泥々の川

フロイライン

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宣託

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「お父さん、おかわりは?」

その日も、自分の作った晩御飯を美味しそうに食べる誠を見つめながら、久美子はお茶碗を受け取った。

「茶碗の半分でええわ」

久美子は誠の言葉に頷き、言われた通り、ご飯を半分よそい、茶碗を差し出した。


「久美子、お前はホンマに飯作るんが上手いな」


「お父さんが美味しいて食べてくれんのが嬉しいもん。」


「いや、ホンマに上手や。
これやったらいつでも嫁に行けるで。」


「そんな相手おらんし。
それにワタシ、ニューハーフやし。」


久美子は陽介の顔を思い出しながら言った。


「まあ、でもあれやな。
どっちにしても俺は幸せもんや。
お前が側にいてくれるんやから。
お前さえいてくれたら他には何も要らんわ。
ほんま、おおきに」


「お父さん、そんなん言わんとって。

いつまでも元気でおってや。」


久美子は少し涙目で誠に言った。


「おう。
お前も元気でおってくれよ。

あの、誰やったかな…

そうそう、佐野っちゅー子みたいな事になったら、ワシ
生きていかれんようになるし。」


「佐野?

佐野って、恭子のこと?」


「そうや。

お前の友達やったかカノジョやったかはよう知らんけど。
高台の金持ちの家の子のことや。」


「ちょっと待って!

恭子がどないしたん?」


「どないしたって、行方不明になってしもたんや。

大騒ぎになって、警察もこの辺を調べに来てたし、テレビ局も大勢来よったから、お前も知ってるやろ?」


「いや、そんなん全然知らん…」


「あー、関西のローカル局かあ、来とったのは。

そら、東京におったらわからんよな。」


「それ、いつの話?」


「いつってお前…

もう四年くらいになるかなあ。」


「四年!」


久美子は顔色を失った。
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