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ミスプロレス
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エミリは、NPWでは唯一、男子のメジャー系団体に所属していた経歴の持ち主である。
本名は市橋恵吾といい、小さい頃からプロレスが好きだった。
また、ここにいる人間と同様に、自分の性に違和感を持ちながら幼少期をすごした。
しかし、彼女も自分に正直に生きる事なく、周りの目を気にして、男として生きようとしていた。
そんなエミリの心を支えたのはプロレスであり、憧れのレスラーを目指し、日々努力を重ねてきたのである。
中学を出ると、高校に進学せず、男子のメジャー団体であるAMWへの入門を果たす。
エミリは、プロデビューを目指し、厳しい練習に耐える日々が続き、一年が経過した。
エミリ自身、小柄ではあったが、俊敏性と体躯の柔らかさが奏功して、メキメキと上達していった。
しかし、エミリにとって転機が訪れる。
今は、ニューハーフレスラーとして活躍している熊子が入門してきたのだ。
熊子は、本名を熊谷健太といい、高校を出て入門してきた為、エミリより二個年上だったが、既に体が出来上がっており、一目見て、エミリは、強い…いや、別格の存在だということがわかった。
巨漢の熊子は、練習こそキツそうにしていたが、いざスパーリングをさせてみると、既にプロデビューを果たしている先輩達と互角以上、いや、圧倒してしまったのである。
エミリは、熊子に天賦の才を感じ、自分との差に愕然とした。
しかし、熊子には致命的な欠点が存在した。
ある日のこと、団体の看板選手である、辻和成が熊子を練習パートナーに選び、試合形式のスパーリングをする事になった。
熊子は、憧れの辻と手合わせが出来ることに感激し、リングの中に入った。
熊子は、巨漢で、恵まれた体つきをしていたが、心は女性であり、辻の事を恋愛対象として見ていた。
だからこそ、辻は自分より強くて当然と考え、思
いっきりぶつかっていった。
しかし、自分や周囲が思っている以上に熊子は強かった。
投げ技、関節技など、ありとあらゆるプロレス技を思いっきりぶつけた結果
辻を圧倒し、見せ場さえ作らせず、完勝勝してしまったのである。
それも、ケガを負わせるというおまけ付きで。
エミリは、そんな熊子の異常な強さと才能に圧倒されたが、プロレスラーとしてのマイナス面にも目が向いた。
それは、熊子が技を受けないという事であった。
プロレスは、総合格闘技とは違い、見せる事も重要である。
相手の技を受け止め、そして反撃する。
謂わばお約束のようなルーティンが存在する。
しかし、熊子は攻め続けるだけで、相手の技を受け止めるという事を嫌った。
エミリは惜しいと感じながら、リング上の熊子を見つめた。
本名は市橋恵吾といい、小さい頃からプロレスが好きだった。
また、ここにいる人間と同様に、自分の性に違和感を持ちながら幼少期をすごした。
しかし、彼女も自分に正直に生きる事なく、周りの目を気にして、男として生きようとしていた。
そんなエミリの心を支えたのはプロレスであり、憧れのレスラーを目指し、日々努力を重ねてきたのである。
中学を出ると、高校に進学せず、男子のメジャー団体であるAMWへの入門を果たす。
エミリは、プロデビューを目指し、厳しい練習に耐える日々が続き、一年が経過した。
エミリ自身、小柄ではあったが、俊敏性と体躯の柔らかさが奏功して、メキメキと上達していった。
しかし、エミリにとって転機が訪れる。
今は、ニューハーフレスラーとして活躍している熊子が入門してきたのだ。
熊子は、本名を熊谷健太といい、高校を出て入門してきた為、エミリより二個年上だったが、既に体が出来上がっており、一目見て、エミリは、強い…いや、別格の存在だということがわかった。
巨漢の熊子は、練習こそキツそうにしていたが、いざスパーリングをさせてみると、既にプロデビューを果たしている先輩達と互角以上、いや、圧倒してしまったのである。
エミリは、熊子に天賦の才を感じ、自分との差に愕然とした。
しかし、熊子には致命的な欠点が存在した。
ある日のこと、団体の看板選手である、辻和成が熊子を練習パートナーに選び、試合形式のスパーリングをする事になった。
熊子は、憧れの辻と手合わせが出来ることに感激し、リングの中に入った。
熊子は、巨漢で、恵まれた体つきをしていたが、心は女性であり、辻の事を恋愛対象として見ていた。
だからこそ、辻は自分より強くて当然と考え、思
いっきりぶつかっていった。
しかし、自分や周囲が思っている以上に熊子は強かった。
投げ技、関節技など、ありとあらゆるプロレス技を思いっきりぶつけた結果
辻を圧倒し、見せ場さえ作らせず、完勝勝してしまったのである。
それも、ケガを負わせるというおまけ付きで。
エミリは、そんな熊子の異常な強さと才能に圧倒されたが、プロレスラーとしてのマイナス面にも目が向いた。
それは、熊子が技を受けないという事であった。
プロレスは、総合格闘技とは違い、見せる事も重要である。
相手の技を受け止め、そして反撃する。
謂わばお約束のようなルーティンが存在する。
しかし、熊子は攻め続けるだけで、相手の技を受け止めるという事を嫌った。
エミリは惜しいと感じながら、リング上の熊子を見つめた。
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