この度、猛獣公爵の嫁になりまして~厄介払いされた令嬢は旦那様に溺愛されながら、もふもふ達と楽しくモノづくりライフを送っています~

柚木崎 史乃

文字の大きさ
20 / 58

20.モフらせてください

しおりを挟む
「え……?」

 サラの言葉に、私は困惑してしまう。
 幼い頃、私は魔力値を計測する水晶で判定を受けた。その際、水晶は極わずかな魔力しか検知しなかった。
 最初は水晶が誤作動を起こしたのかと思い、何度も再計測をしてもらったのだが──結果は同じだった。
 結局、自分が無能だという事実を突きつけられただけだったのである。
 そのせいで、家族や周りの人間からはますます疎まれるようになったのを覚えている。
 だから、私はそれ以来魔法を使うことを諦めたのだ。

「いや、今のは周囲に眠っている鉱石から力を借りただけであって、別に私自身の魔力を使ったわけでは……」

「ええと……多分、普通の人はそんなことはできないかと……」

 アランが私の言葉を否定するように言った。

「でも、あの時確かに私は判定を──」

 思わず反論しようとした私の言葉を遮るようにして、サラが再び口を開いた。

「先程、コーデリア様は『周囲に眠っている鉱石から力を借りた』と仰っていましたよね? それはつまり、自然界のマナを自在に操り体に取り込めるということです。そして──それができるのは、恐らくこの世界においてコーデリア様だけでしょう」

 そこまで言い切った後、サラは再び私のほうへと向き直った。
 その真剣な眼差しを受けて、私は思わず息を呑む。

「そ……そんなわけないじゃないですか!」

 自分の声が徐々に荒くなっていくのを感じる。
 だが、それでもなお、言葉を止めることはできなかった。

「もし、仮に私に魔法の才能があるなら、家族から見限られるようなこともなかったはずです。だから、今のは全然凄いことでもなんでもなくて……」

(──期待して裏切られるくらいなら、最初から希望なんて持たないほうがいい)

 自分に秘められた才能があると思い込んで、後からやはり勘違いだったという現実を知った時の絶望感ほど辛いものはない。
 だからこそ、私は今までずっと自身を必要以上に卑下してきたのだ。
 最初から自分は無能だと思って諦めていれば、それ以上傷つくことがないからだ。

「だから……冗談でも、そんなこと言わないでください」

 私が目を伏せると、その場を沈黙が支配する。

「し、承知いたしました。出過ぎたことを言ってしまい、申し訳ございません」

 数秒ほどの沈黙の後、サラは深々と頭を下げた。
 それを見て、私は慌てて彼女のそばに駆け寄る。

「あ……! いえ……謝らなければいけないのはこちらの方です。つい感情的になってしまいまして……本当にすみませんでした」

 申し訳なさそうに縮こまる彼女を見ていると、罪悪感に押しつぶされそうになる。

(話題を変えないと……)

 そう思い、私はアランとサラに質問を投げかける。

「そういえば、どうしてサラさんとアランさんはその姿に……?」

 私は、動物の姿になった二人を改めて見てみる。
 ジェイドは二足歩行だし、どちらかと言えば獣人寄りだ。けれど、二人はどう見ても完全な動物である。
 そもそも、彼らは一体どうやって姿を変えているのか? それに関しても気になるところだ。

「実は、私たちも獣化の病を発症しておりまして……」

 すぐにそう答えたのはアランだった。彼は、そのまま自分たちの症状を説明し始める。

「ただ、私たちの場合、他の患者とは症状の出方が違うんですよ。というのも、感情の変化によって姿が変わってしまうようなんです」

「感情の変化……?」

「はい。例えば──怒りや悲しみといった強い負の感情を抱いた時に、動物の姿へと変身してしまうんです。ちなみに、ジェイド様のように獣人に近い姿になる患者もいれば、完全に動物の姿になる患者もいます。つまり、私たちの場合は後者ですね」

 アランの説明を聞いて、私はふとあることに気がついた。

「ということは、私がシルバーウルフに襲われたことが原因でアランさんとサラさんはそのような姿になってしまったということでしょうか……?」

 恐る恐る尋ねると、アランは首を横に振って否定した。

「いえ、コーデリア様のせいではありません。それに、私たちは元々こうなる覚悟でコーデリア様にお仕えしているのですから」

「アランさんの言う通りです! ただ、コーデリア様には内緒にしておきたいという気持ちがあったものですから、こうして隠しておりました。ご心配をおかけして、大変申し訳ありません!」

 アランとサラは深々と頭を下げる。その姿を見て、私は狼狽した。

「そんな……頭を上げてください!」

 恐らく、私に心配をかけたくない一心で黙っていたのだろう。
 そのせいか、二人の顔には深い後悔の念が滲み出ているように見えた。

「ちなみに、なんですけど……元の姿に戻る時は、どういったきっかけで戻るのですか?」

 そう尋ねてみると、サラはゆっくりと顔を上げた。

「一定時間が経過すれば、自然と元の姿に戻りますよ。なので、ご心配なく」

「そうなんですね……よかった……」

 私はほっと胸をなで下ろした。
 同時に、自分の中である欲求が芽生えたことに気づく。

(それにしても、二人とも毛並みが良いわね。ちょっとだけ、触らせてくれないかな……)

 私は、無性に目の前にいるもふもふとした生き物たちに触れたくなった。きっと、抱きしめたら温かいに違いない。
 けれど、元々は人間なのだからそんなことをお願いするのは失礼に当たるのではないだろうか?
 そんなことを考えていると、怪訝に思ったのかアランが声をかけてくる。

「コーデリア様。どうかなさいましたか?」

「あ、えっと……その……」

 私がしどろもどろになっていると、アランは不思議そうに首を傾げた。

「あの……こんなこと言ったら失礼かもしれませんが……動物の姿になったアランさんとサラさん、すごく可愛いです!」

 とうとう我慢できず、そう口走ってしまった。
 ああ、言ってしまった。そう思いつつ、恐る恐る様子を窺っていると、サラがトコトコと私の前に歩いて来た。

「サラさん……?」

 思わず首を傾げると、サラはおもむろに私の足に体を擦り付けてきた。
 一瞬、何が起きたのかわからず私は硬直してしまう。だが、徐々にサラの柔らかな毛の感触が伝わってきて──

「ニャーン」

 甘えたような鳴き声とともに、私は思わずその場で悶絶した。

「はうっ……!」

 あまりの可愛さに、思考回路が停止した。

「そ、それは反則ですよ、サラさん! あ、あの……もし差し支えなければ……その、抱っこしてもよろしいですか?」

 私がそう尋ねると、サラはこくりと頷く。

「ええ、お好きなだけどうぞ。コーデリア様に抱っこしてもらえるなんて、光栄でございます」

「ありがとうございます……じゃあ、遠慮なく……」

 許可をもらったところで、私は恐る恐るサラを抱き上げる。

「はぁ……癒される……」

 先程までの緊張はどこへやら。私は、すっかり猫姿のサラを愛でることに夢中になっていた。
 その柔らかな毛に顔を埋めてみると、まるで陽だまりのような温かさを感じた。優しく頭を撫でれば、サラもゴロゴロと喉を鳴らして気持ちよさそうにしている。
 その隣で、アランは呆れたようにため息をついた。

「まったく、サラさんは本当にコーデリア様のことが好きですね」

「あら? もしかして、羨ましいんですか? でも、残念ながらそれはできませんよ。だって、いくら動物の姿になったとはいえ、アランさんが同じことをしたら事案が発生してしまいますもの」

 やれやれと肩をすくめるアランに向かって、サラは勝ち誇ったような笑みを浮かべる。

「じ、事案って……相変わらず、サラさんは私に対して手厳しいですね。……早く、元の姿に戻ってしまえばいいのに」

「何か言いました?」

「いえいえ、何も。ただ、サラさんはもう少し可愛げがあっても良いのではないかと思っただけです。でないと、コーデリア様に嫌われてしまいますよ?」

「なっ!? 一体、どこが可愛げがないんですか!」

「そういうところがですよ」

 顔を赤くしながら怒り出したサラを、アランは涼しい顔で受け流していた。

(喧嘩するほど仲がいい、ってことかしら……?)

