28 / 71
憂い 【導師視点】
しおりを挟む朝食を摂ったガキは疲れたのか腹が脹れたからか、いそいそとベッドに入って寝た。三日も寝ていた癖にまだ寝れるのかと呆れたもんだ。
しかし困った。呪いの説明をどうすべきか。有体に話すのは憚れる。あのガキと少し話したが記憶がない弊害か魔力のみならず誰でも知っていそうなことを知らないでいる。会話をしても認識のズレを感じて説明は控えたが、これでは呪いや呪術具の話をしても誤解されそうだ。ガキが何を知っていて何を知らないのか見極めてからでなければ齟齬が生じるだろう。追々学ばせるか。
…‥診察では怪我も病気らしい症状も見当たらなかった。記憶喪失ってのが引っ掛かるが概ね健康だろう。年齢がはっきりしない所為で成長具合が正常かどうかまではなあ。魔力量の多さから見て体格が小柄過ぎるのも気になる。見た目は4歳ぐらいか。辛うじて5歳‥‥には見えねえ。下手すりゃ3歳児でも通る。だからあの魔力量はおかしい。多すぎやしねえか。それにあの言葉使い。教育を受けていなければ出来ねえよな?
俺は子供を育てたことがないがあのガキの異常さはわかる。話した限り頭の出来は悪くない。だが時々見当違いな事を言うし知らない言葉も使う。もしかしたらこの国の者ではないのか? ならどうやってここに来た?
ちっ! 記憶がないってのは本当に厄介だ。
…‥いや、待てよ。本当に記憶がないのか‥…まさかあんなガキが記憶喪失の振りなどするか? くそっ! 疑い出したら限がねえ。
‥‥暫く様子を見るとして、問題はこの件の報告だ。出来れば上には言いたくない。言えばあのガキを調査対象として‥‥それならいいが下手すりゃ研究対象として分捕られるな。‥…どうしたもんか。
俺の役に立たないと判断できれば上に渡してもいいんだが、現時点では何ともなあ。やはり当面俺が面倒を見て判断すりゃいいか。
なら神官を上手く言いくるめて教会と領主への報告を考えて貰おう。何なら事後処理も任せるか。責任を感じた神官だ何とかやるだろう。
‥‥ガキは俺が面倒みるからいいとして、問題は坊主。
そもそもあの場所で二人して倒れていた経由が分からねえ以上、迂闊なことは出来ねえ。呪術はガキにかけられたのだろうが、なら坊主は? 坊主は何故無事だったんだ? ちっ! こればかりは二人の記憶が頼りなんだが、肝心のあいつらがアレではなあ。どうしたもんか‥‥先ずは神官と話し合うべきか。
‥…それにしてもまさかこの地で呪術具を使う奴がいたとは。使用者は今も行方不明の孤児院長で間違いねぇか。目的はさっぱりだが残滓から見て急遽使用したんだろう。上手く発動出来なかったかのもガキに不完全な術が残ってたのもそれなら説明がつく。不十分の術具で助かった、と言うべきか。完全体ならこの地域が呪いに呑まれた可能性が‥‥考えただけでもゾッとする。
後はガキの世話か。何時までも教会や孤児院で世話になるのもなぁ、酒も碌に飲めやしねえし、ここの雰囲気は息が詰まりそうで嫌なんだ。さっさとガキ連れて、と言いたいとこだがまだ調査は終わっていねえし。仕方ない、数日領主の元で厄介になるか。序でにあのガキの身の周りの世話もして貰おう。よし、そうと決まれば‥‥ちっ! ガキまだ起きねえな!
0
あなたにおすすめの小説
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて
ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記
大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。
それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。
生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、
まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。
しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。
無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。
これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?
依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、
いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。
誰かこの悪循環、何とかして!
まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて
「俺が勇者一行に?嫌です」
東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。
物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。
は?無理
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
【第2章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?
山咲莉亜
ファンタジー
ある日、高校二年生だった桜井渚は魔法を扱うことができ、世界最強とされる精霊王に転生した。家族で海に遊びに行ったが遊んでいる最中に溺れた幼い弟を助け、代わりに自分が死んでしまったのだ。
だけど正直、俺は精霊王の立場に興味はない。精霊らしく、のんびり気楽に生きてみせるよ。
趣味の寝ることと読書だけをしてマイペースに生きるつもりだったナギサだが、優しく仲間思いな性格が災いして次々とトラブルに巻き込まれていく。果たしてナギサはそれらを乗り越えていくことができるのか。そして彼の行動原理とは……?
ロマンス、コメディ、シリアス───これは物語が進むにつれて露わになるナギサの闇やトラブルを共に乗り越えていく仲間達の物語。
※HOT男性ランキング最高6位でした。ありがとうございました!
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる