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第六章 狙われた理由。
カレンシアの暴走
しおりを挟む思いもよらない話に意外と頭は冷静に働いた。
でもよく考えると、怒りが込み上がってくる。『毒を盛った‥…』誰がだよ。一体誰に飲ませたんだよ! 怒りが、腹の底から怒りが込み上げてくる。もう沸々とかグツグツとか。
俺の怒りが爆発する‥…前に母さんがキレた。
えっ!?
母さん!? まさに怒涛、天を衝く‥‥‥だ。
母さんの全身から湯気かオーラか赤色の揺らぎが見えだした。な、なにあれ? 揺らぎの色も段々濃くなり大きくなる。赤か、紅か、炎が渦巻いたようだ。
ピキピキィ、ピシィィ、パキキキィ、パッキーン
ひぇ…な、なんの音!?
あ、母さんの魔封じの魔術具が割れて外れた? この音か!
母さんはゆっくりとジオルドに対面する。
何も喋らない母さんの全身を纏う色が一層濃く見えた。あ、あの炎もしかして…魔力? なのか‥…
「や、め、カ…レン‥‥ア」
対面で座していたジオルドの顔面が蒼白‥‥と言うか息してる?
それより部屋が段々暑く感じるのは‥‥汗ばんできた。
ジオルドは息がしづらいからか口をパクパクさせている。
あの炎、生きているみたいに蠢いているけど燃えないのか?
俺がキレる前に母さんがキレたからちょっと頭が冷えたかも‥‥
これ、非常に不味い状況だよな、止めなきゃ‥‥‥ってどうやって!?
「ま、魔力抑えて――――!」
「カ、カレン‥‥止め‥‥」
ああ駄目だ!
「か、母さん!!」
母さんに向かって魔力を放ってしまった。俺の魔力を受けた所為なのか母さんの動きは止まった。‥…あ、わかる。魔力の流れが変わったのが分かる。俺の方に向いてい‥‥これ、こっちに吸収すればいいのか?
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荒ぶっていた魔力が治まっていくわ‥…ああ、これは炎だ。俺の中に炎のイメージが湧く。何というか綺麗な炎だ。
漸く、この場が落ち着いた‥…と思う。
母さんも冷静になったのか俺を心配してくれている。そうだよね他人の魔力を吸い取ったのだから。そりゃ心配するか‥…
どこか痛いところはないか、気持ちの悪いことはないか、オロオロと聞いて来る。ははは、大丈夫だよ。ジオルドも血相変えてるし。困ったな。何といえば良いのか‥…どうしよう。
ジオルドが少し待っててと言って部屋から退出してどこかへ向かった。
母さんも、俺にこんなことをさせるつもりはなかったと涙ぐんでいる。
もう、気にしないで欲しいな。大丈夫なんだよ本当に。
これが俺の力なんだ。
そ、それよりも魔封じの道具壊れちゃったのいいの?
あれは、低ランク用だからいいのって。そうなの…‥いざって言う時に外れないと困るでしょって、よかった動揺が落ち着いたみたい。
それなら魔法陣展開できたのは低ランク用だったから魔力が使えたの?
えっ、それは魔道具で?
そうだったんだ。ほんと、この魔封じ意味ないね。
残念ながら話の途中でジオルドが帰って来た。
「すまない、これを取りに行っていたんだ」
そういって箱から取り出したのは宝石? 石? だった。意図が分からず首を傾げてしまう。
「魔石だよ」
「これに君が吸い取った魔力を流し入れるんだ。出来るだろ?」
「えっ、吸い取ったと‥‥何のことでしょう」
バレてるだろうが、しらを切ってみた。
「ああ、言ってなかった? 僕、魔力の流れが視えるんだよ」
驚いた。ジオルドが魔力持ちだとは。
吃驚し過ぎた俺に母さんがこの国の王族には偶に魔力持ちが現れるのだと教えてくれた。なら陛下はと軽い気持ちで質問したらジオルドは非常に怖い顔で黙った。
この人、こんな顔するんだ‥…
今までとは全く違う空気を纏ってまるで別人だ。まだ見せていない顔を垣間見た気がする。もしかするとこいつが隠している王家の事と関係あるのか。
俺もこれ以上は踏み込んではいけないと勘が働く。嫌な勘だ。
この場の雰囲気を変えるような明るい声がした。
母さんが魔石を使えと促してくる。あ、母さんありがとう。
俺にはジオルドの地雷がわからない。
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