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27章 魔人と神人
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「こういう事をされると困るのですが?」
シェリーは先程まで大きな円卓のある部屋の中にいたが、今は真っすぐ敷かれた赤いカーペットの上に立っている。その背後には、辺りを警戒しながら見渡しているカイルがいた。
「あら?だってもう用事は終わったでしょう?」
シェリーの正面から鈴が転がるような笑い声と共に声が聞こえる。ただ、その先はベールに遮られており、誰がいるのかまでは把握できない。
「全く終わっていません」
「世界に干渉したことで、全ては解決したでしょう?」
「それは招待客に対しての解決策であって、それ以外のことが済んでいません」
「別にいいじゃない?シェリーちゃんがすべきことではないでしょう?」
「ナディア様。それは私が決めることであって、ナディア様が決めることではありません」
そう、シェリーを強引に騎士団本部から移動させたのは、女神ナディアであった。
「だって、何度も来なさいって言っているのに、来ないじゃない?これは仕方がないことよ」
女神ナディアとしては譲歩した方なのだろう。しかし一度ラース公国に来たものの女神ナディアの元には向かわず、シェリーはシーラン王国に帰ってしまったのだ。
それが強引な手を使ってもいいという判断に至ったのだろう。そう、女神ナディアが愛するラースが呼んでいるというのに、一向に来ないという状況にだ。
「はぁ、今後はこのようなことはしないでください」
「あら?素直に来てくれたらしなかったわよ?それからシェリーちゃんの番の竜人」
一族の者以外に話しかけることは滅多にない女神ナディアが、カイルに向かって声をかける。
「お前はダンジョンに向かいなさい。攻略した最終地点にシェリーちゃんが待っているわよ」
パチンという扇を閉じたような音がしたと思えば、カイルの姿は消えてしまっていた。
ダンジョンのラスボスがラースであることは示されていたため、必然的にラースに会いにいくシェリーは、ダンジョンの最下層にいることになるのだ。
「私、ラース様に会ったあと、そのまま帰っていいですか?」
「竜人の番を甘く見てはダメよ。地の果てまで追ってくるわよ」
女神ナディアの声にシェリーは大きくため息を吐くのだった。
そして時は少し戻り、騎士団本部の会議室内には神気が満ち溢れ、普通の者では意識が保てない状況になっていた。
レイアルティス王により、術が展開され、カイルもシュロスも窓の外の状況に気を取られているなか、シェリーは一人異変を感じていた。
足元に女神ナディアの神気が集まっていると。
シェリーは鞄の中に手を突っ込み、あるものを床に投げ捨てるように次々と出していった。
「陽子さん。これを第六師団長さんに!あと、そこの馬鹿の回収と、そ……」
最後まで伝言を伝えることなく、シェリーの姿はかき消えた。と同時にレイアルティス王の姿も消え、完成した術は術師が黒いローブの者に移行され世界に降り注ぐ。
そして床から黒髪が生えてきて、生首状態の陽子が、ニヤニヤと笑みを浮かべているシュロスに声をかけた。それもかなり距離を開けてだ。
「そこのシュロス君!」
「ああ?……って陽子さんの生首!」
「いいかな。よく聞くんだよ。陽子さんの言葉を聞かないと後でササっちにチクるからね!」
陽子はダンジョンに干渉してくるシュロスに対してとても弱気だった。だから、シェリーの名を出して子供のような脅しをいう。
そう、シュロスの行動を制御できるのは、サポーターと認識されているシェリーのみだからだ。
「ん?あれ?佐々木さんと竜人の彼氏が消えた?」
「ササっちは忙しいんだよ。女神様に呼ばれて行ってしまったからね」
「へー。流石、佐々木さんだな」
「だから君は陽子さんと大魔導師様の言うことは絶対に聞くこと!」
「えー。無理なことを言われても無理だからな」
世界に干渉して、理ですら変えてしまうシュロスが言うことではないと、陽子は白い目でシュロスを見る。
そして気を取り直すように、今すべきことを言ったのだ。
「取り敢えず、そこの黒髪の狼人を叩き起こして、床に転がっている目を持って帰るように言う。その後は陽子さんが君を回収するから大人しくササっちの家に帰る。わかった?」
「え?アクア……」
「わかったよね!」
シュロスとしては水を作り出す装置を地下に戻さなくてはいいのかと言いたかったのだろうが、言葉の途中で陽子に遮られてしまった。
「返事は?」
それもYesしか認めない陽子であった。
「はぁ。わかった。それで転がっている目って……デカっ!」
人の頭部ほどの大きさはあるように見える球状の物が床にいくつも転がっている。これはユーフィアと連絡をとって確認していたワイバーンの瞳だろう。
「いいかな?そこの黒わんこ二号を起こしたら、これを持って帰れって言うだけだよ。いらないことを言わないよ」
「黒わんこ二号?一号っているのか?」
