転生先は小説の‥…。

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第九章 王国の異変

ギルガの正体ー③

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ギルガはライフをゴリゴリ削られたのではないだろうか。一回りも身体が小さく見える。


「さて、皇城勤務の武官ですか。指揮系統に支障を来さない範囲で尚且つある程度の酌量が持たされるとなれば副隊長ぐらいでしょうか。ああ、わかりましたよ貴殿の正体が」

「‥‥どうぞ続けて下さい」

「貴殿は皇宮に仕える騎士と言ったところでしょう。皇帝直属の近衛隊かと思いましたが、こんなことで動くとは思えないので、皇族専属の騎士あたりが妥当かと。ふむ、何人かいる皇子の誰かでしょうか? ‥‥後継に関わることで最近異変がありましたか?」


「お見逸れ致しました。今までの無礼をどうかお許し下さい」


おお~ギルガが観念して白旗上げた。




「いいでしょう。では改めて自己紹介を。ギルガは本名ではありませんね?」

「‥‥はい。私の名はギルベルト・グリンジャ・タッカーソンと申します。タッカーソン侯爵家三男です。皇宮に仕える魔導騎士隊『青の盾』に所属しております」

「そうですか、青の盾の魔導騎士でしたか」

「エリート部隊のお坊ちゃん…‥」

「へっ? えっ? は? まどう‥‥騎士? 青の盾?」

上から義兄、ハイデさん、俺。俺以外は知っているみたいだ。


「ああレティは知らないか。皇宮には近衛騎士隊以外にも皇帝陛下をお守りする『赤の盾』と御子様達をお守りする『青の盾』と呼ばれる皇室専属の魔導騎士隊が軍部とは別組織で存在していてね。どうやら彼は皇室の護衛みたいだね。レティ、聞いた事ない?」

「あら初耳ですわ。わたくし軍部や騎士団に興味ございませんし」

「ふふ、そうだったね。レティは物作りに興味があって騎士に惹かれるわけじゃないから知らないか」



うん、まぁそう言う事にしておこう。興味のないことに頭使いたくないから知らないのだ。知っておくのは自分を守ってくれる人たちだけで充分だよ。


で、その仰々しい組織の人が何の用で?



「では、ギルベルト殿。貴殿が『青の盾』と名乗られたが証明出来ますか?」

「‥…はい。これをご覧ください。我が証明となる紋章でございます」



そう言って彼は左手の甲を見せながら何か呟いた。
するとキラリと一瞬輝きを持ったと思えば何かの絵模様が浮き彫りに。



「こ、これは? 何ですの?」

「ほお、紋章ですか」

「‥‥‥」



「はい、これがその証明になります」



うわお、何そのカッコいいの。ちょっとキラリ光ったじゃん!
何ともファンタジックな世界ではなかろうか。ついムズムズ好奇心の芽が擽られてしまったではないか。



‥‥いやねぇ、まあ、ついだよ、つい。
ちょっと好奇心って言うか、出来心って言うか‥‥
はい、ごめんなさい。やっちゃいました俺。



「うわぁぁぁぁーー! も、紋章が、紋章が!」



「あら、取れました?  若様、これは本物ではなかったのでしょうか」

「‥…ぷっ。くふふふ…‥ああすまない、でも、も、紋章が‥‥ははは」

「あ~ごめんなさい‥‥態とじゃないのです。つい、てへっ」



がっくり膝を付いたギルベルトは哀れ無残、灰と化していた。
わちゃー燃え尽きちゃった感じ。

そう、俺は物珍しさから彼の紋章に触れて魔力を吸い取っちゃったのだ。
うん、別に意味はないのだ、何となくキラリ光った気がしたからね、何だろう? と思って。魔力も感知したから思わずってのが理由。
何か善からぬ罠でもあるのかな~って。

立派な紋章が今は見る影もなく消え去った。彼の左手の甲には何も残っていなかった。


「ははは、嘘だ嘘だと誰か言ってくれ‥…紋章が消えたなんて‥‥私はどの面下げて陛下に‥‥ああ、何てことだ‥…」

あれか、男の勲章ってやつか‥‥


「鬱陶しいですね。大の男が泣き言とは。それに正体を隠して近付いたのですからある意味自業自得では?」

流石ハイデさん、辛辣さは変わらない。



「さて、ギルベルト殿。貴殿の紋章は消えたが、体調に変化はないだろうか。ぷっ。くくく…‥まあそう落ち込まないで下さい。レティも悪気があったわけではないのだから、ちょっとした少女の悪戯ですよ。それに若しかしたら元に戻せるかもしれませんしね」


「は! 本当ですか?! なら早く元に戻して下さい!」

「まあ、まあ、落ち着いて。悪いようにはしません。ですが‥‥そうですね、私はまだ貴殿を信用しておりません。さてどうしたものか」


うわー、義兄、足元見て吹っ掛ける気か?


「わ、私に何をさせる気だ?!」
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