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26話 アクアの記憶9 惚れさせた者の勝ち
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「兄上、ご気分はいかがです?」
牢の柵の向こうに見えるマクロスの声は柔らかかったが、それとは裏腹に目は冷たく、蔑むように地べたに座るカイルを見下ろしていた。
「最低な気分だよ…
何でこんなことしたのか、ちゃんと説明してほしい」
「まだそんなこと言ってるんですかっ⁉︎
説明してほしいのはこっちの方なんですよ⁉︎
兄上‼︎」
ガシャンッ
マクロスは柵に握り拳をぶつけて叫んだ。
「…悪いが本当に何も知らない。マクロス、お前がそこまで怒っている理由を頼むから教えてほしい」
カイルは激しく怒るマクロスを冷静に見つめ、真剣な目で言った。
「…はぁ…そうですね。兄上はこのことはまだ知らないはずだ。身に覚えはあるでしょうが…
……マリーサは……身籠っています」
マクロスは口に出すのも忌々しそうに、絞り出すような声で言った。
「…?…結婚はまだだが、まぁ婚約はしているんだし、めでたいんじゃないか?おめでとう。…しかし、それと僕がこうなったことと何の関わりがある?」
ガシャンッ
「とぼけるな‼︎」
マクロスはさらに強く鉄の柵を殴りつける。しかしそんな手の痛みに気づかないほどに、頭に血が上っていた。
「兄上‼︎腹の子の父親は…あなたなんでしょう⁉︎」
「はっ⁉︎なんでそうなる⁉︎僕なわけないだろう‼︎ふざけるな!あの紹介以来関わったことなどないと言ったはずだ!誰がそんな根も葉もないことを⁉︎」
あまりに突拍子もないことを言われてカイルはひっくり返りそうになったが、ここまでマクロスが怒るには訳があるのだろうと考えた。その話を持ち出した誰かが必ずいるはずだと。
「……マリーサ本人ですよ!言いにくいことなのに、頑張って話してくれました…
兄上、あなたに無理矢理…無体を働かれたと…
恐くて逃げられなかったと…
兄上、もう嘘はいいですから…
早く本当のことを言ってください」
あの泣きながら話すマリーサを思い出してしまい、マクロスは苦しそうに顔を歪めた。
(マリーサが何故そんな嘘を⁉︎
……そうか…僕を嵌める気か…?
僕を殺して弟を王にし、自分は王妃になる腹積もりだな…?
クソッ、まずいぞ、マクロスはマリーサに惚れてるんだ…今の様子からしても、僕の話を信じることは無さそうだ…
どうする…⁉︎)
「マクロス‼︎お前は騙されてる‼︎僕はそんなことやってない!頼むから僕の話を信じてくれ!」
「兄上…見苦しいですよ…
罪を認めないばかりか、マリーサを悪者呼ばわりですか?……兄上がこんなに最低な男だったなんて。
夜遊びの噂、僕は信じていませんでしたが、やはり本当だったんですね。…兄上は…あの戦争に変えられてしまったんだ…
……これ以上あなたと話すのは虫唾が走る。
本当のことを言いたくなるまでそこに居ればいい。
きっと、次に会う時は処刑場だ…
さようなら、兄上」
それだけ言うと、マクロスは踵を返し、後ろを振り返らず去って言った。
マクロスの歩く冷たい牢の廊下に、涙の雫が染み込んだ。
牢の柵の向こうに見えるマクロスの声は柔らかかったが、それとは裏腹に目は冷たく、蔑むように地べたに座るカイルを見下ろしていた。
「最低な気分だよ…
何でこんなことしたのか、ちゃんと説明してほしい」
「まだそんなこと言ってるんですかっ⁉︎
説明してほしいのはこっちの方なんですよ⁉︎
兄上‼︎」
ガシャンッ
マクロスは柵に握り拳をぶつけて叫んだ。
「…悪いが本当に何も知らない。マクロス、お前がそこまで怒っている理由を頼むから教えてほしい」
カイルは激しく怒るマクロスを冷静に見つめ、真剣な目で言った。
「…はぁ…そうですね。兄上はこのことはまだ知らないはずだ。身に覚えはあるでしょうが…
……マリーサは……身籠っています」
マクロスは口に出すのも忌々しそうに、絞り出すような声で言った。
「…?…結婚はまだだが、まぁ婚約はしているんだし、めでたいんじゃないか?おめでとう。…しかし、それと僕がこうなったことと何の関わりがある?」
ガシャンッ
「とぼけるな‼︎」
マクロスはさらに強く鉄の柵を殴りつける。しかしそんな手の痛みに気づかないほどに、頭に血が上っていた。
「兄上‼︎腹の子の父親は…あなたなんでしょう⁉︎」
「はっ⁉︎なんでそうなる⁉︎僕なわけないだろう‼︎ふざけるな!あの紹介以来関わったことなどないと言ったはずだ!誰がそんな根も葉もないことを⁉︎」
あまりに突拍子もないことを言われてカイルはひっくり返りそうになったが、ここまでマクロスが怒るには訳があるのだろうと考えた。その話を持ち出した誰かが必ずいるはずだと。
「……マリーサ本人ですよ!言いにくいことなのに、頑張って話してくれました…
兄上、あなたに無理矢理…無体を働かれたと…
恐くて逃げられなかったと…
兄上、もう嘘はいいですから…
早く本当のことを言ってください」
あの泣きながら話すマリーサを思い出してしまい、マクロスは苦しそうに顔を歪めた。
(マリーサが何故そんな嘘を⁉︎
……そうか…僕を嵌める気か…?
僕を殺して弟を王にし、自分は王妃になる腹積もりだな…?
クソッ、まずいぞ、マクロスはマリーサに惚れてるんだ…今の様子からしても、僕の話を信じることは無さそうだ…
どうする…⁉︎)
「マクロス‼︎お前は騙されてる‼︎僕はそんなことやってない!頼むから僕の話を信じてくれ!」
「兄上…見苦しいですよ…
罪を認めないばかりか、マリーサを悪者呼ばわりですか?……兄上がこんなに最低な男だったなんて。
夜遊びの噂、僕は信じていませんでしたが、やはり本当だったんですね。…兄上は…あの戦争に変えられてしまったんだ…
……これ以上あなたと話すのは虫唾が走る。
本当のことを言いたくなるまでそこに居ればいい。
きっと、次に会う時は処刑場だ…
さようなら、兄上」
それだけ言うと、マクロスは踵を返し、後ろを振り返らず去って言った。
マクロスの歩く冷たい牢の廊下に、涙の雫が染み込んだ。
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