鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

決断

「ちょっと待ってください。」

まどかは高山にそう告げて、少し考える素振りを見せていたが…

「本当に元に戻れるんですね？」

「ええ。この期に及んでそんな嘘はつきませんよ。」


「…わかりました。

私、このままでいます。
でも、バレー部を引退するときには必ず元に戻してください。」

「勿論、神に誓ってお約束しますよ。」

交渉は成立し、まどかはそのままの状態で帰って行った。

しばらくして佐藤が戻ってくると、高山は佐藤の方を見て頷いた。

「高山先生、上手くいったんですね。」

「ええ。説得する事は容易でしたよ。
あの薬はね、テストステロン、つまり男性ホルモンを元に作られています。
テストステロンは気分を躁状態に、逆にエストロゲン、女性ホルモンは鬱にしてしまう作用があります。

新田さんはあの薬で身体能力が急激に上がり、その効果を実感し、気持ちが高揚した事と思います。

きっと私の提案を受け入れて、このまま大会に臨むと言う事を確信してましたから。」


「さすがですね。
しかし、もうこれ以上の副作用は出ないんでしょうな。

また何かあったら、彼女が不憫で…」


「まあ、副作用が無いわけではないが、多分
もうその事で訴えてくる事はないですよ。
副作用があったとしても、それを副作用と認識出来るか、甚だ疑問です。」

高山はニヤッと笑い、また頷いた。