 などと考えつつも、私は微笑ましく二人の様子を眺めていた。
 アランは何でもできる優秀な家令で、サラも仕事ぶりは真面目だし有能だ。だからこそ、互いにライバル意識のようなものを持っているのかもしれない。

「もう、アランさんはいつも余計なことばかり言って……! とにかく、私はコーデリア様に嫌われるようなことは絶対にしませんから!」

「そうですか。それなら良いのですが……」

 アランはそう言うと、肩をすくめる。
 私は苦笑しつつも、その場の空気を仕切り直すかのように話題を振った。

「ところで……アランさんって、犬の姿に変身するんですね。ちょっと意外でした」

 そう言うと、なぜかアランは不服そうに口を尖らせた。

「一応、犬じゃなくて狼なんですけどね……」

 ぼそっと呟くアランに、私は目を瞬かせる。

「ご、ごめんなさい! 今まで、あまり狼を見たことがなかったものだから、てっきり可愛いワンコかと……」

 私は慌てて弁明をした。その様子がおかしかったのか、二人は顔を見合わせてくつくつと笑う。

(良かった……一先ず、仲直りできたみたい)

「ふふ、冗談ですよ。怒っていないので、安心してください。……それにしても、本当に命拾いしましたよ。コーデリア様がいなかったら、今頃どうなっていたことか」

 そう言って、アランは自嘲気味に笑う。それはまるで、自分は無力だとでも言いたげな表情だった。

「いえ、そんなことはありませんよ。お二人が命をかけて守ってくださったお陰で、私は勇気を持てたんです。もし自分一人だけだったら、咄嗟に行動できなかったと思いますし……」

「コーデリア様……そう言っていただけて、大変光栄でございます。しかし、今後は二度とこのような無茶はなさらないでください。どうか、ご自分の身の安全を最優先に考えていただけると幸いです」

「ええ、わかりました」

 そう答えると、アランは安心したのか笑みを浮かべて頷く。

「あ、あのー……さっきの魔物は一体どこに……?」

 そんな声と共に、今までどこかに隠れていたであろうブレットがランタンを片手に近づいてきた。

「ブレットさん! ご無事だったんですね。ええと……さっきの魔物は、皆で協力して何とか倒しました!」

 何となく、「自分がとどめを刺しました」と言うのは憚られたため私は咄嗟に誤魔化す。

「あ、あの魔物を……? それに、その動物たちは一体……?」

 ブレットは、怪訝そうに首を傾げている。
 私が事情を説明すると、彼は「なるほど、そうだったんですね」と呟く。

「まさか、従者の方たちも獣化の病に罹っていたとは……」

 ブレットはアランとサラを交互に見ると、複雑そうな表情を浮かべた。

「驚かせてしまって、ごめんなさい」

 サラはブレットに向かって頭を下げると、申し訳なさそうに謝る。
 すると、彼はふるふると首を横に振りながら言った。

「いえ、とんでもないです! 寧ろ、助けていただいてありがとうございます!」

「──それじゃあ……魔蛍石も採取できたことですし、そろそろ帰りますか?」

 少し間を置いて、アランがそう尋ねてきた。

「ええ、そうしましょう。あの……ブレットさん、色々とご協力いただき、本当にありがとうございました。お陰で、とても助かりました」

 ブレットに向かってお礼を言うと、彼は「こちらこそ、お世話になりました!」と頭を下げた。
しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

転生幼女は追放先で総愛され生活を満喫中。前世で私を虐げていた姉が異世界から召喚されたので、聖女見習いは不要のようです。

桜城恋詠
ファンタジー
 聖女見習いのロルティ(6)は、五月雨瑠衣としての前世の記憶を思い出す。  異世界から召喚された聖女が、自身を虐げてきた前世の姉だと気づいたからだ。  彼女は神官に聖女は2人もいらないと教会から追放。  迷いの森に捨てられるが――そこで重傷のアンゴラウサギと生き別れた実父に出会う。 「絶対、誰にも渡さない」 「君を深く愛している」 「あなたは私の、最愛の娘よ」  公爵家の娘になった幼子は腹違いの兄と血の繋がった父と母、2匹のもふもふにたくさんの愛を注がれて暮らす。  そんな中、養父や前世の姉から命を奪われそうになって……?  命乞いをしたって、もう遅い。  あなたたちは絶対に、許さないんだから! ☆ ☆ ☆ ★ベリーズカフェ(別タイトル)・小説家になろう(同タイトル)掲載した作品を加筆修正したものになります。 こちらはトゥルーエンドとなり、内容が異なります。 ※9/28 誤字修正

婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~

ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。 そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。 シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。 ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。 それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。 それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。 なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた―― ☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆ ☆全文字はだいたい14万文字になっています☆ ☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆

妹の身代わりに殺戮の王太子に嫁がされた忌み子王女、実は妖精の愛し子でした。嫁ぎ先でじゃがいもを育てていたら、殿下の溺愛が始まりました・長編版

まほりろ
恋愛
 国王の愛人の娘であるアリアベルタは、母親の死後、王宮内で放置されていた。  食事は一日に一回、カビたパンやまふ腐った果物、生のじゃがいもなどが届くだけだった。  しかしアリアベルタはそれでもなんとか暮らしていた。  アリアベルタの母親は妖精の村の出身で、彼女には妖精がついていたのだ。  その妖精はアリアベルタに引き継がれ、彼女に加護の力を与えてくれていた。  ある日、数年ぶりに国王に呼び出されたアリアベルタは、異母妹の代わりに殺戮の王子と二つ名のある隣国の王太子に嫁ぐことになり……。 「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します。 ※小説家になろうとカクヨムにも投稿しています。 ※中編を大幅に改稿し、長編化しました。2025年1月20日 ※長編版と差し替えました。2025年7月2日 ※コミカライズ化が決定しました。商業化した際はアルファポリス版は非公開に致します。

【完結】嫌われ公女が継母になった結果

三矢さくら
恋愛
王国で権勢を誇る大公家の次女アデールは、母である女大公から嫌われて育った。いつか温かい家族を持つことを夢見るアデールに母が命じたのは、悪名高い辺地の子爵家への政略結婚。 わずかな希望を胸に、華やかな王都を後に北の辺境へと向かうアデールを待っていたのは、戦乱と過去の愛憎に囚われ、すれ違いを重ねる冷徹な夫と心を閉ざした継子だった。

モブで可哀相? いえ、幸せです!

みけの
ファンタジー
私のお姉さんは“恋愛ゲームのヒロイン”で、私はゲームの中で“モブ”だそうだ。 “あんたはモブで可哀相”。 お姉さんはそう、思ってくれているけど……私、可哀相なの?

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

婚約破棄で追放されて、幸せな日々を過ごす。……え? 私が世界に一人しか居ない水の聖女? あ、今更泣きつかれても、知りませんけど?

向原 行人
ファンタジー
第三王子が趣味で行っている冒険のパーティに所属するマッパー兼食事係の私、アニエスは突然パーティを追放されてしまった。 というのも、新しい食事係の少女をスカウトしたそうで、水魔法しか使えない私とは違い、複数の魔法が使えるのだとか。 私も、好きでもない王子から勝手に婚約者呼ばわりされていたし、追放されたのはありがたいかも。 だけど私が唯一使える水魔法が、実は「飲むと数時間の間、能力を倍増する」効果が得られる神水だったらしく、その効果を失った王子のパーティは、一気に転落していく。 戻ってきて欲しいって言われても、既にモフモフ妖狐や、新しい仲間たちと幸せな日々を過ごしてますから。 ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

追放された悪役令嬢、規格外魔力でもふもふ聖獣を手懐け隣国の王子に溺愛される

黒崎隼人
ファンタジー
「ようやく、この息苦しい生活から解放される!」 無実の罪で婚約破棄され、国外追放を言い渡された公爵令嬢エレオノーラ。しかし彼女は、悲しむどころか心の中で歓喜の声をあげていた。完璧な淑女の仮面の下に隠していたのは、国一番と謳われた祖母譲りの規格外な魔力。追放先の「魔の森」で力を解放した彼女の周りには、伝説の聖獣グリフォンをはじめ、可愛いもふもふ達が次々と集まってきて……!? 自由気ままなスローライフを満喫する元悪役令嬢と、彼女のありのままの姿に惹かれた「氷の王子」。二人の出会いが、やがて二つの国の運命を大きく動かすことになる。 窮屈な世界から解き放たれた少女が、本当の自分と最高の幸せを見つける、溺愛と逆転の異世界ファンタジー、ここに開幕!

処理中です...