私は聖女じゃありませんから〜ただのパン屋の娘です〜

白雲八鈴

文字の大きさ
29 / 31

28話 俺だけのリラ

しおりを挟む
シエンside 6

 豹獣人の男に案内され地下から出てきたところは、見覚えのある玄関ホールだった。なんで、あのSクラス級の魔物が彷徨いている地下とココが繋がっているんだ?あの魔物共を飼っているとか言わないよな。

 いつも通される部屋に連れて行かれ、あの聖女と残りの4人の男がいた。聖女に護符の事を聞かれたが、素直に無くなったなんて言うことなんてできないだろう。絶対に俺が殺される。

 しかし、勇気を出して言葉にする。

「無くなった。」

 5人の男共から殺気を向けられた。やはりこうなった。殺気だけでマジ死にそうだ。聖女が手を叩くとその殺気が収まり、ホッとため息が漏れてしまった。

 護符が無くなったことをいつでも言ってくれてよかったのだと言われたが、そう思っているのは、聖女だけだろう。それから、昨日聖女から言われたことをリラに言ったかと確認された。

「言った。俺がこのような状況になっている理由を話した。」

「リラさん。その話を聞いて何を思いましたか?」

「私でなくても良いという結論でした。」

 ちょっと待ってくれ、リラじゃないと駄目だ。なんで聖女はそのリラの答えに頷いているんだ。

「シエン。ちょっと来い。」

 大兄と4人の男に部屋から連れ出されてしまった。俺はリラにリラじゃないと駄目だと言わなければならないのに!

「シエン。自分の気持ちをきちんと伝えたのか?」

 大兄からそう問われた。

「気持ち?最初から言っている。俺の聖女になって欲しいって。」

「それは君の気持ちじゃなくて希望だろう?」

 希望?気持ちとは違う?

「好きだって言った?」

 言っていない。

「リラは一人しかいないから、彼女の事をきちんと見ないと駄目だ。」

 一人しかいないのは当たり前だ。俺の番だから。

「番とかそういうことではなくて、リラという少女のことですよ。」

 あれ?これって聖女に言われた言葉?番ではなくてリラ自身を見ろってこと?でもリラは番だ。番だから惹かれるんだ。

「シエン。リラにきちんと気持ちを伝えなさい。」

 そう、大兄に背中を押され先程の部屋の扉の前に戻ると聖女がいらないことを言っていた。

「もし、本気で逃げたくなったら、私があげた外套を常に身につけておけばいいです。」

 外套!あの青い外套のことか!番の気配が全くわからなくなってしまうものなんて

「駄目だ!それは絶対に駄目だ。」

 俺は聖女の視界からリラを背中に隠す。

「リラは俺の唯一だ!俺の番だ!リラから離れるのは絶対に嫌だ。」

 俺が睨みつけるも、いつもの無表情で淡々と聖女は言う。

「シエンさん。それはリラさんの前で言ってはならないと言いましたよね。」

 リラに番だと告げてはならないということだろ?一番の問題はそこだ!

「そう!それだ!言ってはいけないのだったらどうリラに説明すればいいんだ!」

 俺が憤りを表すも聖女はため息を吐き。

「はぁ。だから、貴方の言葉でリラさんに言ってくださいといいましたよね。後ろのリラさんの顔を見てください。それが貴方の今までの行動の結果です。」

 聖女様にそう言われ、俺は振り向きリラを見る。リラは不可解な者を見る目を俺に向けていた。番である俺に対してその視線を向けるのか?

「なぜだ。なぜ、わからないんだ?」

「私に付き纏うのは、いい加減止めてくれないか?」

 番だと言っても分かってくれない。リラから俺を否定する言葉が出てきた。目の前が真っ暗になり、膝から崩れ落ちる。

「シエン。お前の気持ちを素直に言えと言っただろ?変革者に番の感知能力はない。」

 大兄からそんな言葉をかけられた。番の感知能力がない!そして、リラが初代様と同じ変革者!

 ああ、これで全てが繋がった。リラには俺が番だとわからないのも、聖女が何度も番に会っても番だと告げてはならないと言っていたことも、聖女の彼らが俺の気持ちをリラに伝えろと言ったことも全てがリラが変革者だと言うことだったのか。

 俺はリラを抱きしめ俺の気持ちを言葉にする。

「好きなんだ。俺はリラがいないと駄目なんだ。大好きなんだ!」

 俺の番。俺だけのリラ。


リラside

 シエンから好きだと言われた。言われたがそもそも

「それって、番だからか?」

 そう言うとシエンが固まってしまった。まぁ、そういうことだよな。あの鬼バ・・オリビアさんがズッキューンメロメロって言うぐらいだもんな。
 私どうこうではなく。

 番だから好き。番だから私ではないと駄目。じゃ、番で無ければ私に掛けられる言葉ではないと言うことだ。

 まぁ。そうだよな。こんな目つきの悪い女に好きだと言う変わり者なんて居ないということだ。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

転生皇女セラフィナ

秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。 目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。 赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。 皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。 前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。 しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。 一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。 「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」 そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。 言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。 それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。 転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。 ※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。

恋愛初心者の恋の行方

あおくん
恋愛
魔法がある世界で生まれ育ったサラは、とあるきっかけで冒険者に憧れる。 冒険者になるために名門校といわれる王都のオーレ学園に入学し、周りが貴族だらけという環境の中、平民でありながらも優秀な成績をおさめ、そして卒業。さぁ冒険者として活動しようじゃないかという中、聖女じゃなければ倒せないと言われる魔物が現れた。 え?ソロで活動しちゃダメ?地元の同年代の人達はもうパーティー組んでいるし、そもそも実力とランクが合わない為にパーティーを組めない。一体どうやって活動していけばいいのよ!と悩んだサラの前に、学生時代のライバル…いや師匠ともいえる人が現れた。 一緒にパーティーメンバーとしてクエストやってくれるの?嬉しい!…ってアンタ騎士団所属じゃん!冒険者じゃないじゃん!…うえええ、いいの!?どうなってんだ騎士団……まぁこれからよろしくね! といった感じで冒険者になったサラと騎士団に入った男の子とのラブコメを目指しつつ、世界を平和に導く?物語です。 続きを読みたいと思っていただけたら、是非ともお気に入り登録していただけると嬉しいです! 長編への挑戦なので、応援していただけると作者のモチベーションも上がりやすくなりますので、どうぞよろしくお願いします! また投稿するまでの間に30万文字分は書いている為、ストックが尽きるまでに完結迄目指して毎日投稿していきますので、どうぞよろしくお願いします。 一話につき4000文字を超えないように調節してみましたが、文字数が多く感じられましたらすみません。 投稿時間は朝と夜の6時に更新するよう設定しています。 完結までの大体の流れは決めていますので、完結は保証させていただきます。 どうぞよろしくお願いいたします。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

異世界召喚されたアラサー聖女、王弟の愛人になるそうです

籠の中のうさぎ
恋愛
 日々の生活に疲れたOL如月茉莉は、帰宅ラッシュの時間から大幅にずれた電車の中でつぶやいた。 「はー、何もかも投げだしたぁい……」  直後電車の座席部分が光輝き、気づけば見知らぬ異世界に聖女として召喚されていた。  十六歳の王子と結婚?未成年淫行罪というものがありまして。  王様の側妃?三十年間一夫一妻の国で生きてきたので、それもちょっと……。  聖女の後ろ盾となる大義名分が欲しい王家と、王家の一員になるのは荷が勝ちすぎるので遠慮したい茉莉。  そんな中、王弟陛下が名案と言わんばかりに声をあげた。 「では、私の愛人はいかがでしょう」

聖女は友人に任せて、出戻りの私は新しい生活を始めます

あみにあ
恋愛
私の婚約者は第二王子のクリストファー。 腐れ縁で恋愛感情なんてないのに、両親に勝手に決められたの。 お互い納得できなくて、婚約破棄できる方法を探してた。 うんうんと頭を悩ませた結果、 この世界に稀にやってくる異世界の聖女を呼び出す事だった。 聖女がやってくるのは不定期で、こちらから召喚させた例はない。 だけど私は婚約が決まったあの日から探し続けてようやく見つけた。 早速呼び出してみようと聖堂へいったら、なんと私が異世界へ生まれ変わってしまったのだった。 表紙イラスト:San+様(Twitterアカウント@San_plus_) ――――――――――――――――――――――――― ※以前投稿しておりました[聖女の私と異世界の聖女様]の連載版となります。 ※連載版を投稿するにあたり、アルファポリス様の規約に従い、短編は削除しておりますのでご了承下さい。 ※基本21時更新(50話完結)

黒騎士団の娼婦

星森
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。 異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。 頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。 煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。 誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。 「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」 ※本作はAIとの共同制作作品です。 ※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。

【完結】私が誰だか、分かってますか?

美麗
恋愛
アスターテ皇国 時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった 出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。 皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。 そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。 以降の子は妾妃との娘のみであった。 表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。 ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。 残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。 また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。 そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか… 17話完結予定です。 完結まで書き終わっております。 よろしくお願いいたします。

処理中です...