23 / 58
23.契約書
しおりを挟む
ランプを領民たちに配ってから、一ヶ月ほどが経過した。
あれからというもの、領民たちは積極的に作業を手伝ってくれている。
彼らのお陰で、ランプ製作も順調に進んでいた。
ただ、問題が一つある。それは──
(周りが気になって、集中できない……)
というのも……作業を手伝ってくれている領民の中には獣化の病を患っている患者が多いのだが、そのせいで作業場がモフモフ天国と化しているのである。
中にはアランやサラのように完全な動物の姿になっている者もいて、気になって仕方がなく作業するにも集中できなくなってしまったのだ。
現に今も、小さくて可愛らしいコツメカワウソが作業を手伝ってくれている。
本来の姿はまだ年端も行かぬ子供らしく、余計にあざとさが目立っていた。しかも、本人は無意識だから余計に始末が悪い。
「疲れたでしょう? そろそろ、休憩しましょうか?」
私がそう尋ねると、その子は私のほうを振り返り首を傾げる。
(うう、可愛い……)
「大丈夫ですよ! 僕、まだ働けます!」
彼はそう返すと、作業の続きに取りかかろうとした。
私は「ほら、いいから」と言って、強制的に作業を中断させる。
「あ、ありがとうございます!」
彼は恐縮した様子で私の言うことに従い、ちょこんとその場に座り込む。
その動作がまた非常に可愛らしくて、私は内心で悶えてしまう。
しかしそんな私の心境を知る由もない彼は、ニコニコと微笑みながらこちらを見上げてきたのだった。
(可愛いけど、ちょっと疲れるかも……)
そんなことを考えていると、ふと少し離れたところに見覚えのある人物がいることに気づいた。
(あれ……? あの人って……)
眼鏡をかけたその男性は、使用人に案内をされているのかきょろきょろと周りを見回しながらも私のほうへと近づいてくる。
そして、彼は私の前で立ち止まると話しかけてきた。
「お久しぶりです。以前、一度お会いしたことがあるのですが覚えていますか?」
そう尋ねられ、私は思いあぐねる。
(確かに、見覚えがあるのだけれど……)
しかし、どこで会ったか思い出すことが出来ない。すると、彼は苦笑いを浮かべた。
「やはり、覚えていらっしゃらないようですね」
そう言うと、彼は眼鏡の位置を直しながら私を見据える。
「市場で会った行商人ですよ。ほら、魔導具屋の……」
そこまで言われて、ようやく思い出した。
「ああ、あの時の!」
「その節は、タリスマンをご購入いただきありがとうございました。あ、申し遅れました。僕の名前はクレイグです」
そう名乗ると、彼は丁寧にお辞儀をする。
どうやら、この行商人はクレイグという名前らしい。
「いえ、こちらこそ! お陰さまで、助かりました!」
私は慌ててお礼を言う。次の瞬間、ふとある疑問が頭をよぎった。
「あれ? でも……どうして、クレイグさんがここに……?」
そう尋ねると、クレイグは改まった様子で再び眼鏡を指でクイッと上げた。
「実は、あなたが魔蛍石を使った画期的なランプを領民に配っているという噂を聞きつけまして。ぜひ、僕の店で取り扱えたらと考えた結果、こうして足を運んだという次第です」
その言葉を聞いて、私は思わず目を見開いた。
「一部の領民にはランプが行き渡ったとはいえ、まだまだ普及には程遠いのが現状ではないでしょうか? そこで、提案なのですが……僕の店に在庫を置かせていただけませんか?」
「あなたの店に……?」
思わぬ申し出に、私は困惑する。しかし、彼の真剣な表情を見る限り冗談で言っている訳ではないということは分かった。
実際、ジェイドもランプを本格的に普及させたいのならば今すぐ販売をした方がいいと言っている。
しかし、相談もせず勝手に決めるわけにもいかないだろう。
「すみません。検討させていただきたいので、少しお時間をいただけますか?」
私は少し考えてから、そう返した。すると、クレイグは笑顔で頷く。
「構いませんよ。それでは、もし決まったら店に来てください。ご検討のほど、お願いします」
彼は一礼すると、そのまま踵を返して去っていった。
***
「──と、いうわけなんです」
私が事情を説明すると、ジェイドとアランは考え込む様子を見せる。
「確かに、なるべく早く普及させたいなら実際に店に並べるのが一番だ。だが、それはあくまでも最終決定権は君にある。それを忘れないでくれ」
