「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」と言われたので別れたのですが、呪われた上に子供まで出来てて一大事です!?

綾織季蝶

文字の大きさ
10 / 11
2話

4

しおりを挟む
「何故ですか、国王」

 夕刻、王宮にて、アルトは自身の父親と対峙する。
 国王であり、アルトの父親であるロバートはため息一つ付き、再び口を開く。

「アルバートが廃嫡となった。故にお前にはジェラルドの補佐を担ってもらう」
「いえ、そうではなく!何故兄上が廃嫡に!?」
「あいつが王命に背いたからだ」
「え」

 アルトは困惑の色を見せる。
 兄、アルバートは権力に貪欲で、良くも悪くも父親に従順だった。
 何せ国王である父親は身内であろうと容赦しない性格だからだ。
 故に、そんな彼が容易く王命に背くとは思わなかったのだ。

「カーマン候爵令嬢を知っているだろ?」
「え、えぇ。幼い頃から良くしていただいてますし…」
「先日の夜会でな、やつは婚約破棄を一方的に突き付けよった」
「婚約破棄!?」

 兄アルバートとカーマン候爵令嬢ドロテアは幼い頃に王命により婚約をした。
 王命といえど一方的なものでは無く、カーマン家も了承した事だ。
 故に、この婚約は1人でどうこう出来るものでは無い。
 少なくても、婚約の了承をした両家へそれなりに話しはあるはずだ。

「しかも、カーマン令嬢に対してありもしない罪状を突きつけ、国外へ追放しようともした」
「何が兄上をそこまで動かしたのですか!?」
「お前はローゼン男爵令嬢を知っているか?」
「え、えぇ。同級生に1人ローゼン男爵令嬢が居ます」
「その姉だな。庶子ではあるが、そやつと結婚する、とのことだ。」
「えぇ…」
「故に、王命に背いた事で廃嫡。平民としてローゼン男爵令嬢…いや、元男爵令嬢だな。彼女と過ごす事を許した」

 アルトは引き攣った表情をした。
 兄が王命に背いたこともそうだが、他にも理由があった。

(冗談じゃない!もしこれでジェラルド兄上の補佐に就けば、魔法省への就職もパーじゃないか!!)

 アルトには1つ夢があった。
 それは幼少の頃より憧れたカナリア・スタインベックと同じ魔法省へ就職する事だ。
 魔法省は国内でも2番目に権力を有する組織である。
 アルトは第三王子であるが、就職自体は可能であった。
 しかし、それは第一王子であるアルバートが居たから可能であった可能性だった。
 このままではその夢すら無くなってしまう。

(そうだ!これならば…)
「国王。その申し出を受け入れたいのは山々なのですが、実は僕…いえ、私には好いた者がおりまして。その者も庶子なのです」
「なんと?それは一体?」
「クロイツ公爵の庶子です。近々婚姻する、その母親の子です」

 そう言うとロバートは何か考え込む仕草をする。

(よし!このまま思いとどまってくれ!)

 ここでアルトの想いを受け入れれば、第一王子を許すしかない。
 しかし、身内に容赦ないが情の深い男が息子の想いを切り捨てる事も出来ない。
 アルトの思惑は通ると思われた。
 しかし、ある声がそれを遮ってしまう。

「あら、それってカナリアの娘?なら歓迎よ」
「え」
「おぉ!リリアナ!」

 そこへ姿を現したのは一人の女性だった。
 綺羅びやかなドレスに身を纏った美しい女性だ。
 その女性こそ、現国王の妃であるリリアナ・エーデルス、アルトの母親であった。

「貴方もご存知でしょ?クロイツ公爵が自慢してましたもの」
「知ってはいる。しかし…」
「平民育ちなのを気にしてるの?それなら安心よ。何せカナリアの娘ですもの、努力家に違いないわ」
「それもそうだな…」
「は、母上はカナリア殿と面識が…?」
「えぇ、学友よ。あの頃から努力家でお転婆だったのを覚えてるわ」
(風向きが怪しくなった…)

