異世界転移魔方陣をネットオークションで買って行ってみたら、日本に帰れなくなった件。

蛇崩 通

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第3章第三話 魔王の娘の要求その二

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  第3章第三話 魔王の娘の要求その二
 そのときだった。二本角のデーモン・ゼネラルが、耳打ちをした。炎龍王女に。
 「そうだ。そうだった」
 炎龍王女が、思い出したという表情をした。
 「言ってなかったな。われの奴隷になる条件を」
 アサレウスが、口を開いた。
 「だから、言っておるじゃろ。我々は、奴隷にはならんと」
 彼の言葉を無視して、炎龍王女が言葉を続けた。
 「人間どもが一番大好きなものを、くれてやろう。カネだ。金貨や銀貨をくれてやる」
 「買収は、されんぞ」
 さらに、言葉を続けた。炎龍王女が。
 「国境山岳地帯の金銀銅山は、すべて閉山する。けれども、すでに造った金銀銅貨は、すべて、われが差し押さえたあと、われの奴隷となった人間どもに、くれてやろう」
 「だまされるでないぞ!」
 振り返らずに怒鳴った。アサレウスが、後方の兵士たちに。
 炎龍王女も、怒鳴った。
 「いくらでもくれてやる! 欲しいだけくれてやるぞ! 金貨でも、銀貨でも。カネは大好物だろ、人間どもの!」
 そのときだった。
 氷姫が、口を開いた。大声で。宣言するように。
 「カネよりも大切なものがある! 人間には!」
 「そうなのか?」
 驚いた表情で尋ねた。炎龍王女が。
 雷姫が、吐き捨てた。
 「さっきから言ってるだろ。自由だって」
 氷姫が、彼女の言葉を継いだ。
 「自由、ほこり、国と王への忠誠心、それに」
 そこで、大声を張りあげた。
 「正義だ!」
 さらに言葉を続けた。早口で。
 「この国を侵略し、人間を殺して喰らう極悪非道の魔族は、絶対悪だ! ゆえに魔族に協力する者は、人間の世界の裏切り者だ! そのような正義に反する行為をする者は、ここには、いない!」
 炎龍王女が叫んだ。驚いた表情で。
 「おかしい! おかしいぞ! この人間の女は! 人間どもは、カネのためなら、なんでもする連中のはずだ。実際、われは見てきた。国境近郊でも、南部州でも。カネのために、同じ人間を裏切る者たちを」
 そういうことか。魔王軍の王都への進行が、速かったのは。
 トッキロは、内心そう思った。
 南部州の州都は、高く分厚い城壁に守られた要塞都市なのに、簡単に陥落した。
 中部州南部に位置する中部南要塞も、あっさりと陥落した。三日ほどで。
 魔王軍の北上を阻止するために、建造された。前回の魔王軍侵攻のあとに。難攻不落の要塞のはずだった。
 買収されたのだ。要塞の司令官が。だから、簡単に陥落したのだ。
 この王国は汚職まみれで、腐敗堕落している。
 相手が魔族であっても、簡単に買収される役人たちが、いるのだ。
 とくに、地方には。
 なぜなら、地方に配属される役人は、エリートコースから外れた者たちだからだ。
 ゆえに、できるだけ貯め込もうとする。カネを。役人として権力を握っている間に。手当たり次第に賄賂を要求して。
 一方、北校の魔法剣姫たちは、学生でまだ若い。
 そのため、腐敗堕落していない。少なくとも今はまだ。
 けがれていないのだ。カネや賄賂、特権や役得に。
 アサレウスが、大声で問いかけた。炎龍王女に。
 「それで、そなたの要求その二は、なにか? あるんじゃろ。要求その一があったのだから。要求その二が。聞くだけなら、聞いてやろう」
 気を、取り直した。炎龍王女が。
 「われらの要求その二!」
 さらに、大声を張りあげた。炎龍王女が。
 「毎年、われらにささげよ! 一万人の若い処女を!」
 どよめいた。兵士たちも、女生徒たちも。その異常な要求に。
 この王国の公式人口は、百万人とされている。
 一学年あたりの女性の数は、一万人前後になる計算だ。
 実際には、戸籍に登録されていない無産者の貧困層が、かなりいる。
 そのため本当の人口は、百数十万人から、最大で二百万人と推計されている。
 アサレウスが、問いかけた。大声で。怒気を含んだ声で。
 「一万人の処女を入手して、どうするのか?」
 「決まっている」
 高らかに笑った。炎龍王女が。
 「喰うのだ。人間の若い女は、肉が軟らかくて、うまいから」
 ブチ切れた。雷姫が。
 さけんだ。魔法剣をきながら。
 「ぶっ殺す! 魔族は全員!」
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