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37話 仮面舞踏会
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アイリスは初めての仮面舞踏会に興奮していた。
煌びやかなダンスパーティーの会場は今までそれなりに見てきたが、集まっている者たちの様子がまるで違っている。
目を覆う仮面を付けていることにもドキドキしたが、皆それぞれ趣向を凝らして、女性は鮮やかな色の花や羽根の飾りを端の方にあしらったり、男性は黒や濃緑などシンプルな色や形でも、よく見ると美しい彫り模様が入っていたりと、顔が見えない分仮面で精一杯主張しているのを見ると、アイリスは面白くて釘付けになってしまった。
見たことのない光景にキョロキョロして、自分が何をしに来たのか危うく忘れそうになっていたアイリスに、マリーサが注意をしてきたので我に返る。
「アイリスさん?大丈夫?そんなにキョロキョロして見過ぎてはダメよ?みんな正体を隠したい人ばかりなんだから、詮索しようとする人は選んで貰えないわよ?」
「あっ、そっ、そうですわねっ。気をつけますわ、お教え頂きありがとうございます、マリーサ様」
「名前も禁止よ。ここではマリーって呼んで?様もいらないわ。身分が知られてはまずいでしょ?あなたのことは、……そうね、リアって呼ぶわ」
「はい、マリー」
「ふふ、じゃあお互い相手を探して、まずはダンスでも楽しみましょ?」
マリーサはそう言うと、人混みの中に溶け込んでいった。
アイリスはマリーサを見失わないように、その後をそれとなく追う。
見ていると、マリーサは沢山の男性に囲まれ楽しそうにおしゃべりをし、その中から1人選んでダンスホールへ連れ立って行った。
アイリスは、ダンスがよく見える位置の壁際に立ち、マリーサの様子を伺っていたが、ふと目の前が人の影で覆われて見えなくなった。
邪魔だわ、と思いながら避けてまたマリーサを見ようとすると、またその影が目の前を覆う。
何⁈と思って目の前に目線を向けると、1人の男性が立っていた。
「そんなにダンスしてる人が気になるの?」
仮面をしていても整っていると分かる容姿だったが、普段見ているカイルの方が遥かに美しいので、アイリスは声をかけられてもその男性を気に留める様子もない。
「えっ?あ、ええ、ちょっと…カッコイイ人がいるなぁと思って…」
アイリスは適当なことを言って誤魔化した。
「へぇ…その人と踊りたいの?」
「あっ、いえ、別に、その、見ているだけで大丈夫ですから」
(もうっ、早くあっちに行ってよ!邪魔でマリーサさんが見えないじゃない!)
「それはもったいないな。君みたいに可愛い子が壁の花になってるなんて。よかったら僕と踊らないかい?」
そう言って男はアイリスに向かって手を差し出してきた。
アイリスは、仮面があるのにどうして可愛いなんてわかるのよ?と思いながら、ジロリと目の前の男を見たが、しかし何もせずただ立っていてはマリーサに怪しまれるかもしれないとも思い、その申し出を受けることにした。
「よかった。じゃあ行こうか?」
男は微笑みながらそう言って、アイリスをエスコートすると、ダンスホールへと歩いて行った。
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目を覆う仮面を付けていることにもドキドキしたが、皆それぞれ趣向を凝らして、女性は鮮やかな色の花や羽根の飾りを端の方にあしらったり、男性は黒や濃緑などシンプルな色や形でも、よく見ると美しい彫り模様が入っていたりと、顔が見えない分仮面で精一杯主張しているのを見ると、アイリスは面白くて釘付けになってしまった。
見たことのない光景にキョロキョロして、自分が何をしに来たのか危うく忘れそうになっていたアイリスに、マリーサが注意をしてきたので我に返る。
「アイリスさん?大丈夫?そんなにキョロキョロして見過ぎてはダメよ?みんな正体を隠したい人ばかりなんだから、詮索しようとする人は選んで貰えないわよ?」
「あっ、そっ、そうですわねっ。気をつけますわ、お教え頂きありがとうございます、マリーサ様」
「名前も禁止よ。ここではマリーって呼んで?様もいらないわ。身分が知られてはまずいでしょ?あなたのことは、……そうね、リアって呼ぶわ」
「はい、マリー」
「ふふ、じゃあお互い相手を探して、まずはダンスでも楽しみましょ?」
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アイリスはマリーサを見失わないように、その後をそれとなく追う。
見ていると、マリーサは沢山の男性に囲まれ楽しそうにおしゃべりをし、その中から1人選んでダンスホールへ連れ立って行った。
アイリスは、ダンスがよく見える位置の壁際に立ち、マリーサの様子を伺っていたが、ふと目の前が人の影で覆われて見えなくなった。
邪魔だわ、と思いながら避けてまたマリーサを見ようとすると、またその影が目の前を覆う。
何⁈と思って目の前に目線を向けると、1人の男性が立っていた。
「そんなにダンスしてる人が気になるの?」
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「えっ?あ、ええ、ちょっと…カッコイイ人がいるなぁと思って…」
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アイリスは、仮面があるのにどうして可愛いなんてわかるのよ?と思いながら、ジロリと目の前の男を見たが、しかし何もせずただ立っていてはマリーサに怪しまれるかもしれないとも思い、その申し出を受けることにした。
「よかった。じゃあ行こうか?」
男は微笑みながらそう言って、アイリスをエスコートすると、ダンスホールへと歩いて行った。
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