 アルトがそう思っていると、ロバートは急に立ち上がる。

「クロイツ家に至急釣書を送れ。アルトと直ちに婚約を交わす」
「ちょ!?」
「楽しくなってきたわね!カナリアの娘…妃教育も耐えれるかしら?」
「あの…」

アルトの声も虚しく、事は進んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

公爵令嬢ルチアが幸せになる二つの方法

ごろごろみかん。
恋愛
公爵令嬢のルチアは、ある日知ってしまう。 婚約者のブライアンには、妻子がいた。彼は、ルチアの侍女に恋をしていたのだ。 ルチアは長年、婚約者に毒を飲ませられていた。近年の魔力低下は、そのせいだったのだ。 (私は、彼の幸せを邪魔する障害物に過ぎなかったのね) 魔力不足に陥った彼女の余命は、あと一年だという。 それを知った彼女は自身の幸せを探すことにした。

幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ

猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。 そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。 たった一つボタンを掛け違えてしまったために、 最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。 主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。 その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。 そこで待っていたのは、最悪の出来事―― けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。 夫は愛人と共に好きに生きればいい。 今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。 でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。 妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。 過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――

私の婚約者とキスする妹を見た時、婚約破棄されるのだと分かっていました

あねもね
恋愛
妹は私と違って美貌の持ち主で、親の愛情をふんだんに受けて育った結果、傲慢になりました。 自分には手に入らないものは何もないくせに、私のものを欲しがり、果てには私の婚約者まで奪いました。 その時分かりました。婚約破棄されるのだと……。

魔女見習いの義妹が、私の婚約者に魅了の魔法をかけてしまいました。

星空 金平糖
恋愛
「……お姉様、ごめんなさい。間違えて……ジル様に魅了の魔法をかけてしまいました」 涙を流す魔女見習いの義妹─ミラ。 だけど私は知っている。ミラは私の婚約者のことが好きだから、わざと魅了の魔法をかけたのだと。 それからというものジルはミラに夢中になり、私には見向きもしない。 「愛しているよ、ミラ。君だけだ。君だけを永遠に愛すると誓うよ」 「ジル様、本当に?魅了の魔法を掛けられたからそんなことを言っているのではない?」 「違うよ、ミラ。例え魅了の魔法が解けたとしても君を愛することを誓うよ」 毎日、毎日飽きもせずに愛を囁き、むつみ合う2人。それでも私は耐えていた。魅了の魔法は2年すればいずれ解ける。その日まで、絶対に愛する人を諦めたくない。 必死に耐え続けて、2年。 魅了の魔法がついに解けた。やっと苦痛から解放される。そう安堵したのも束の間、涙を流すミラを抱きしめたジルに「すまない。本当にミラのことが好きになってしまったんだ」と告げられる。 「ごめんなさい、お姉様。本当にごめんなさい」 涙を流すミラ。しかしその瞳には隠しきれない愉悦が滲んでいた──……。

いつまでも変わらない愛情を与えてもらえるのだと思っていた

奏千歌
恋愛
 [ディエム家の双子姉妹]  どうして、こんな事になってしまったのか。  妻から向けられる愛情を、どうして疎ましいと思ってしまっていたのか。

手放してみたら、けっこう平気でした。

朝山みどり
恋愛
エリザ・シスレーは伯爵家の後継として、勉強、父の手伝いと努力していた。父の親戚の婚約者との仲も良好で、結婚する日を楽しみしていた。 そんなある日、父が急死してしまう。エリザは学院をやめて、領主の仕事に専念した。 だが、領主として努力するエリザを家族は理解してくれない。彼女は家族のなかで孤立していく。

《完結》悪女と噂されたわたくしのざまぁ

ヴァンドール
恋愛
悪女と噂のわたくしとの結婚なら、どれほど軽んじても問題はないと思っていた旦那様。 ところが……。

処理中です...