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24 第一王女
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マントを羽織って裸を隠した私は、早々に会場を後にした。パーティに出席できる姿ではなかったからだ。
少し悔しいのは、私に続いてカレンが炎に入る姿を見られなかったってこと。まあ、多分、入らないだろうけどね。それに、王妃の悔しがる顔も、少ししか見れてない。
ドレスが消滅したのは良いとしても、国宝の紫水晶のペンダントを燃やしたのはもったいなかった。自分の失敗を反省する。炎に入る前に、外しておけばよかった。結構気に入ってたのに、うっかりしてた。悔しい。
あれから、カレンが本物の王女か偽物なのかと議論になったそうだ。
王妃とレドリオン公爵の主張は認められて、カレンは王女として迎えられることになった。レドリオン家の影響力が強かったからだ。でも、ブルーデン家の主張もあって、私が廃嫡されることはなかった。建国の炎の中に入ることができた私は、王族に間違いないって。
だから、私が第一王女、カレンは第二王女という扱いになった。王妃もレドリオン公爵も私を追い出せなかったので、ものすごく怒っていたそうだ。
でもね、レドリオン公爵の言い分はおかしすぎた。公爵家のメイドが、生まれたばかりの王女を取り替えるなんて、あんまりにも無茶苦茶な話だ。王妃の出産が突然で、あわただしかったとしても、医者や侍女はたくさんつけられていた。
大勢の使用人の目をかいくぐって、赤子を入れ替えるなんてこと、ただのメイドにできっこない。それに、全く違う色をした赤子に気が付かないなんてこと、あり得ない。
しかも、今ごろになって、「実は本当の王女は帝国にいました」って連れて来るのは、あんまりにも都合がよすぎる。
王女の入れ替えには、公爵も王妃もみんなで加担していたはずだと、誰もが口には出さずとも、思っているだろう。
それじゃあ、入れ替わっていた人形姫はどこの誰なのか?
王妃が主張する薄汚い孤児って言う説は、私が建国女王の炎の中に入って見せたことでなくなった。
紫の瞳をしているだけでなく、まぎれもなく王族の血をひくと証明されたのだ。
先王の隠し子ではないかというのが大半の貴族たちの見解だった。
母親が卑しい身分だとしても、紫の目を持ち、建国女王に認められている。
そうなると、王位継承権は、やはりフェリシティ王女にというのが貴族の半数の意見だ。残りの半分はレドリオン公爵派だ。
国王の実の娘こそ、次の女王にふさわしいと。
「王女様! すっごく格好良かったです! 建国女王の炎は王族を傷つけないって言うのは、本当だったんですね!」
マリリンは興奮したように、目をキラキラさせた。
「ああ、これで、だれも王女様のことを人形姫なんてバカにしませんよ。だって、伝説を本物にしちゃったんですから」
「ところで、あの後、カレンは炎には入らなかったの?」
私が炎に入って見せて、本物だってことを証明したのだ。カレンにも同じことをするように周囲が期待したはず。見られなくて残念だわ。
「それがですね。カレン様は怖がって泣き出したんです。なんか、火の恐怖症なんだって。それがなければ、自分も証明できるのにって」
「証明……そうね。混ざりもののね」
「え? なんです?」
小さくつぶやくと、マリリンが聞き返したけれど、それには答えない。
王族は紫の瞳を持つ。これは建国女王から続く決まりだ。でも、カレンにそれが受け継がれなかったのは、きっと……。
「そろそろお茶会の時間ね。もう行くわ」
ほの暗い気持ちを打ち消して、部屋を出る準備をする。
アーサーとの茶会の時間だ。婚約者が断罪されているのに、庇いもしなかった薄情者とね。
マリリンを後ろに連れて、部屋を出る。
炎に入って、宝石を無駄にしてしまったけど、良かったこともある。
離宮の使用人が戻された。でも、最低限の人数だけどね。そして、侍女がつけられた。
貴族の侍女をつけると言われたけど、それを断って、マリリンを推薦した。だって、レドリオン家が私の様子を報告させるために侍女をつけるつもりでしょう? それなら、平民のマリリンの方がましよ。
