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2章 闇と勇者と聖女
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どれぐらいたっただろうか。泣いている間はカイルがシェリーを抱き締め、頭を優しく撫でていた。
「カイルさんもう大丈夫です。参りました。ふふ。家族としてなら受け入れられそうです。」
シェリーは笑った。
「髪のこの色好きなんです。この世界の人族にはあり得ない色なんですけど、前と唯一同じ色なんで好きなんです。」
「シェリー、好きだ!俺も愛してる!」
カイルはシェリーに家族として受け入れてくれるという言葉と色が好きだという言葉が番フィルターで変換され、『カイルが好きだ』に変換された。そして、思いっきり抱き締める。
「ぐえ。」
先程まで黙って聞いていたグレイがシェリーとカイルを引き離す。
「おい、今のは家族として受け入れるといったのと髪の色が好きだと言ったんだ。決してお前を好きだと言ったわけじゃない。」
「なんだうらやましいのか。」
「う。うらやましい・・・。シェリー、俺も家族として受け入れてほしいがシェリーを傷つけてしまってそんなことを言える立場じゃないのはわかっている。だから、側にいることは許してもらえないだろうか。」
「はっきり言えば嫌です。」
「ぐふっ。」
「でも、わたしの立場はとても特殊なんです。だから、大公閣下の治療のまでの間、考えさせてもらいます。」
「本当か」
「ただし、聖女ビアンカの二の舞になるのはごめんです。二人に仲良くしろとは言いませんが殺し合いは禁止します。」
「「わかった。」よ。」
二人の答えが重なった。
翌朝、シェリーとカイルはグレイの父親である。ミゲルロディア・ラース大公の治療のため、公都グリードに行くことになった。外を出歩くのでシェリーはペンダントをナオフミから返してもらい髪は黒から、煤けた黄色に戻っていた。
「佐々木さん、きいつけてや。マルス帝国は物騒やからな。」
「わたしの心配よりやるべきことを、さっさとやって下さいね。」
「まかしとき。」
「おい、シーランに俺をつれて行くのを忘れるなよ。」
「ユウマさん、本当に行く気なんですか。気が変わっていることを祈ってますよ。」
「ぜってー行くからな。」
「それでは皆様さようなら。」
「また遊びに来いや。」
シェリーは背を向ける。家族ではない血の繋がった者達に。
シェリー達は森を抜け公都を目指す。しかし、来た道を通らずに、ここから西へ行き、グローリア国との国境沿いの辺境都市に進路をとりながら、国境沿いの町や村の浄化を進めて行くつもりだ。
シェリーは二人にそう説明しながら、騎獣に乗り、勇者の隠れ家を後にした。
ラース公国とグローリア国の国境には広大な森林地帯が広がっているはずだったが、今現在夏だというのに葉の無い木の森と化していた。そして、国境沿いにある村は今までと変わらず打ち捨てられたままの姿で存在していたのだった。
4つ目の村に到着したところ、枯れた森からの悲鳴が聞こえた。高い女性の声だ。あたりを見渡すと、枯れた森の奥から女性が転がり出てきた。薄い空色の髪を乱し、汚れているが、美人であるウサギ獣族の女性はこちらに気がつき懇願するような目をして
「助けて」
と言った。
「なぜ、助けなければならないのですか?」
シェリーが女性にたずねる。森の奥から数人の人影が垣間見えて来た。女性を追いかけて来たようだ。女性もそれに気がつき、カイルに駆け寄り
「お願いします。何でもしますから助けてください。」
そう言ってすがり付こうとするが、カイルは隣にいるシェリーごとするりと避ける。女性はグレイに目を向けたところで
「おい、手間かけさせんじゃねぇ。」
数人の男達が枯れた森からのやってきた。一人の男がウサギ獣人の女性にムチを振るい足に絡めつかせる。
「ひぃ」
足を取られた女性は地面に引きずられるように男達の方に引っ張られていく。
「おいお前らこの女に何かしたか。」
男の一人がシェリー達に聞く。
「いや。何もしていない。どちらかと言えばこっちが助けてくれと懇願されたぐらいだ。」
男達の質問にグレイが答える。
「ならいい。」
そう言い、男達はウサギ獣人の女性を担ぎ上げもと来た道を戻って行った。
「あれ帝国のやつらだな。国境沿いを移動に使用しているのか。」
グレイはラース公国とグローリア国の国境に当たる方向に目を向ける。
「あの女性は何をしたんだろうね。顔に犯罪奴隷の焼き印があるなんて、死刑にされる程のことをしたのかな。あの感じだと違うんだろうね。」
カイルも同じ方向を見る。
「人族主義のマルス帝国に獣人の人権なんて無いようなものですよ。ムチを持っていたのは奴隷商人でしょうが、それ以外が軍人だなんて、近々国をあげての奴隷オークションでもあるのでしょう。本当に腐った国です。」
シェリーは男達の去った方を睨み付ける。8年前マルス帝国一の奴隷商の組織を潰してから、奴隷商人に軍人が付くようになってしまった。それは国をあげて奴隷を確保する必要があるということだ。
