12 / 35
第12話 銀髪の一族
しおりを挟む
「僕たち一族は、国祖様によってダムランドが建国されるよりもはるか昔から、この地に住む先住民でした」
◇◆◇◆
ラフィトによれば、今から400年ほど前、大陸から移民を引き連れて、オスベルという男がこの地にやってきた。
大陸では文明の発達に伴い、精霊信仰が急速に失われつつあった。
人々は精霊の加護によって魔法を行使していたため、大陸からは魔法もまた姿を消しつつあった。
オスベルはこのような事態を重く捉え、新天地にて精霊信仰を復興し、新たな魔法国家の建国を目指した。
志を同じくする民を従え、大陸を離れ、精霊の湖がある北の離島に移り住んだ。
新天地には、銀髪の先住民がいた。
彼らは、オスベルたち移民を快く受け入れた。
オスベルたちもまた、新天地での生活を指南してくれる彼らに、敬意を持って接した。
数年の後、新天地での生活は軌道に乗り始め、人口も安定的に増加してきた。
オスベルは、かねてからの願いであった、新国家の設立に着手した。
精霊信仰を基盤とした、魔法国家の建設だった。
国を興すにあたり、オスベルは銀髪の一族に敬意を払い、王族として迎え入れた。
そして、彼らの持つ不思議な力を借りて、国全体を巨大な結界で覆い、外界との接触を絶った。
初代の王となったオスベルは、自らを国祖と名乗り、国名をダムランドと定め、精霊の湖の東方の肥沃な土地に、王都ルグナールを建設した。
◇◆◇◆
「ここまでは、皆さんの知る建国史と、概ね同様ではないでしょうか?」
「そうだな。銀髪の一族のくだり以外は、だが」
「そうね」
ラフィトは、軽くうなずくと続けた。
◇◆◇◆
建国後、しばらくは平穏な時が続いた。
しかし、世の常か、いつしか王族の中にはいくつかの派閥が生まれた。
中でも、精霊至上主義の強硬派たちは、不思議な力を持つ銀髪の一族を敵視するようになった。
そしてとうとう、銀髪の一族が国家の転覆を図っている、という罪状をでっち上げ、民衆にも流布した。
争いを好まない銀髪の一族は、自らオスベルに左遷を願い出た。
国祖オスベルは、政争の火種となりつつある銀髪の一族を、断腸の思いで辺境地帯へと追放した。
◇◆◇◆
「そんな…ひどすぎるよ!」
マリアーナは、思わず叫んだ。
そして、はっとしてリドールを見た。
「気を使わなくてもいい」
リドールは、顔をしかめて言った。
「王族の俺でも虫酸が走る」
「でも、必然だったのかもしれません。実際のところ、僕たちの使う魔法は、明らかに異質ですから。畏怖と迫害は、紙一重のものです」
「それで…あの魔法って、一体何なの? ラフィトの姿も、普段と違ってたみたいだけど」
ラフィトは少し逡巡した後、意を決したように言った。
「ぼくの使用した魔法は、遥か太古、神代の魔法です」
「え!?」
「僕たち銀髪の一族は、古代神のひとりである龍神の末裔です」
その時、慌ただしくテントの天幕が開いた。
「リドール殿下、セシウス魔法師団長がお呼びです。至急、大本営までお越しください」
◇◆◇◆
ラフィトによれば、今から400年ほど前、大陸から移民を引き連れて、オスベルという男がこの地にやってきた。
大陸では文明の発達に伴い、精霊信仰が急速に失われつつあった。
人々は精霊の加護によって魔法を行使していたため、大陸からは魔法もまた姿を消しつつあった。
オスベルはこのような事態を重く捉え、新天地にて精霊信仰を復興し、新たな魔法国家の建国を目指した。
志を同じくする民を従え、大陸を離れ、精霊の湖がある北の離島に移り住んだ。
新天地には、銀髪の先住民がいた。
彼らは、オスベルたち移民を快く受け入れた。
オスベルたちもまた、新天地での生活を指南してくれる彼らに、敬意を持って接した。
数年の後、新天地での生活は軌道に乗り始め、人口も安定的に増加してきた。
オスベルは、かねてからの願いであった、新国家の設立に着手した。
精霊信仰を基盤とした、魔法国家の建設だった。
国を興すにあたり、オスベルは銀髪の一族に敬意を払い、王族として迎え入れた。
そして、彼らの持つ不思議な力を借りて、国全体を巨大な結界で覆い、外界との接触を絶った。
初代の王となったオスベルは、自らを国祖と名乗り、国名をダムランドと定め、精霊の湖の東方の肥沃な土地に、王都ルグナールを建設した。
◇◆◇◆
「ここまでは、皆さんの知る建国史と、概ね同様ではないでしょうか?」
「そうだな。銀髪の一族のくだり以外は、だが」
「そうね」
ラフィトは、軽くうなずくと続けた。
◇◆◇◆
建国後、しばらくは平穏な時が続いた。
しかし、世の常か、いつしか王族の中にはいくつかの派閥が生まれた。
中でも、精霊至上主義の強硬派たちは、不思議な力を持つ銀髪の一族を敵視するようになった。
そしてとうとう、銀髪の一族が国家の転覆を図っている、という罪状をでっち上げ、民衆にも流布した。
争いを好まない銀髪の一族は、自らオスベルに左遷を願い出た。
国祖オスベルは、政争の火種となりつつある銀髪の一族を、断腸の思いで辺境地帯へと追放した。
◇◆◇◆
「そんな…ひどすぎるよ!」
マリアーナは、思わず叫んだ。
そして、はっとしてリドールを見た。
「気を使わなくてもいい」
リドールは、顔をしかめて言った。
「王族の俺でも虫酸が走る」
「でも、必然だったのかもしれません。実際のところ、僕たちの使う魔法は、明らかに異質ですから。畏怖と迫害は、紙一重のものです」
「それで…あの魔法って、一体何なの? ラフィトの姿も、普段と違ってたみたいだけど」
ラフィトは少し逡巡した後、意を決したように言った。
「ぼくの使用した魔法は、遥か太古、神代の魔法です」
「え!?」
「僕たち銀髪の一族は、古代神のひとりである龍神の末裔です」
その時、慌ただしくテントの天幕が開いた。
「リドール殿下、セシウス魔法師団長がお呼びです。至急、大本営までお越しください」
10
あなたにおすすめの小説
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~
甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって?
そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。
唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~
専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。
ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる