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第十四章 王が住まう場所
嫌な噂ー①
しおりを挟む「お嬢さ~まあ~、どーすんですかぁー、若、部屋から出てこなくなっちゃったじゃないですかー」
えー、そんなこと言われても。食事になれば出てくるでしょ? え? 呼んでも出てこない?
仕方ないかぁ、男にとって一人の時間は必要だから…。あ、そんな睨まないで。ハイハイ、わかりました。
何事かと思えば、昨日から食事もしないで部屋に籠りっぱなし。返事もないから心配なんだって。
え…それは…なんとも困ったちゃんである。
寝食を忘れるのは、しょっちゅうだって。でも今は絶賛潜伏中の身。何が起こるかわからない緊迫した状態で義兄の趣味没頭は非常にまずいと嘆く。
うぅん、そう聞くと確かにって思っちゃう。平時であれば多少のお目溢しはありだけど、俺もちょっと気になる。
でもさぁ、ジェフリーが呼んでも駄目だったんでしょ? 俺が呼んで、作業止めてくれるかな? あぁ、ハイハイ。いまやりますよ。
ジェフリーよ、早くしろって眼力で圧すのやめてくれる? うっとおしいから。
はぁよいしょっ、と重い腰を上げ、部屋の扉の前に立つ。
…あれ? 扉から魔力の気配がする。何で?
訝しみながらも健気な妹風に声を掛けた。これ、サービスね。
「お義兄様、出てきてください。お義兄様? …返事ないね、やっぱ無理かー」
やっぱ俺如きじゃあ無理か。うう、わかっていても無視されると悲しい。ちょびっと心で泣いた。
「そーなんですよ! 若、うるさいって、結界張っちゃったんですよー。だからいくら声を掛けても無視されちゃうんですー」
「は? それじゃあ、いくら声を掛けても無駄じゃない」
お前なー! 俺の心の涙を返せ!
もう馬鹿ジェフリーは後で仕返ししてやろう。ちっ!
でも、結界張るとか、ガチな引き籠りじゃん。天の岩戸かよ。
なんちゅうメンドクサイことをと恨めしく思うも、どうしてこうなったと原因に視線を向ける。
これはあれだ。引き籠って、いい感じに趣味に熱中しているところに、口煩いオカンが『ご飯ですよー、早く食べなさい』、『今いいところー、後で食べるって』ってパターンだ。それをしつこく呼ばれて、オカンうざいってなったんだ。
…間違いない。お前が原因だよ。俺の冴えわたる推理力が唸ったぞ。
はぁ、まっ、いっけど。
にしても、ジェフリー、お前、確信犯だよね?
俺の能力、狙ってたでしょ? お嬢様に自分から頼むのはギルティだけど、自発的なら誰も咎められない、俺以外は。くっ、このやろう。
仕方ない。
「はいはい、天の岩戸を開けちゃいますよー。ほいっと」
「お嬢様、それ何ですか?」
「ん? 詠唱詠唱、気にしないで。ほら、結界切れたわ」
「おおー、流石はお嬢様~犯罪に向いてますね~。わかぁー、入りますよー、見られて恥ずかしい物はちゃんと隠してくださいねー。あと、報告届いてますよー」
えええー、お前ホントに従者かよ。
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