「そこは気にしなくていいから!言われたことをする!」
狼獣人を犬扱いすることは、プライドを傷つけることなのだ。おそらく、黒わんこ一号はダンジョンを破壊した黒狼クロードのことと思われたのだった。
シェリーは先程まで大きな円卓のある部屋の中にいたが、今は真っすぐ敷かれた赤いカーペットの上に立っている。その背後には、辺りを警戒しながら見渡しているカイルがいた。
「あら?だってもう用事は終わったでしょう?」
シェリーの正面から鈴が転がるような笑い声と共に声が聞こえる。ただ、その先はベールに遮られており、誰がいるのかまでは把握できない。
「全く終わっていません」
「世界に干渉したことで、全ては解決したでしょう?」
「それは招待客に対しての解決策であって、それ以外のことが済んでいません」
「別にいいじゃない?シェリーちゃんがすべきことではないでしょう?」
「ナディア様。それは私が決めることであって、ナディア様が決めることではありません」
そう、シェリーを強引に騎士団本部から移動させたのは、女神ナディアであった。
「だって、何度も来なさいって言っているのに、来ないじゃない?これは仕方がないことよ」
女神ナディアとしては譲歩した方なのだろう。しかし一度ラース公国に来たものの女神ナディアの元には向かわず、シェリーはシーラン王国に帰ってしまったのだ。
それが強引な手を使ってもいいという判断に至ったのだろう。そう、女神ナディアが愛するラースが呼んでいるというのに、一向に来ないという状況にだ。
「はぁ、今後はこのようなことはしないでください」
「あら?素直に来てくれたらしなかったわよ?それからシェリーちゃんの番の竜人」
一族の者以外に話しかけることは滅多にない女神ナディアが、カイルに向かって声をかける。
「お前はダンジョンに向かいなさい。攻略した最終地点にシェリーちゃんが待っているわよ」
パチンという扇を閉じたような音がしたと思えば、カイルの姿は消えてしまっていた。
ダンジョンのラスボスがラースであることは示されていたため、必然的にラースに会いにいくシェリーは、ダンジョンの最下層にいることになるのだ。
「私、ラース様に会ったあと、そのまま帰っていいですか?」
「竜人の番を甘く見てはダメよ。地の果てまで追ってくるわよ」
女神ナディアの声にシェリーは大きくため息を吐くのだった。
そして時は少し戻り、騎士団本部の会議室内には神気が満ち溢れ、普通の者では意識が保てない状況になっていた。
レイアルティス王により、術が展開され、カイルもシュロスも窓の外の状況に気を取られているなか、シェリーは一人異変を感じていた。
足元に女神ナディアの神気が集まっていると。
シェリーは鞄の中に手を突っ込み、あるものを床に投げ捨てるように次々と出していった。
「陽子さん。これを第六師団長さんに!あと、そこの馬鹿の回収と、そ……」
最後まで伝言を伝えることなく、シェリーの姿はかき消えた。と同時にレイアルティス王の姿も消え、完成した術は術師が黒いローブの者に移行され世界に降り注ぐ。
そして床から黒髪が生えてきて、生首状態の陽子が、ニヤニヤと笑みを浮かべているシュロスに声をかけた。それもかなり距離を開けてだ。
「そこのシュロス君!」
「ああ?……って陽子さんの生首!」
「いいかな。よく聞くんだよ。陽子さんの言葉を聞かないと後でササっちにチクるからね!」
陽子はダンジョンに干渉してくるシュロスに対してとても弱気だった。だから、シェリーの名を出して子供のような脅しをいう。
そう、シュロスの行動を制御できるのは、サポーターと認識されているシェリーのみだからだ。
「ん?あれ?佐々木さんと竜人の彼氏が消えた?」
「ササっちは忙しいんだよ。女神様に呼ばれて行ってしまったからね」
「へー。流石、佐々木さんだな」
「だから君は陽子さんと大魔導師様の言うことは絶対に聞くこと!」
「えー。無理なことを言われても無理だからな」
世界に干渉して、理ですら変えてしまうシュロスが言うことではないと、陽子は白い目でシュロスを見る。
そして気を取り直すように、今すべきことを言ったのだ。
「取り敢えず、そこの黒髪の狼人を叩き起こして、床に転がっている目を持って帰るように言う。その後は陽子さんが君を回収するから大人しくササっちの家に帰る。わかった?」
「え?アクア……」
「わかったよね!」
シュロスとしては水を作り出す装置を地下に戻さなくてはいいのかと言いたかったのだろうが、言葉の途中で陽子に遮られてしまった。
「返事は?」
それもYesしか認めない陽子であった。
「はぁ。わかった。それで転がっている目って……デカっ!」
人の頭部ほどの大きさはあるように見える球状の物が床にいくつも転がっている。これはユーフィアと連絡をとって確認していたワイバーンの瞳だろう。
「いいかな?そこの黒わんこ二号を起こしたら、これを持って帰れって言うだけだよ。いらないことを言わないよ」
「黒わんこ二号?一号っているのか?」
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