異世界転移魔方陣をネットオークションで買って行ってみたら、日本に帰れなくなった件。

蛇崩 通

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第4章第七話 潜入作戦

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  第4章第七話 潜入作戦
 「変化なし。見張りの魔族以外は、皆、寝ているわ」
 黒猫姫が、そう答えた。フクロウが、鳴いたあとに。
 炎姫が、命じた。
 「作戦続行だ。計画通りに」

 * * * * * *

 トッキロが、炎姫に声をかけた。
 「ここで、休憩しましょう」
 炎姫が、命じた。全員に。
 「全軍、停止! ここで、二回目の休憩だ!」
 けっこう、大きな声だった。
 だが、魔王軍野営陣地の南西端から、一キロメートルほどは離れている。
 そのため、魔王軍に気づかれることは、ないだろう。
 そのうえ、この場所は、魔王軍の野営陣地から見て、丘の裏側にあたる。
 王都の周辺に広がる牧草地は、平地ではなく、緩やかな丘陵地だ。
 せいぜい丘の高さは、数メートルから十数メートルほどに過ぎないが。
 そのため、王都の高さ二十五メートルの外壁の屋上から見れば、丘は、視界をさえぎる障害物にはならない。
 だが、平地に陣を敷いている魔王軍からは、丘の裏側は死角にあたる。
 左手首の腕時計を見た。すでに、午前一時を過ぎている。
 トッキロが炎姫に頼んで、臨時作戦会議を開いてもらった。幹部だけの会議を。
 集まったのは、北校は、三年生の炎姫、氷姫、雷姫、それに二年生の黒猫姫、一年生の首席姫。南校は、トッキロに加え、毒薔薇姫、毒蛇姫、サソリ姫、それに、南校女生徒たちの事実上のリーダー的役割を果たすようになったエメラルディア。さらに、兵士たちの指揮官、臨時百人隊長代行のキルギウス。合計十一名だ。
 トッキロが、口を開いた。
 「ここで、部隊を二つに分けましょう。一つは、魔王軍の野営陣地に潜入する部隊。残りは、ここで待機する部隊です」
 炎姫が尋ねた。憮然ぶぜんとした表情で。
 「全員で、潜入するのでは、なかったのか?」
 「当初の私の案では、そうでした。南校の生徒が全員参加するとは、思ってもいなかったので」
 「潜入するには、人数が多すぎるということか」
 「それもありますが、南校生徒の半数は、すでに体力を消耗しており、ある程度の休憩時間が必要です」
 「たしかに、そのようだな」
 「潜入部隊は、私と、兵士十名。兵士たちは、バックアップの十名が良いでしょう。弓兵も二名いますし。それに、数名の魔法使い。特に、リリーシア王女殿下と、お目にかかったことのある北校の生徒が、最低一名は必要です」
 「あたしが同じクラスよ。王女殿下と」
 首席姫が、そう答えた。
 トッキロは、黙って見た。首席姫を。三秒間ほど。
 「あたしで、なにか問題でも?」
 その問いかけに、トッキロは答えた。
 「いえ。なにも」
 首席姫は、気難しそうな少女なので、苦手意識が若干ある。トッキロとしては。
 「わたしも、参加しよう」
 氷姫が、名乗り出た。
 「助かります。万が一の時に、氷姫様がいれば、安心です」
トッキロが、そう答えた直後、雷姫が口を開いた。
 「あたしも参加するぜ」
 「そなたは、ここに残って炎姫のサポートをせよ」
 氷姫のその主張に、即座に反論した。雷姫が。
 「敵に見つかったときに、あたしがいなけりゃ、戦力不足だろ」
 たしかに、そのとおりではある。
 だが、雷姫は荒っぽい性格なので、彼女自身の言動で、敵に発見されるのではないかと、心配だ。
 「あたしも、参加するよ。強力な毒が、必要なんだろ」
 そう言って、ニヤついた。サソリ姫が。
 「毒薬は、提供していただければ、潜入部隊に参加しなくても、かまいませんよ」
 「なに言ってんだよ。こんなにスリルのある重大なイベント、参加しないわけないだろ。それに、毒薬のあつかかた素人しろうとに、まかせられるかよ」
 サソリ姫にも、苦手意識がある。トッキロは。教室で何度も、からまれたので。
 だが、拒否しづらい状況だ。彼女の参戦を。
 「危険な作戦ですよ。死ぬかも、しれないですよ」
 鼻で笑った。サソリ姫が。トッキロの、その言葉に。
 「もう、腹をくくってるよ。危険、上等! 死なんて、怖くないね」
 言葉を続けた。サソリ姫が。いやらしいみを浮かべて。
 「それに、本当に危なくなったら、トッキロを盾にするから」
 「ボクがけたら、敵の攻撃が直撃しますよ」
 「よけるなよ!」
 「やですよ。絶対に、よけますからね」
 爆笑した。氷姫が。それに、炎姫も。
 「仲が、良いのだな。そなたらは」
 本当は全然、仲など良くないのだが。
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