マリリンはもちろん大喜びした。そして、アーサーとのお茶会に付いて来た。
少し悔しいのは、私に続いてカレンが炎に入る姿を見られなかったってこと。まあ、多分、入らないだろうけどね。それに、王妃の悔しがる顔も、少ししか見れてない。
ドレスが消滅したのは良いとしても、国宝の紫水晶のペンダントを燃やしたのはもったいなかった。自分の失敗を反省する。炎に入る前に、外しておけばよかった。結構気に入ってたのに、うっかりしてた。悔しい。
あれから、カレンが本物の王女か偽物なのかと議論になったそうだ。
王妃とレドリオン公爵の主張は認められて、カレンは王女として迎えられることになった。レドリオン家の影響力が強かったからだ。でも、ブルーデン家の主張もあって、私が廃嫡されることはなかった。建国の炎の中に入ることができた私は、王族に間違いないって。
だから、私が第一王女、カレンは第二王女という扱いになった。王妃もレドリオン公爵も私を追い出せなかったので、ものすごく怒っていたそうだ。
でもね、レドリオン公爵の言い分はおかしすぎた。公爵家のメイドが、生まれたばかりの王女を取り替えるなんて、あんまりにも無茶苦茶な話だ。王妃の出産が突然で、あわただしかったとしても、医者や侍女はたくさんつけられていた。
大勢の使用人の目をかいくぐって、赤子を入れ替えるなんてこと、ただのメイドにできっこない。それに、全く違う色をした赤子に気が付かないなんてこと、あり得ない。
しかも、今ごろになって、「実は本当の王女は帝国にいました」って連れて来るのは、あんまりにも都合がよすぎる。
王女の入れ替えには、公爵も王妃もみんなで加担していたはずだと、誰もが口には出さずとも、思っているだろう。
それじゃあ、入れ替わっていた人形姫はどこの誰なのか?
王妃が主張する薄汚い孤児って言う説は、私が建国女王の炎の中に入って見せたことでなくなった。
紫の瞳をしているだけでなく、まぎれもなく王族の血をひくと証明されたのだ。
先王の隠し子ではないかというのが大半の貴族たちの見解だった。
母親が卑しい身分だとしても、紫の目を持ち、建国女王に認められている。
そうなると、王位継承権は、やはりフェリシティ王女にというのが貴族の半数の意見だ。残りの半分はレドリオン公爵派だ。
国王の実の娘こそ、次の女王にふさわしいと。
「王女様! すっごく格好良かったです! 建国女王の炎は王族を傷つけないって言うのは、本当だったんですね!」
マリリンは興奮したように、目をキラキラさせた。
「ああ、これで、だれも王女様のことを人形姫なんてバカにしませんよ。だって、伝説を本物にしちゃったんですから」
「ところで、あの後、カレンは炎には入らなかったの?」
私が炎に入って見せて、本物だってことを証明したのだ。カレンにも同じことをするように周囲が期待したはず。見られなくて残念だわ。
「それがですね。カレン様は怖がって泣き出したんです。なんか、火の恐怖症なんだって。それがなければ、自分も証明できるのにって」
「証明……そうね。混ざりもののね」
「え? なんです?」
小さくつぶやくと、マリリンが聞き返したけれど、それには答えない。
王族は紫の瞳を持つ。これは建国女王から続く決まりだ。でも、カレンにそれが受け継がれなかったのは、きっと……。
「そろそろお茶会の時間ね。もう行くわ」
ほの暗い気持ちを打ち消して、部屋を出る準備をする。
アーサーとの茶会の時間だ。婚約者が断罪されているのに、庇いもしなかった薄情者とね。
マリリンを後ろに連れて、部屋を出る。
炎に入って、宝石を無駄にしてしまったけど、良かったこともある。
離宮の使用人が戻された。でも、最低限の人数だけどね。そして、侍女がつけられた。
貴族の侍女をつけると言われたけど、それを断って、マリリンを推薦した。だって、レドリオン家が私の様子を報告させるために侍女をつけるつもりでしょう? それなら、平民のマリリンの方がましよ。
マリリンはもちろん大喜びした。そして、アーサーとのお茶会に付いて来た。
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