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幸せな日々
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久美子は、父の誠と二人で賃貸マンションに住んでいた。
改心し、すっかり真面目になった誠は、久美子の金に頼ろうとせず、真面目に働いた。
車でのホットドッグ販売もある程度順調なようで、生活には困らなくなっていたこともあったが。
久美子は父の身の回りのことを全て行い、洗濯から食事の用意、掃除や必要なものの買い出しなど、至れり尽くせりで働いた。
しかし、自身は仕事をしようとはせず、いわゆる専業主婦のような生活を続けていた。
幸いな事に芸能人をしていた頃の蓄えがあり、何年も遊んで暮らせるだけの持ち合わせがあったからだ。
親友のマキや、子供の頃からの知り合い達も訪ねてきてくれて、たまに母の恵理子とも梅田や難波で待ち合わせをして会うこともあった。
それらの人達に支えられ、久美子は元気を徐々にではあるが、取り戻していった。
その日も、誠の食事を作り、食べさせ、後片付けをすると、お風呂に入ってもらい、その間にタオルと着替えを用意した。
風呂から出た誠の頭をドライヤーで乾かしてやるのも久美子の仕事で、頼まれてもないのに、ここまでやってしまうのだった。
誠が寝ると、ようやく久美子が風呂に入る番となる。
化粧を落とし、服を脱いで、いざ入ろうとしたときに、トイレに起きてきた誠と鉢合わせとなった。
「お、おう
今から入るんか」
「うん。」
「お前が女になったっちゅーのは頭では理解してても、実際にその乳見たら、なんかワケがわからんようになるわ。」
「そう?
この体になって十年経つんよ。
男として暮らしたんは十五までやったけど、赤ちゃんの時の記憶なんかあらへんから、女として生きてる時間の方が、ワタシには長う感じるねん。」
「そうか。
まあ、俺のせいでこないな体になってもうたのはホンマに申し訳ないけど、化粧落とした顔もめちゃくちゃキレイやで。
我が子ながらに、ええ女やと思うわ。」
「ホンマ?
ワタシ、お父さんにそうやって褒めてもらうんが一番嬉しいねん。
ありがとう。」
「いやいや、お前に礼を言わなあかんのはワシの方や。
これまで不幸にさせまくってきたけど、俺はもうアホな生き方はせえへん。
お前が少しでも幸せになれるよう頑張るから、どうか見といてくれ。」
「もう、お父さん
こんな裸のときに泣かせんとってよ
うぅっ…」
久美子は、全裸のまま両手で顔を覆い嗚咽して泣き出した。
今だに陽介を失ったショックから立ち直れていないという自覚は持っていたが、愛する家族のために前向きに生きていこうと、心に誓う久美子だった。
改心し、すっかり真面目になった誠は、久美子の金に頼ろうとせず、真面目に働いた。
車でのホットドッグ販売もある程度順調なようで、生活には困らなくなっていたこともあったが。
久美子は父の身の回りのことを全て行い、洗濯から食事の用意、掃除や必要なものの買い出しなど、至れり尽くせりで働いた。
しかし、自身は仕事をしようとはせず、いわゆる専業主婦のような生活を続けていた。
幸いな事に芸能人をしていた頃の蓄えがあり、何年も遊んで暮らせるだけの持ち合わせがあったからだ。
親友のマキや、子供の頃からの知り合い達も訪ねてきてくれて、たまに母の恵理子とも梅田や難波で待ち合わせをして会うこともあった。
それらの人達に支えられ、久美子は元気を徐々にではあるが、取り戻していった。
その日も、誠の食事を作り、食べさせ、後片付けをすると、お風呂に入ってもらい、その間にタオルと着替えを用意した。
風呂から出た誠の頭をドライヤーで乾かしてやるのも久美子の仕事で、頼まれてもないのに、ここまでやってしまうのだった。
誠が寝ると、ようやく久美子が風呂に入る番となる。
化粧を落とし、服を脱いで、いざ入ろうとしたときに、トイレに起きてきた誠と鉢合わせとなった。
「お、おう
今から入るんか」
「うん。」
「お前が女になったっちゅーのは頭では理解してても、実際にその乳見たら、なんかワケがわからんようになるわ。」
「そう?
この体になって十年経つんよ。
男として暮らしたんは十五までやったけど、赤ちゃんの時の記憶なんかあらへんから、女として生きてる時間の方が、ワタシには長う感じるねん。」
「そうか。
まあ、俺のせいでこないな体になってもうたのはホンマに申し訳ないけど、化粧落とした顔もめちゃくちゃキレイやで。
我が子ながらに、ええ女やと思うわ。」
「ホンマ?
ワタシ、お父さんにそうやって褒めてもらうんが一番嬉しいねん。
ありがとう。」
「いやいや、お前に礼を言わなあかんのはワシの方や。
これまで不幸にさせまくってきたけど、俺はもうアホな生き方はせえへん。
お前が少しでも幸せになれるよう頑張るから、どうか見といてくれ。」
「もう、お父さん
こんな裸のときに泣かせんとってよ
うぅっ…」
久美子は、全裸のまま両手で顔を覆い嗚咽して泣き出した。
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