ジェイドの言葉に、私は目を瞬かせる。
「え? 私に……ですか?」
「ああ、そうだ。元々、あのランプはコーディが発明したものだろう? それなら、最終的な決断は発明者である君が下すのが妥当だと思う」
「私も同じ意見です」
ジェイドに続き、アランもそう言ってくれた。
(私の判断に委ねるなんて……)
二人の言葉を聞いて、私は責任の重さを再認識する。
「わかりました。では、この件は私に任せてください」
私がそう言うと、ジェイドは静かに頷いた。
「ああ、任せたぞ」
翌日。私は、早速クレイグの店へと足を運んだ。
「こんにちは」
そう声をかけると、彼は笑顔で出迎えてくれた。
「いらっしゃいませ! もしかして、あのランプのことですか?」
クレイグがそう尋ねてきたので、私は頷く。
「ええ、そうです。あの後、じっくり検討してみたのですが……ぜひ、クレイグさんのお店で取り扱っていただけたらと思いまして」
すると、彼は嬉しそうな表情を浮かべた。
「本当ですか!? 嬉しいです! あのランプは本当に画期的ですよ! 僕も、あれを見て感銘を受けましてね……ぜひ、うちで扱わせてほしいと思ったんです」
彼は興奮気味に語り始める。
どうやら、思っていた以上に喜んでいるようだった。
その反応を見て安心したせいか、私も自然と頬を緩ませる。
「そう言っていただいて、こちらも嬉しいです」
「では、早速契約書を作成しましょうか。詳しい話は、また後日ということで……」
クレイグはそう言うと、鞄からペンと紙を取り出した。
そして、さらさらと必要な項目を書き込んでいく。
(流石は商人ね……)
私は目を見張りつつ、その様子を見守っていた。
「それにしても、まさかあの時のお嬢さんが公爵夫人だったとは……驚きましたよ」
契約書を書きながら、クレイグがそんなことを言ってきた。
(そういえば、あの時は特に名乗ったりしなかったのよね)
「まだ嫁いできて間もないですし、色々と慣れないことも多いですが……今後ともよろしくお願いしますね」
私がそう言うと、彼は微笑みながら頷いた。
「ええ。こちらこそ、よろしくお願いします!」
こうして、私はクレイグと契約を交わしたのだった。
あれからというもの、領民たちは積極的に作業を手伝ってくれている。
彼らのお陰で、ランプ製作も順調に進んでいた。
ただ、問題が一つある。それは──
(周りが気になって、集中できない……)
というのも……作業を手伝ってくれている領民の中には獣化の病を患っている患者が多いのだが、そのせいで作業場がモフモフ天国と化しているのである。
中にはアランやサラのように完全な動物の姿になっている者もいて、気になって仕方がなく作業するにも集中できなくなってしまったのだ。
現に今も、小さくて可愛らしいコツメカワウソが作業を手伝ってくれている。
本来の姿はまだ年端も行かぬ子供らしく、余計にあざとさが目立っていた。しかも、本人は無意識だから余計に始末が悪い。
「疲れたでしょう? そろそろ、休憩しましょうか?」
私がそう尋ねると、その子は私のほうを振り返り首を傾げる。
(うう、可愛い……)
「大丈夫ですよ! 僕、まだ働けます!」
彼はそう返すと、作業の続きに取りかかろうとした。
私は「ほら、いいから」と言って、強制的に作業を中断させる。
「あ、ありがとうございます!」
彼は恐縮した様子で私の言うことに従い、ちょこんとその場に座り込む。
その動作がまた非常に可愛らしくて、私は内心で悶えてしまう。
しかしそんな私の心境を知る由もない彼は、ニコニコと微笑みながらこちらを見上げてきたのだった。
(可愛いけど、ちょっと疲れるかも……)
そんなことを考えていると、ふと少し離れたところに見覚えのある人物がいることに気づいた。
(あれ……? あの人って……)
眼鏡をかけたその男性は、使用人に案内をされているのかきょろきょろと周りを見回しながらも私のほうへと近づいてくる。
そして、彼は私の前で立ち止まると話しかけてきた。
「お久しぶりです。以前、一度お会いしたことがあるのですが覚えていますか?」
そう尋ねられ、私は思いあぐねる。
(確かに、見覚えがあるのだけれど……)
しかし、どこで会ったか思い出すことが出来ない。すると、彼は苦笑いを浮かべた。
「やはり、覚えていらっしゃらないようですね」
そう言うと、彼は眼鏡の位置を直しながら私を見据える。
「市場で会った行商人ですよ。ほら、魔導具屋の……」
そこまで言われて、ようやく思い出した。
「ああ、あの時の!」
「その節は、タリスマンをご購入いただきありがとうございました。あ、申し遅れました。僕の名前はクレイグです」
そう名乗ると、彼は丁寧にお辞儀をする。
どうやら、この行商人はクレイグという名前らしい。
「いえ、こちらこそ! お陰さまで、助かりました!」
私は慌ててお礼を言う。次の瞬間、ふとある疑問が頭をよぎった。
「あれ? でも……どうして、クレイグさんがここに……?」
そう尋ねると、クレイグは改まった様子で再び眼鏡を指でクイッと上げた。
「実は、あなたが魔蛍石を使った画期的なランプを領民に配っているという噂を聞きつけまして。ぜひ、僕の店で取り扱えたらと考えた結果、こうして足を運んだという次第です」
その言葉を聞いて、私は思わず目を見開いた。
「一部の領民にはランプが行き渡ったとはいえ、まだまだ普及には程遠いのが現状ではないでしょうか? そこで、提案なのですが……僕の店に在庫を置かせていただけませんか?」
「あなたの店に……?」
思わぬ申し出に、私は困惑する。しかし、彼の真剣な表情を見る限り冗談で言っている訳ではないということは分かった。
実際、ジェイドもランプを本格的に普及させたいのならば今すぐ販売をした方がいいと言っている。
しかし、相談もせず勝手に決めるわけにもいかないだろう。
「すみません。検討させていただきたいので、少しお時間をいただけますか?」
私は少し考えてから、そう返した。すると、クレイグは笑顔で頷く。
「構いませんよ。それでは、もし決まったら店に来てください。ご検討のほど、お願いします」
彼は一礼すると、そのまま踵を返して去っていった。
***
「──と、いうわけなんです」
私が事情を説明すると、ジェイドとアランは考え込む様子を見せる。
「確かに、なるべく早く普及させたいなら実際に店に並べるのが一番だ。だが、それはあくまでも最終決定権は君にある。それを忘れないでくれ」
ジェイドの言葉に、私は目を瞬かせる。
「え? 私に……ですか?」
「ああ、そうだ。元々、あのランプはコーディが発明したものだろう? それなら、最終的な決断は発明者である君が下すのが妥当だと思う」
「私も同じ意見です」
ジェイドに続き、アランもそう言ってくれた。
(私の判断に委ねるなんて……)
二人の言葉を聞いて、私は責任の重さを再認識する。
「わかりました。では、この件は私に任せてください」
私がそう言うと、ジェイドは静かに頷いた。
「ああ、任せたぞ」
翌日。私は、早速クレイグの店へと足を運んだ。
「こんにちは」
そう声をかけると、彼は笑顔で出迎えてくれた。
「いらっしゃいませ! もしかして、あのランプのことですか?」
クレイグがそう尋ねてきたので、私は頷く。
「ええ、そうです。あの後、じっくり検討してみたのですが……ぜひ、クレイグさんのお店で取り扱っていただけたらと思いまして」
すると、彼は嬉しそうな表情を浮かべた。
「本当ですか!? 嬉しいです! あのランプは本当に画期的ですよ! 僕も、あれを見て感銘を受けましてね……ぜひ、うちで扱わせてほしいと思ったんです」
彼は興奮気味に語り始める。
どうやら、思っていた以上に喜んでいるようだった。
その反応を見て安心したせいか、私も自然と頬を緩ませる。
「そう言っていただいて、こちらも嬉しいです」
「では、早速契約書を作成しましょうか。詳しい話は、また後日ということで……」
クレイグはそう言うと、鞄からペンと紙を取り出した。
そして、さらさらと必要な項目を書き込んでいく。
(流石は商人ね……)
私は目を見張りつつ、その様子を見守っていた。
「それにしても、まさかあの時のお嬢さんが公爵夫人だったとは……驚きましたよ」
契約書を書きながら、クレイグがそんなことを言ってきた。
(そういえば、あの時は特に名乗ったりしなかったのよね)
「まだ嫁いできて間もないですし、色々と慣れないことも多いですが……今後ともよろしくお願いしますね」
私がそう言うと、彼は微笑みながら頷いた。
「ええ。こちらこそ、よろしくお願いします!」
こうして、私はクレイグと契約を交わしたのだった。
209
あなたにおすすめの小説
転生幼女は追放先で総愛され生活を満喫中。前世で私を虐げていた姉が異世界から召喚されたので、聖女見習いは不要のようです。
桜城恋詠
ファンタジー
聖女見習いのロルティ(6)は、五月雨瑠衣としての前世の記憶を思い出す。
異世界から召喚された聖女が、自身を虐げてきた前世の姉だと気づいたからだ。
彼女は神官に聖女は2人もいらないと教会から追放。
迷いの森に捨てられるが――そこで重傷のアンゴラウサギと生き別れた実父に出会う。
「絶対、誰にも渡さない」
「君を深く愛している」
「あなたは私の、最愛の娘よ」
公爵家の娘になった幼子は腹違いの兄と血の繋がった父と母、2匹のもふもふにたくさんの愛を注がれて暮らす。
そんな中、養父や前世の姉から命を奪われそうになって……?
命乞いをしたって、もう遅い。
あなたたちは絶対に、許さないんだから!
☆ ☆ ☆
★ベリーズカフェ(別タイトル)・小説家になろう(同タイトル)掲載した作品を加筆修正したものになります。
こちらはトゥルーエンドとなり、内容が異なります。
※9/28 誤字修正
【完結】嫌われ公女が継母になった結果
三矢さくら
恋愛
王国で権勢を誇る大公家の次女アデールは、母である女大公から嫌われて育った。いつか温かい家族を持つことを夢見るアデールに母が命じたのは、悪名高い辺地の子爵家への政略結婚。
わずかな希望を胸に、華やかな王都を後に北の辺境へと向かうアデールを待っていたのは、戦乱と過去の愛憎に囚われ、すれ違いを重ねる冷徹な夫と心を閉ざした継子だった。
モブで可哀相? いえ、幸せです!
みけの
ファンタジー
私のお姉さんは“恋愛ゲームのヒロイン”で、私はゲームの中で“モブ”だそうだ。
“あんたはモブで可哀相”。
お姉さんはそう、思ってくれているけど……私、可哀相なの?
婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~
ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。
そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。
シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。
ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。
それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。
それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。
なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた――
☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆
☆全文字はだいたい14万文字になっています☆
☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆
妹の身代わりに殺戮の王太子に嫁がされた忌み子王女、実は妖精の愛し子でした。嫁ぎ先でじゃがいもを育てていたら、殿下の溺愛が始まりました・長編版
まほりろ
恋愛
国王の愛人の娘であるアリアベルタは、母親の死後、王宮内で放置されていた。
食事は一日に一回、カビたパンやまふ腐った果物、生のじゃがいもなどが届くだけだった。
しかしアリアベルタはそれでもなんとか暮らしていた。
アリアベルタの母親は妖精の村の出身で、彼女には妖精がついていたのだ。
その妖精はアリアベルタに引き継がれ、彼女に加護の力を与えてくれていた。
ある日、数年ぶりに国王に呼び出されたアリアベルタは、異母妹の代わりに殺戮の王子と二つ名のある隣国の王太子に嫁ぐことになり……。
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
※小説家になろうとカクヨムにも投稿しています。
※中編を大幅に改稿し、長編化しました。2025年1月20日
※長編版と差し替えました。2025年7月2日
※コミカライズ化が決定しました。商業化した際はアルファポリス版は非公開に致します。
家族から冷遇されていた過去を持つ家政ギルドの令嬢は、旦那様に人のぬくもりを教えたい~自分に自信のない旦那様は、とても素敵な男性でした~
チカフジ ユキ
恋愛
叔父から使用人のように扱われ、冷遇されていた子爵令嬢シルヴィアは、十五歳の頃家政ギルドのギルド長オリヴィアに助けられる。
そして家政ギルドで様々な事を教えてもらい、二年半で大きく成長した。
ある日、オリヴィアから破格の料金が提示してある依頼書を渡される。
なにやら裏がありそうな値段設定だったが、半年後の成人を迎えるまでにできるだけお金をためたかったシルヴィアは、その依頼を受けることに。
やってきた屋敷は気持ちが憂鬱になるような雰囲気の、古い建物。
シルヴィアが扉をノックすると、出てきたのは長い前髪で目が隠れた、横にも縦にも大きい貴族男性。
彼は肩や背を丸め全身で自分に自信が無いと語っている、引きこもり男性だった。
その姿をみて、自信がなくいつ叱られるかビクビクしていた過去を思い出したシルヴィアは、自分自身と重ねてしまった。
家政ギルドのギルド員として、余計なことは詮索しない、そう思っても気になってしまう。
そんなある日、ある人物から叱責され、酷く傷ついていた雇い主の旦那様に、シルヴィアは言った。
わたしはあなたの側にいます、と。
このお話はお互いの強さや弱さを知りながら、ちょっとずつ立ち直っていく旦那様と、シルヴィアの恋の話。
*** ***
※この話には第五章に少しだけ「ざまぁ」展開が入りますが、味付け程度です。
※設定などいろいろとご都合主義です。
※小説家になろう様にも掲載しています。
婚約破棄された際もらった慰謝料で田舎の土地を買い農家になった元貴族令嬢、野菜を買いにきたベジタリアン第三王子に求婚される
さくら
恋愛
婚約破棄された元伯爵令嬢クラリス。
慰謝料代わりに受け取った金で田舎の小さな土地を買い、農業を始めることに。泥にまみれて種を撒き、水をやり、必死に生きる日々。貴族の煌びやかな日々は失ったけれど、土と共に過ごす穏やかな時間が、彼女に新しい幸せをくれる――はずだった。
だがある日、畑に現れたのは野菜好きで有名な第三王子レオニール。
「この野菜は……他とは違う。僕は、あなたが欲しい」
そう言って真剣な瞳で求婚してきて!?
王妃も兄王子たちも立ちはだかる。
「身分違いの恋」なんて笑われても、二人の気持ちは揺るがない。荒れ地を畑に変えるように、愛もまた努力で実を結ぶのか――。
ブサイク令嬢は、眼鏡を外せば国一番の美女でして。
みこと。
恋愛
伯爵家のひとり娘、アルドンサ・リブレは"人の死期"がわかる。
死が近づいた人間の体が、色あせて見えるからだ。
母に気味悪がれた彼女は、「眼鏡をかけていれば見えない」と主張し、大きな眼鏡を外さなくなった。
無骨な眼鏡で"ブサ令嬢"と蔑まれるアルドンサだが、そんな彼女にも憧れの人がいた。
王女の婚約者、公爵家次男のファビアン公子である。彼に助けられて以降、想いを密かに閉じ込めて、ただ姿が見れるだけで満足していたある日、ファビアンの全身が薄く見え?
「ファビアン様に死期が迫ってる!」
王女に新しい恋人が出来たため、ファビアンとの仲が危ぶまれる昨今。まさか王女に断罪される? それとも失恋を嘆いて命を絶つ?
慌てるアルドンサだったが、さらに彼女の目は、とんでもないものをとらえてしまう──。
不思議な力に悩まされてきた令嬢が、初恋相手と結ばれるハッピーエンドな物語。
幸せな結末を、ぜひご確認ください!!
(※本編はヒロイン視点、全5話完結)
(※番外編は第6話から、他のキャラ視点でお届けします)
※この作品は「小説家になろう」様でも掲載しています。第6~12話は「なろう」様では『浅はかな王女の末路』、第13~15話『「わたくしは身勝手な第一王女なの」〜ざまぁ後王女の見た景色〜』、第16~17話『氷砂糖の王女様』というタイトルです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる