168 / 894
14章 黒の国
158
しおりを挟む
「本当に手合わせをするのか?」
訓練場らしき場所に連れてこられたが、シェリーの目の前にいる炎王はこの場にいても渋っている。
「報酬にしては安いものだと思いますよ。」
「はぁ。確かに金銭は掛かっていないが、コレってただの憂さ晴らしだろ?」
「それが何か?」
「憂さ晴らしって認めるのかよ。」
そんな二人を遠巻きにいるのは、先程までここで訓練していた鬼族の兵達とシェリーのツガイ達だ。
鬼族の兵達の反応は初代様が戦うと言うことで興味津々の者、シェリーを不可解そうに見る者、どう見ても人族にしか見えないシェリーをあざ笑う者、様々だった。
「諦めて構えてください。でないと本気で死にますよ。」
そう言いながらシェリーは先程ドワーフの親方から受け取った黒い刀を取り出した。それを見た炎王は
「は?・・・何だそれは。魔剣か?意思を持っている?」
まだ、鞘から抜いていないのにもかかわらず、刀の特性を言い当てた。
「親方さん曰く、狂剣一歩手前だそうです。」
と言いつつシェリーは刀を鞘から抜く。
「どう見ても狂っているだろ!ファブロのヤツ何を作ったんだ!」
「刀。」
そうシェリーは答え、炎王に斬りかかる。そのシェリーの刀をどこからともなく取り出した長剣で弾いた。いや、片刃の反りが強い剣なので大太刀だろう。
「見た目の話じゃねぇ!」
シェリーは弾かれた刀を構え直し、炎王に再び斬りかかる。数度打ち合うが、両者の力は同等なのか拮抗している。
傍目から二人の刀技を見てみても速すぎて目に追えない程なのだが、残像と刀のぶつかる音で両者の間で決定打がないとわかるぐらいだ。
そして、シェリーが刀を構えスキルを発動させる。
「『裂刀』」
シェリーがスキルを発動し刀を振り斬った瞬間、炎王は跳躍し、シェリーから大きく離れ距離をとる。シェリーと炎王の間に風が吹き抜け、炎王がいた場所の地面には大きくえぐれていた。
「本気か!ヤバすぎるだろ!『氷雪の天地!』」
シェリーの攻撃に命の危機を感じた炎王は魔術を発動させる。炎王の周りから徐々に地面が凍りつき・・・いや、空気でさえも凍りつき、辺りにはキラキラと光るダイヤモンドダストが煌めき始めた。シェリーの吐く息も白くなってきている。
「『白き業火の灰燼』」
シェリーの白き炎が凍りついた世界を溶かしていく。しかし、炎王の作り出した白き世界が白き炎を侵食していく。2つの白がせめぎあう。その力の渦は高く広がり、天をも貫いた。そして、2つの力は爆散し白き灰が、白き雪がこの炎国に降り注ぐ。
「その魔術、凶悪過ぎません?」
白き灰が降り注ぐ中、シェリーは炎王に尋ねる。
「その言葉そっくりそのまま返す。」
白き雪が舞い降りていく中、呆れ顔の炎王が答える。
シェリーは黒い刀を鞘におさめ炎王に礼をする。
「手合わせありがとうございました。」
「はぁ。こんなにヒヤヒヤしたのは久しぶりだ。まさか、レベル124で俺とまともに打ち合えるとは思ってもみなかった。」
炎王はやはり、シェリーと同じように人や物の詳細を見ることができるようだ。
「努力はしていますので・・・?」
努力でレベルの差が埋められるはずが無い。そして、シェリーは最近常時開きっ放しにしているマップ機能で、ここに近づいて来る人物がいることに気がついた。それもすごい勢いで近づいてくる。とても嫌な予感がし、慌てて炎王に向かって言う。
「炎王。用件は済みましたので、帰らせていただきます。」
シェリーの突然の帰る宣言に炎王はニヤリと笑い。
「ルークくんはもう学校に通っているから、今までみたいに急いで帰る必要ないよな。今日は泊まって行くといい。」
「お断りします。」
そう言ってシェリーはここから出るために歩き出そうすれば、腕を掴まれ。
「温泉もあるぞ。」
「知っています。公衆浴場に行きました。」
「ここにあるのは俺がこだわり抜いて作った温泉だから、公衆浴場とは違うぞ。」
「いい加減に離してください。わざとらしい足止めも必要ないです。」
炎王はシェリーが何に焦っているのか、わかっているようだ。シェリーの目線が炎王と空中を行き来する。
「会うぐらい良いだろ?」
「くっ!」
シェリーは掴まれた腕を炎王に押し付けるように近づけ、体を回転させ炎王との場所が入れ替わる。
「あ。そう来たか。」
シェリーと炎王の場所が入れ代わり、炎王の背中越しに見えるのはアフィーリアに似たその男性の黒髪の間から2本の角が出ており、金色の目は炎王越しにシェリーを捉えていた。
____________
補足
炎王と呼ばれながら氷属性を使っていますが、間違いではありません。炎国は温泉があることから火山がある国となります。火の国の王という意味の炎王となります。
彼自身の名に漢字を当てるなら別の文字になりますが、彼の物語ではないので省きます。
訓練場らしき場所に連れてこられたが、シェリーの目の前にいる炎王はこの場にいても渋っている。
「報酬にしては安いものだと思いますよ。」
「はぁ。確かに金銭は掛かっていないが、コレってただの憂さ晴らしだろ?」
「それが何か?」
「憂さ晴らしって認めるのかよ。」
そんな二人を遠巻きにいるのは、先程までここで訓練していた鬼族の兵達とシェリーのツガイ達だ。
鬼族の兵達の反応は初代様が戦うと言うことで興味津々の者、シェリーを不可解そうに見る者、どう見ても人族にしか見えないシェリーをあざ笑う者、様々だった。
「諦めて構えてください。でないと本気で死にますよ。」
そう言いながらシェリーは先程ドワーフの親方から受け取った黒い刀を取り出した。それを見た炎王は
「は?・・・何だそれは。魔剣か?意思を持っている?」
まだ、鞘から抜いていないのにもかかわらず、刀の特性を言い当てた。
「親方さん曰く、狂剣一歩手前だそうです。」
と言いつつシェリーは刀を鞘から抜く。
「どう見ても狂っているだろ!ファブロのヤツ何を作ったんだ!」
「刀。」
そうシェリーは答え、炎王に斬りかかる。そのシェリーの刀をどこからともなく取り出した長剣で弾いた。いや、片刃の反りが強い剣なので大太刀だろう。
「見た目の話じゃねぇ!」
シェリーは弾かれた刀を構え直し、炎王に再び斬りかかる。数度打ち合うが、両者の力は同等なのか拮抗している。
傍目から二人の刀技を見てみても速すぎて目に追えない程なのだが、残像と刀のぶつかる音で両者の間で決定打がないとわかるぐらいだ。
そして、シェリーが刀を構えスキルを発動させる。
「『裂刀』」
シェリーがスキルを発動し刀を振り斬った瞬間、炎王は跳躍し、シェリーから大きく離れ距離をとる。シェリーと炎王の間に風が吹き抜け、炎王がいた場所の地面には大きくえぐれていた。
「本気か!ヤバすぎるだろ!『氷雪の天地!』」
シェリーの攻撃に命の危機を感じた炎王は魔術を発動させる。炎王の周りから徐々に地面が凍りつき・・・いや、空気でさえも凍りつき、辺りにはキラキラと光るダイヤモンドダストが煌めき始めた。シェリーの吐く息も白くなってきている。
「『白き業火の灰燼』」
シェリーの白き炎が凍りついた世界を溶かしていく。しかし、炎王の作り出した白き世界が白き炎を侵食していく。2つの白がせめぎあう。その力の渦は高く広がり、天をも貫いた。そして、2つの力は爆散し白き灰が、白き雪がこの炎国に降り注ぐ。
「その魔術、凶悪過ぎません?」
白き灰が降り注ぐ中、シェリーは炎王に尋ねる。
「その言葉そっくりそのまま返す。」
白き雪が舞い降りていく中、呆れ顔の炎王が答える。
シェリーは黒い刀を鞘におさめ炎王に礼をする。
「手合わせありがとうございました。」
「はぁ。こんなにヒヤヒヤしたのは久しぶりだ。まさか、レベル124で俺とまともに打ち合えるとは思ってもみなかった。」
炎王はやはり、シェリーと同じように人や物の詳細を見ることができるようだ。
「努力はしていますので・・・?」
努力でレベルの差が埋められるはずが無い。そして、シェリーは最近常時開きっ放しにしているマップ機能で、ここに近づいて来る人物がいることに気がついた。それもすごい勢いで近づいてくる。とても嫌な予感がし、慌てて炎王に向かって言う。
「炎王。用件は済みましたので、帰らせていただきます。」
シェリーの突然の帰る宣言に炎王はニヤリと笑い。
「ルークくんはもう学校に通っているから、今までみたいに急いで帰る必要ないよな。今日は泊まって行くといい。」
「お断りします。」
そう言ってシェリーはここから出るために歩き出そうすれば、腕を掴まれ。
「温泉もあるぞ。」
「知っています。公衆浴場に行きました。」
「ここにあるのは俺がこだわり抜いて作った温泉だから、公衆浴場とは違うぞ。」
「いい加減に離してください。わざとらしい足止めも必要ないです。」
炎王はシェリーが何に焦っているのか、わかっているようだ。シェリーの目線が炎王と空中を行き来する。
「会うぐらい良いだろ?」
「くっ!」
シェリーは掴まれた腕を炎王に押し付けるように近づけ、体を回転させ炎王との場所が入れ替わる。
「あ。そう来たか。」
シェリーと炎王の場所が入れ代わり、炎王の背中越しに見えるのはアフィーリアに似たその男性の黒髪の間から2本の角が出ており、金色の目は炎王越しにシェリーを捉えていた。
____________
補足
炎王と呼ばれながら氷属性を使っていますが、間違いではありません。炎国は温泉があることから火山がある国となります。火の国の王という意味の炎王となります。
彼自身の名に漢字を当てるなら別の文字になりますが、彼の物語ではないので省きます。
2
あなたにおすすめの小説
二百年の眠り姫は、五人の薔薇騎士と龍に溺愛される
七海美桜
恋愛
旧タイトル:五人のイケメン薔薇騎士団団長に溺愛されて200年の眠りから覚めた聖女王女は困惑するばかりです!
フーゲンベルク大陸で、長く大陸の大半を治めていたバッハシュタイン王国で、最後の古龍への生贄となった第三王女のヴェンデルガルト。しかしそれ以降古龍が亡くなり王国は滅びバルシュミーデ皇国の治世になり二百年後。封印されていたヴェンデルガルトが目覚めると、魔法は滅びた世で「治癒魔法」を使えるのは彼女だけ。亡き王国の王女という事で城に客人として滞在する事になるのだが、治癒魔法を使える上「金髪」である事から「黄金の魔女」と恐れられてしまう。しかしそんな中。五人の美青年騎士団長たちに溺愛されて、愛され過ぎて困惑する毎日。彼女を生涯の伴侶として愛する古龍・コンスタンティンは生まれ変わり彼女と出逢う事が出来るのか。龍と薔薇に愛されたヴェンデルガルトは、誰と結ばれるのか。
この作品は、小説家になろうにも掲載しています。
【完結】母になります。
たろ
恋愛
母親になった記憶はないのにわたしいつの間にか結婚して子供がいました。
この子、わたしの子供なの?
旦那様によく似ているし、もしかしたら、旦那様の隠し子なんじゃないのかしら?
ふふっ、でも、可愛いわよね?
わたしとお友達にならない?
事故で21歳から5年間の記憶を失くしたわたしは結婚したことも覚えていない。
ぶっきらぼうでムスッとした旦那様に愛情なんて湧かないわ!
だけど何故かこの3歳の男の子はとても可愛いの。
ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく
犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。
「絶対駄目ーー」
と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。
何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。
募集 婿入り希望者
対象外は、嫡男、後継者、王族
目指せハッピーエンド(?)!!
全23話で完結です。
この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。
脅迫して意中の相手と一夜を共にしたところ、逆にとっ捕まった挙げ句に逃げられなくなりました。
石河 翠
恋愛
失恋した女騎士のミリセントは、不眠症に陥っていた。
ある日彼女は、お気に入りの毛布によく似た大型犬を見かけ、偶然隠れ家的酒場を発見する。お目当てのわんこには出会えないものの、話の合う店長との時間は、彼女の心を少しずつ癒していく。
そんなある日、ミリセントは酒場からの帰り道、元カレから復縁を求められる。きっぱりと断るものの、引き下がらない元カレ。大好きな店長さんを巻き込むわけにはいかないと、ミリセントは覚悟を決める。実は店長さんにはとある秘密があって……。
真っ直ぐでちょっと思い込みの激しいヒロインと、わんこ系と見せかけて実は用意周到で腹黒なヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真のID:4274932)をお借りしております。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?
浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。
「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」
ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる