飛行だけして、王都内には着地しないのだ」
「なるほど。安心しました。氷姫の奮戦のおかげで、王都の民が守られていることが分かって」
ちょっと、お世辞を言った。
「わたしは、自らの使命を果たしているだけだ」
氷姫のその言葉は、本音だと思った。
腐敗堕落した異世界のこの王国にも、気高い人がいるのだ、と感銘を受けた。ちょっとだけだが。
もう一つの懸念事項を、話した。アーミアたちのことだ。
「東城壁では今日、魔王軍の第一波攻撃で、警備の将兵は全員、アース・ドラゴンに喰われました。第一波攻撃は魔法で撃退したのですが、第二波攻撃が心配です。クラスメイトの半分が、東城壁に残っているので」
「東城壁の場合、第二波攻撃は、ないだろう」
「なぜですか?」
「東城壁と西城壁への魔王軍の攻撃は、陽動だ。ゆえに、二日か三日に一度、魔王軍は小規模な攻撃を仕掛けてくる。だが、その攻撃に備えるために、我々は、貴重な戦力を東城壁と西城壁に、さかなければない」
なるほど。
では、少なくとも今日と明日くらいまでは、東城壁のアーミアたちは安全か。
「勉強になりました。氷姫様」
「うむ。それより、天井窓がアース・ドラゴンの死骸で塞がれている以上、どうやって、砦の屋内に戻るかが問題だ。このままでは、魔王軍の第三波攻撃の前に、暑さで倒れてしまう」
「それなら、北側から降りられます。アース・ドラゴンの死骸がスロープのようになっていますので」
氷姫と兵士たちを連れて、砦の北側の端に向かった。
北側の端に立つと、毒薔薇姫たちの集団が見えた。
彼女たちが、歓喜の声をあげた。
「生きてた! トッキロが!」
サソリ姫が大声で毒づいた。
「死んだと思っただろ! いつまでも帰ってこないから!」
「みなさん、このかたが、氷姫様です」
砦の屋上で、氷姫を紹介した。
突然、氷姫が大きな声で呼びかけた。
「南校の諸君、救援、助かった。心より、感謝する」
歓喜の声をあげた。南校の女生徒たち約三十名が。
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