番とは呪いだと思いませんか―聖女だからと言ってツガイが五人も必要なのでしょうか―

白雲八鈴

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8章 赤い呪いと青い呪い

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 シェリーは自分の斜め前にいる第6師団の兵の一人に向かって声をかけた。
 第6師団の者達はシェリーが視線を向けた人物から距離をとる。クストはその人物に近づいて行き

「陛下なのですか?」

「いやー。何も言われないからバレてないと思っていたのに、バレていたかー。」

 一人の兵士が軽口を叩いたかと思えば、金髪碧眼の九尾の狐獣人の男性に姿を変えた。国王陛下と呼ばれた男性は、動きやすさを重視したのか、軍服姿で立っていた。

「第6師団長さん。わたしの言ったとおりでしたね。所詮小娘のパンチなど、獣人からしたら蚊に刺された程度ですよね。」

「俺はその事に対して怒っているのではなく、国王陛下と分かっていて、手を上げたことに怒っているんだ!」

「シェリー君のパンチは蚊に刺された程度じゃないよ。一瞬、今は亡き父上が手招きしているのがみえたよ。」

「「「陛下!」」」

「ああ、もうどうもないよ。」

「本気では殴っていないのに大袈裟ですね。それで、アンディウム師団長を呼んできてくれるのですか?それとも、アイラという少女の件は放置していいですか。出来れば面倒なので放置したいです。」

 第6師団長に席を譲られ、シェリーと対面する形で椅子に座ったイーリスクロム陛下はふと何かを思い出したかの様に

「そういえば、アンディウムが言っていたな。聖女候補が世界から見捨てられたと、どういうことかな?」

 シェリーは目を細めイーリスクロム陛下を見る。

「アンディウム師団長は報告しなかったのですか?」

「してくれたよ。でもさ、称号の変更が行われたなんて信じられないじゃないか。」

「では、国王陛下の称号の変更をしてもらいますか?そうですね。変幻自在の九尾から「ちょっと待て!」」

「なぜ、僕の称号を知っている?称号なんて本人しか知り得ないものだ。」

「そんなもの、視れば知ることができますよ。ふふふ、彼も暇なのでしょうね。変わってしまいましたね陛下の称号。まあ、まともでつまらない称号ですね。」

「え?うそ!うぁ・・・本当に変わっている。」

 イーリスクロム陛下は頭を抱えてしまった。室内にいた兵達はシェリーから距離をとろうと一斉に壁際に寄る。

「陛下。大丈夫ですか?」

 ルジオーネが話し掛けるが、ショックが大きすぎて聞こえていないようだ。

「大丈夫ですよ。大したことはないので。」

「問題児には聞いていません。」

「なぁ。陛下の称号は何に変更されたのだ?」

 クストはどう変更されたのか気になったらしい。

「ああ、それは「言うな!絶対に言うな!」」

 シェリーの声が聞こえないぐらい大声でイーリスクロム陛下はシェリーを止めた。

「国王陛下。これで、称号が変更されることを分かってもらえましたか?」

「ああ。わかった。よくわかったから、これ以上余計なことはするな。」

「言っておきますが、称号の変更はわたしがしたことではありませんよ。」

「「「嘘だ!」」」

 ここにいる兵達から一斉に批判された。

「人のステータスを弄くるなんて、高位なる存在ぐらいにしかできませんよ。それに、わたしなら『神出鬼没の九尾』になんてしませんよ。そのままじゃないですか。」

「あー!!言うなって僕は言ったよね!なんで言うの!」

 周りの者たちはその称号に納得した。確かにそのとおりだと。

「国王陛下にステータスの変更を確認してもらったので、帰っていいですか?」

「「「よくない!」」」

 イーリスクロム陛下とクスト、ルジオーネから否定された。

「ちっ。面倒ですね。」

「舌打ちをしない。この問題児!面倒なのはこちらのほうです。」

 イーリスクロム陛下はため息を吐きながら

「まぁ、称号の変更が行われたのは理解した。はぁ。聖女候補が世界に見捨てられたということを詳しく聞きたい。」

 シェリーはその言葉を聞いて顔を歪める。

「まだ、聖女候補として扱っているのですか?アレを?それにアンディウム師団長さんから報告を受けているのなら、わたしが話すことはありません。」

「シェリー君、アンディウムに何か言っていない事があるだろ?それと、聖魔術が使える人物は貴重なんだよ。そう簡単には手放せないよ。」

「ルナティーノ・トールモルテのツガイでもですか?」

「「「は?」」」

 シェリーの目の前にいる三人が固まった。

「確かに言っていないことはありました。称号の変更と同時にツガイがルナティーノ・トールモルテに変更されました。」

「イヤイヤイヤ。何それ!色んな意味であり得ない!」

 イーリスクロム陛下の叫び声が部屋中に響き渡った。
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