そのマルス帝国に行かなくてはならないなんて憂鬱すぎることだ。
━━━━━━━━━━━━
すみません。投稿の日付を間違って設定してました。
「カイルさんもう大丈夫です。参りました。ふふ。家族としてなら受け入れられそうです。」
シェリーは笑った。
「髪のこの色好きなんです。この世界の人族にはあり得ない色なんですけど、前と唯一同じ色なんで好きなんです。」
「シェリー、好きだ!俺も愛してる!」
カイルはシェリーに家族として受け入れてくれるという言葉と色が好きだという言葉が番フィルターで変換され、『カイルが好きだ』に変換された。そして、思いっきり抱き締める。
「ぐえ。」
先程まで黙って聞いていたグレイがシェリーとカイルを引き離す。
「おい、今のは家族として受け入れるといったのと髪の色が好きだと言ったんだ。決してお前を好きだと言ったわけじゃない。」
「なんだうらやましいのか。」
「う。うらやましい・・・。シェリー、俺も家族として受け入れてほしいがシェリーを傷つけてしまってそんなことを言える立場じゃないのはわかっている。だから、側にいることは許してもらえないだろうか。」
「はっきり言えば嫌です。」
「ぐふっ。」
「でも、わたしの立場はとても特殊なんです。だから、大公閣下の治療のまでの間、考えさせてもらいます。」
「本当か」
「ただし、聖女ビアンカの二の舞になるのはごめんです。二人に仲良くしろとは言いませんが殺し合いは禁止します。」
「「わかった。」よ。」
二人の答えが重なった。
翌朝、シェリーとカイルはグレイの父親である。ミゲルロディア・ラース大公の治療のため、公都グリードに行くことになった。外を出歩くのでシェリーはペンダントをナオフミから返してもらい髪は黒から、煤けた黄色に戻っていた。
「佐々木さん、きいつけてや。マルス帝国は物騒やからな。」
「わたしの心配よりやるべきことを、さっさとやって下さいね。」
「まかしとき。」
「おい、シーランに俺をつれて行くのを忘れるなよ。」
「ユウマさん、本当に行く気なんですか。気が変わっていることを祈ってますよ。」
「ぜってー行くからな。」
「それでは皆様さようなら。」
「また遊びに来いや。」
シェリーは背を向ける。家族ではない血の繋がった者達に。
シェリー達は森を抜け公都を目指す。しかし、来た道を通らずに、ここから西へ行き、グローリア国との国境沿いの辺境都市に進路をとりながら、国境沿いの町や村の浄化を進めて行くつもりだ。
シェリーは二人にそう説明しながら、騎獣に乗り、勇者の隠れ家を後にした。
ラース公国とグローリア国の国境には広大な森林地帯が広がっているはずだったが、今現在夏だというのに葉の無い木の森と化していた。そして、国境沿いにある村は今までと変わらず打ち捨てられたままの姿で存在していたのだった。
4つ目の村に到着したところ、枯れた森からの悲鳴が聞こえた。高い女性の声だ。あたりを見渡すと、枯れた森の奥から女性が転がり出てきた。薄い空色の髪を乱し、汚れているが、美人であるウサギ獣族の女性はこちらに気がつき懇願するような目をして
「助けて」
と言った。
「なぜ、助けなければならないのですか?」
シェリーが女性にたずねる。森の奥から数人の人影が垣間見えて来た。女性を追いかけて来たようだ。女性もそれに気がつき、カイルに駆け寄り
「お願いします。何でもしますから助けてください。」
そう言ってすがり付こうとするが、カイルは隣にいるシェリーごとするりと避ける。女性はグレイに目を向けたところで
「おい、手間かけさせんじゃねぇ。」
数人の男達が枯れた森からのやってきた。一人の男がウサギ獣人の女性にムチを振るい足に絡めつかせる。
「ひぃ」
足を取られた女性は地面に引きずられるように男達の方に引っ張られていく。
「おいお前らこの女に何かしたか。」
男の一人がシェリー達に聞く。
「いや。何もしていない。どちらかと言えばこっちが助けてくれと懇願されたぐらいだ。」
男達の質問にグレイが答える。
「ならいい。」
そう言い、男達はウサギ獣人の女性を担ぎ上げもと来た道を戻って行った。
「あれ帝国のやつらだな。国境沿いを移動に使用しているのか。」
グレイはラース公国とグローリア国の国境に当たる方向に目を向ける。
「あの女性は何をしたんだろうね。顔に犯罪奴隷の焼き印があるなんて、死刑にされる程のことをしたのかな。あの感じだと違うんだろうね。」
カイルも同じ方向を見る。
「人族主義のマルス帝国に獣人の人権なんて無いようなものですよ。ムチを持っていたのは奴隷商人でしょうが、それ以外が軍人だなんて、近々国をあげての奴隷オークションでもあるのでしょう。本当に腐った国です。」
シェリーは男達の去った方を睨み付ける。8年前マルス帝国一の奴隷商の組織を潰してから、奴隷商人に軍人が付くようになってしまった。それは国をあげて奴隷を確保する必要があるということだ。
そのマルス帝国に行かなくてはならないなんて憂鬱すぎることだ。
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