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Cadenza 花車 ①

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足音が遠のき、ここには、風が通り抜ける音だけ…
静寂で空が近い場所に戻り、つい、本音が漏れてしまう
「はぁ、困ったなぁ」
つい、今の状況に対して声が漏れてしまうと後ろから
「選べないの?」
小さな、されど、確信を突いた質問が通り抜けていく、澄み渡る空のように見透かされている気がする。
「選べないよ、単純な問題じゃない、盤上に全て揃っているのだとしたら選ぶことが出来る。でもね、それがわからない、敵がどんな駒を用意しているのか何てわからないんだもん、一手間違えれば詰みとなる、今回の戦いはそういう戦い」
全員が全員、応用力が高く万能ではない。
私という魔道具であれば、どんな敵が出てこようがある程度は臨機応変に対処できる、うん、出来る自信はある!…んだけどぉ、さすがにあいつには独りでは挑めれないかな。
そう、怖いんだよね、分断されるっていう状況が…
私という魔道具が皆と離れてしまったら…って、ことなんだよね。
離れたとしてもある程度、ソロで動けて耐えれる、ないしは、敵を殲滅できるほどの力を持っているのかってことになる。
そうなるとさ、求める能力ってのが一芸特化っていうよりも、どんな状況でも戦い抜ける、もしくは、戦場を維持するために引かずにその場その場の対応力が高い人が欲しい。

女将は、
その対応力が乏しい。圧倒的に乏しい彼女こそ一芸特化、剛腕こそが彼女の持てる全て
彼女はその剛腕によって全てを粉砕してきた、故に、それ以上を磨くことが無かった…
自身が持てるカードが少ないっていう乏しい。彼女にはそういった弱点がある。
ある程度の敵であれば問題なく一人で倒してくれるだろうけれど、そのある程度ってのがね、それを超えてくる、敵は…易々とは倒せれないだろうし、彼女は引き際を見極めるのが苦手なイメージ、心に火が灯れば止まらない気がする、ある意味、私と似てんだよね女将って、今回はその箍を外すことになるから本気で止まらなくなると思う。

私と一緒で、女将は…自分の事を大事にしていない節がある。

ベテランさんは、
女将と違って臨機応変、対応力、その場の判断、その辺りが上手い絶妙な駆け引きが出来る。
彼は生きる事に執念を持っている、だからこそ、引き際を見極めるのが得意だから、誰しもが危険な任務であればあるほど、彼に託すのも頷ける。
あいつだったら、生きて戻ってくるってね。
でも、今回の戦いは引いてはいけない、絶対に勝たないといけない。
土壇場での生存を優先する、彼の心に刻まれた叫びが不安要素。
ある程度の押し引きであれば問題ないんだけど、完全に戦闘放棄されると困るっていうか詰みかねない。
盤上の駒が忽然と消えるなんて無理…信用と信頼はしてるんだけど、彼が示してきた実績もまたってやつだね。

この街で一番、生にしがみついているのは彼だと思う、故に、私が亡くなった後も彼であればこの街を守り抜いてくれるんじゃないかって…ね。

ティーチャーくんは、
総合的に見れば実のところ、ベテランさんよりも対応能力は高い。
戦士としての総合的な部分もベテランさんとほぼ同等と見ていい。
彼は技術も技能も高水準、王家の血筋なだけあって総合能力が高い、持てるポテンシャルが最も高い。
それだけじゃない、彼はある程度の術であれば扱えれる、研究塔の長からも学んでいるし、私の講義にも定期的に出席している。
術式に関してはこの候補たちの中では一番まともに扱えれる。

問題があるとすれば、彼もまた心が弱い。
一点突破タイプ、圧倒的な力を持つ敵に対して防戦一方になる、前に出て深手を負う事を恐れ、怖気づいてしまい攻撃に出れない可能性がある。
そもそも、彼の得意とするの先方がどちらかと言えば防戦だから、独りで行動してほしくない。

閃光姫は、
未知数すぎる、どの程度動けるのか、No2から聞かされている話だと、対人戦であれば、偉大なる戦士長と同等、らしい。
獣共との戦歴を聞かされたことがあるから、ある程度戦えるのは知ってる。
問題があるとすれば、彼女が窮地に陥ったときに絶対に傍に居るであろうベテランさんがどう動くのか…想像するが易し我が身を犠牲にする可能性が高い。

お爺ちゃんは
確認していないけれど、私が戦った時代よりも先へと進んだこの時代。
っとなれば、必然的に齢を重ねえていることになる、不安要素はまさにそこ、年齢的に戦うのが厳しい。
持久力もかなり低下しているだろうから、候補として考えてはいるけれども…

実のところ、決め手に欠けている。


誰を外すのか選べっと言われると…
正直に言えば頭を抱えてしまう、欲を言えば、この街にいる優秀な戦士や騎士達全員に施したいが…
無限の魔力って言っておきながら実のところ、有限だしなぁ…たりやしない。寧ろ…無限にあるのなら大砲でも作って撃ちまくるのが正解でしょ?って思う。
っま、そんな準備してたら速攻で攻めてきて完成する前に滅ぼされるのがオチだけどな!!

此方が敵を観察している様に、敵もまた此方の動向を見逃さずに偵察してるってね…

思考が逸れてしまったので、候補を選ぶ方向へと思考のレールを元に戻す

んー…相談したいけれど、ダメだよね、彼の性格を考えるとね。
このままお爺ちゃんに何も言わずに決める方がいいのかもなぁ。
お爺ちゃんは頼めば絶対に頷いてくれるけれど、そうなると完全にお爺ちゃんは確定となっちゃう、やっぱりその他の人でって言ったらめちゃくちゃごねる。

ぬふーっと鼻の奥から溜息が零れ出てしまうと
「お姉ちゃん…おっと、姫様が悩むのなら誰も決める事なんて出来るわけない、全部進めてから考えればいいんじゃないかな?」
後ろから心配そうな声が聞こえてくる
「うん、そうだね」
その声に肯定する事しか出来ない。
決め切れない情けない司令官を嘲笑う様に冷たい風が駆け抜けていくと
「寒いね」
震えるような声に心配するのが姉としての役目ってね。
「入る?」
点滴が繋がれた腕を少し持ち上げて手招きをすると
「そうする」
近くに置いてあった背もたれのある椅子を手に取り点滴が付いていない方へ椅子を設置し
「しっつれーい」
軽口と共に、車椅子にある肘掛けの部分を外して椅子を車椅子にぴったりと隙間なくくっつけ私を包んでいる布の一部を剥がすと寒い風が布の中を通りここが寒いのだと嫌でも感じさせられてしまい
「さっむぅ」
つい、体を震わせてしまう。
「そうだよ?ここって寒いって言ったよ?」
自信満々に語ることじゃないよっと相槌を打っている間に暖かい体が密着さ…訂正、団長の体かなり冷たくなってる、凄く冷たい。
「あったかーい、はぁ~…」
冷たくなってしまった彼女の体を心配していると、熱を求める様に肩を寄せ合うように密着し冷えてしまった腕を温もりを求める様に触れられる
冷たいけれど、しょうがない、体調を崩されるわけにもいかないし、大切な妹だもん、我慢してあげる。

鎖骨の当たりに後頭部を押し付けてっていうか体重を預けてくる、のはいいんだけどさ、もうちょっと、うーん、顎に後頭部があたるんだけどー?髪の毛がくすぐったいんだけどー?
しょうがないなぁもう、甘えん坊さんめ。跳ね除けたいけれどね。
くすぐったいのを我慢していると
「…抱き着くなんて、私、らしくない」
顎から伝わってくる微弱な振動。
団長らしからぬ小さな呟き…誰かに触れて甘えたくなるのはきっと私の影響だろうね。
「そんなことないよ、団長だって甘えたいときがあるってだけ、素直に甘えれる人がずっといなかったんだからしょうがないよ、お姉ちゃんに幾らでも甘えて良いんだからね?」
彼女の背中と椅子の間に挟まっている私の腕、点滴が付いていない方の腕をもぞもぞと蠢く様に動かして何とか彼女の脇の下からお腹の方に迄、手を伸ばして指先だけでも力を込めて抱き寄せる
「ふふ、くすぐったい」
その反応にふと、今代の私の記憶が蘇ってくる。
「くすぐったがりだね、ちょっと指先が触れただけじゃん」
そうだった、団長はくすぐりに弱いんだった、反応が面白くてよく擽ったなぁ、その後、叩かれることが多いけど。
「お姉ちゃんと違ってそーなの!敏感なの!!」
まるで私が不感症みたいな言い方しやがって、誰かが聞いてたら誤解すんだろもう。そういった知識がない初心な子はこれだからー。なんつってね…


「・・・」「・・・」


二人布に包まり、冷えてしまった妹の体が温まっていくのを感じるころには逆に妹の体の方が私の体よりも熱を持っている様に温かく感じる。
この温もりが陽だまりのような心地よさのように感じてしまい、だんだんと眠くなってくる。
…よくないなぁ、今代の体は何かあれば直ぐに睡魔が押し寄せてくる。致し方ないんだけどね。

「ねぇ」「・・・」
うつらうつらとしていると声が聞こえてくる
だめだ、はんのうができない
「そっか、眠たいんだね、えっと…うん、この方がいいよね」

『お姉ちゃん、あのね』
声なのか、思考なのか、よくわからない、でも、愛する妹の声が伝わってきている。
『用意してある魔道具がどんな構造なのか、凡その判断は出来てる、それってさ、魔石から魔力を吸い出して体の臓器に流し込んで強引に全身に魔力を満たす魔道具だよね?』
うん、そうだよ
『だったら、提案だけど、その魔道具、お姉ちゃんは使わないって選択肢は無いの?』
ないよ、だれが、魔術をつかうの?
無限の魔力を最も効果的に絶大な力をもって敵に示すことが出来るのは、私以外の誰が居るの?
『魔術を使うのに魔力が必要だったら私が居る』
団長が、魔術を使うって言いたいの?
『違うよ、私には魔力を渡す卓越した技術がある、長年磨いてきた誇れる、医療班を代表とする程に皆に認められた技術が、私には、ある』
それを、いうなら、No2だってそうじゃん。
『No2が戦場に出るわけにはいかない、お姉ちゃんならわかってるでしょ?だから、私が魔石から魔力を体に流し込み、流し込まれた魔力を私という濾過器を通してお姉ちゃんに流し込めばいい』
それだと、だんちょうが、せんじょうで魔力を、つかえないよ
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