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第4章第八話 潜入開始
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第4章第八話 潜入開始
開始した。魔族の野営陣地への潜入を。南側から。
魔族野営陣地の南側は、王都から見て、裏手側にあたる。
よって、夜襲に対する魔族側の警戒が、緩い場所だ。
潜入作戦参加者は、兵士十名。北校の生徒は、三年生の氷姫と雷姫、二年生の黒猫姫と、一年生の首席姫だ。南校は、トッキロとサソリ姫の二名。合計、十六名だ。
潜入部隊の隊長は氷姫で、副隊長が雷姫だ。
黒猫姫が参加したのは、フクロウを使って、常に敵陣の状況を偵察するためだ。
そのフクロウのもたらした情報により、魔族の警備が、最も薄い場所を、事前に把握できた。
野営陣地を取り囲むアース・ドラゴンが、一列だけの場所だ。
姿勢を低くし、アース・ドラゴンの列に、百数十メートルまで接近した。潜入部隊の十六名が。
トッキロが小声で、ささやいた。
「アース・ドラゴンに毒を撃ち込み、戦闘不能にします。ここからは、私一人でアース・ドラゴンに接近しますので、みなさまは、ここにいてください」
「了解した」
氷姫が、即答した。
「それでは、サソリ姫様、サソリ毒の小瓶を、一瓶提供してください」
ニヤリと笑った。サソリ姫が。
「なに言ってんだよ。あたしも行くよ」
「危険ですよ」
「平気さ。なにせ、アース・ドラゴンは皆、眠りこけているから」
「熟睡していても、敵が接近すると、尻尾で攻撃することがあるそうです。十メートル級アース・ドラゴンの尻尾の一撃を喰らったら、即死しますよ」
「トッキロだって、即死じゃん。尻尾の一撃を喰らったら」
「ボクは、地面に伏せて避けますから」
「だったら、あたしも地面に伏せて避けるよ」
しかたなく、一緒に行くことになった。アース・ドラゴンの列に。二人きりで。
トッキロは左腕に水壺を抱え、右手に木製の杖を持ち、姿勢を低くして前進した。
サソリ姫は、トッキロのななめ後方から、ついてくる。
トッキロが、足を止めた。アース・ドラゴンから三十メートルほど離れた位置で。
「どうしたんだい?」
小声で尋ねた。サソリ姫が、足を止めて。
「このへんで、ウオーター・ボールを作ります」
小声で、風魔法の魔法詠唱を始めた。
本当は、魔法詠唱をする必要はない。
だが、無詠唱魔法の使い手だとバレると、面倒ごとに巻き込まれる恐れがある。そのため、無詠唱魔法を使えることは、秘密にしている。
小さな竜巻が発生した。大きさは、手のひらサイズだ。
水壺の中の水を、空中に巻き上げた。
竜巻が、上に伸びた。三十センチメートルほど。
テニスボールほどの大きさのウオーター・ボールが、空中に形成された。
魔法で形成した水球を、自分から一メートルほど離した。
「サソリ姫様、この水球に、強力な毒を入れてください」
「あいよ」
ウエストバッグから小瓶を取り出し、上から毒を注いだ。空中に浮かぶ水球に。
サソリ姫をその場に残し、トッキロだけ、接近した。アース・ドラゴンの列に。空中浮遊させた毒入り水球と共に。
十五メートルほどまで、接近した。アース・ドラゴンの列に。
だが、アース・ドラゴンは皆、眠りこけている。
さらに、接近した。十メートル付近まで。
もう、このへんで良いだろう。
毒入り水球から、ウオーター・アローを放った。左右二匹のアース・ドラゴンに。
閉じたまぶたに刺さった。毒入り水矢が。
いや、刺さったと言うより、注入した、と言ったほうがより正確だ。
毒入り水矢は、眼球を破壊し、頭蓋骨の中に入り、脳を破壊したはずだ。
アース・ドラゴンは、脳を破壊されても、数十秒で再生する。
だが、毒が体内に入ると、活動を停止する。再生能力も低下、もしくは一時停止する。
ゆえに、この二匹のアース・ドラゴンは、当面は活動停止状態となるはずだ。
数分間か、十数分間かは、分からないが。
手招きした。トッキロが、サソリ姫に。
サソリ姫が、後方を振り返って口笛を吹いた。
氷姫や兵士たちが、静かに小走りで前進した。
十六名全員が、集合した。
トッキロが、小声でささやいた。
「さあ、潜入開始です。王女殿下を、救出しましょう」
開始した。魔族の野営陣地への潜入を。南側から。
魔族野営陣地の南側は、王都から見て、裏手側にあたる。
よって、夜襲に対する魔族側の警戒が、緩い場所だ。
潜入作戦参加者は、兵士十名。北校の生徒は、三年生の氷姫と雷姫、二年生の黒猫姫と、一年生の首席姫だ。南校は、トッキロとサソリ姫の二名。合計、十六名だ。
潜入部隊の隊長は氷姫で、副隊長が雷姫だ。
黒猫姫が参加したのは、フクロウを使って、常に敵陣の状況を偵察するためだ。
そのフクロウのもたらした情報により、魔族の警備が、最も薄い場所を、事前に把握できた。
野営陣地を取り囲むアース・ドラゴンが、一列だけの場所だ。
姿勢を低くし、アース・ドラゴンの列に、百数十メートルまで接近した。潜入部隊の十六名が。
トッキロが小声で、ささやいた。
「アース・ドラゴンに毒を撃ち込み、戦闘不能にします。ここからは、私一人でアース・ドラゴンに接近しますので、みなさまは、ここにいてください」
「了解した」
氷姫が、即答した。
「それでは、サソリ姫様、サソリ毒の小瓶を、一瓶提供してください」
ニヤリと笑った。サソリ姫が。
「なに言ってんだよ。あたしも行くよ」
「危険ですよ」
「平気さ。なにせ、アース・ドラゴンは皆、眠りこけているから」
「熟睡していても、敵が接近すると、尻尾で攻撃することがあるそうです。十メートル級アース・ドラゴンの尻尾の一撃を喰らったら、即死しますよ」
「トッキロだって、即死じゃん。尻尾の一撃を喰らったら」
「ボクは、地面に伏せて避けますから」
「だったら、あたしも地面に伏せて避けるよ」
しかたなく、一緒に行くことになった。アース・ドラゴンの列に。二人きりで。
トッキロは左腕に水壺を抱え、右手に木製の杖を持ち、姿勢を低くして前進した。
サソリ姫は、トッキロのななめ後方から、ついてくる。
トッキロが、足を止めた。アース・ドラゴンから三十メートルほど離れた位置で。
「どうしたんだい?」
小声で尋ねた。サソリ姫が、足を止めて。
「このへんで、ウオーター・ボールを作ります」
小声で、風魔法の魔法詠唱を始めた。
本当は、魔法詠唱をする必要はない。
だが、無詠唱魔法の使い手だとバレると、面倒ごとに巻き込まれる恐れがある。そのため、無詠唱魔法を使えることは、秘密にしている。
小さな竜巻が発生した。大きさは、手のひらサイズだ。
水壺の中の水を、空中に巻き上げた。
竜巻が、上に伸びた。三十センチメートルほど。
テニスボールほどの大きさのウオーター・ボールが、空中に形成された。
魔法で形成した水球を、自分から一メートルほど離した。
「サソリ姫様、この水球に、強力な毒を入れてください」
「あいよ」
ウエストバッグから小瓶を取り出し、上から毒を注いだ。空中に浮かぶ水球に。
サソリ姫をその場に残し、トッキロだけ、接近した。アース・ドラゴンの列に。空中浮遊させた毒入り水球と共に。
十五メートルほどまで、接近した。アース・ドラゴンの列に。
だが、アース・ドラゴンは皆、眠りこけている。
さらに、接近した。十メートル付近まで。
もう、このへんで良いだろう。
毒入り水球から、ウオーター・アローを放った。左右二匹のアース・ドラゴンに。
閉じたまぶたに刺さった。毒入り水矢が。
いや、刺さったと言うより、注入した、と言ったほうがより正確だ。
毒入り水矢は、眼球を破壊し、頭蓋骨の中に入り、脳を破壊したはずだ。
アース・ドラゴンは、脳を破壊されても、数十秒で再生する。
だが、毒が体内に入ると、活動を停止する。再生能力も低下、もしくは一時停止する。
ゆえに、この二匹のアース・ドラゴンは、当面は活動停止状態となるはずだ。
数分間か、十数分間かは、分からないが。
手招きした。トッキロが、サソリ姫に。
サソリ姫が、後方を振り返って口笛を吹いた。
氷姫や兵士たちが、静かに小走りで前進した。
十六名全員が、集合した。
トッキロが、小声でささやいた。
「さあ、潜入開始です。王女殿下を、救出しましょう」
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