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第十一章 帝国(お祖父ちゃん)の逆襲
良い報告・レティの能力
しおりを挟む「‥‥の裏技」
義兄がどこかの食卓みたいなことを小声でポツリ。思わず二度見した。
「特筆すべきはレティの再現能力かな…」
「あら、お義兄様、褒めてくれるの?」
えーと、さっきの独り言はなしの方向ね。ラジャ! 俺は空気の読める子だからね! それに急に話題を振られても大丈夫、合わせられるよ? でも、その黒い笑みはゾワゾワするから止めて欲しい。
「レティ、魔法陣を原型…いや、術が発動した状態で取り込み再現してみせた。それは本来あり得ないことだよ?」
「えっ?」
「ふふ、レティの再現能力があれば、術式の改竄は容易にできるね」
「えっ??」
「わ~、流石、ザックバイヤーグラヤス公爵家のお嬢様~、犯罪行為がやり放題じゃないですか~、血は争えませんね~、おおー怖ぃぃイヒヒ」
「はぁ?!」
「いやいや~、二人の名を入れ替えただけで、立場が大逆転ですかー、ぷぷ、えげつないですねー」
‥‥こいつ何言ってんの?!
ちょっと意味が分からないんですけど?! 不満ありありな顔で睨むと、ランチェスターの名とヴォルグの名を入れ替えれば、再現性のあるレティエルの力だ。隷属者が入れ替わると言いたかったみたい。これは、義兄も頷く。ちょっとどころかかなりビックリだよ。
‥‥うわ~マジでえげつな~。
自分の能力に引いた。
‥‥これは、確かに裏技だわ…‥。
良い報告には、まだ続きがある。
レティエルの能力を調べてわかったことを報告したい。そう言われて義兄の寝不足が、決してラクガキ読み隊だけじゃないことを、今知った。あ‥‥ごくろうさまでした。
「レティは他の魔力を吸い取れるでしょ? 本来、魔力は他人に渡すことは出来ないと覚えておいて」
そうなの? あ、でもあげる気ないからそこは大丈夫。貰えるなら貰うけどね。
「お嬢様~、魔力の遣り取りって、普通はできませんよ~。あっ、何気に人様の魔力を奪わないで下さい。盗っ人ですよ~」
「‥‥これぐらい知ってい‥‥ないのだね」
義兄は溜息を吐いて、やれやれな顔だ。
「お嬢様って、容赦なさそうですよね~」
「‥‥加減を覚えさせるしかありません」
「そうなりますよね~。王国内に足止めされてますが、ここで?」
「‥‥先ずは注意喚起からですね。後は追々」
ちょっとワクワクしていた俺は、二人の神妙な顔と会話に気付くことはなかった。
「レティ、話を続けてもいい? 過去に実在した吸引能力者によると、特徴的な魔力なのか、親和性の高さ故か。他者の魔力を難なく取り込み自分の糧にする。専ら奪うのみだよ。レティは、魔石に移したり、他人に与えたりできるよね? もうこの時点で相違している。それはわかる?」
「え‥‥? 吸引は奪う?」
うわぁ‥‥強奪犯っぽい。
能力を吸引としちゃうと、盗っ人スキルと思われちゃうってこと?! ええ、それはヤダ!
公爵令嬢の能力が盗っ人って微妙すぎて、泣く。
帝国で魔女っ娘を夢見るのに、盗っ人スキルと思われるのは、とんだ風評被害じゃなかろうか。余りの悲劇に脳内で崩れ落ちる。俺の心情を知らない義兄は、平静な声だ。
「再現力。これが関わっていると私は考えているよ」
え?
「吸引の能力は魔力を吸う。これは同じだね。レティは自分の魔力に換え‥‥れるの? そう、今知ったよ。‥‥発動中の魔法陣の魔力や、生体に刻印した呪紋の吸引…できるのは同じ。コホン、この後の話はレティだけが行える話だからね? いい、間違えちゃダメだよ? レティしかできない内容だからね? ポンポン人前で使っちゃダメだよ? わかる?」
しつこく念を押すね。俺は三歳児か。何度も言わなくたってわかるよ。ちゃんと理解した。自粛するかどうかは別の話だけど。‥‥うん、善処します。
それにしても、吸引能力者っていたの? 初耳~って言えばジェフリーが『何故知らないのですか?!』って怪訝な顔をしやがった。なんだよ、知識不足は我が家の教育方針だよ、文句ある?
プチ情報で教えてくれたのは、過去に実在した吸引の能力者が、帝国の皇帝だった。『悪食の王』の名を欲しいままに戦国の世を生き抜いた元武将。敵国や敵対者を容赦なく喰らい付いた(魔力を)豪胆な人物。帝国人なら吸引の能力を悪食と捉える人も多いって。えー、イメージ悪っ!
話は淡々と‥‥まだ続く。
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