私は聖女じゃありませんから〜ただのパン屋の娘です〜

白雲八鈴

文字の大きさ
31 / 31

30話 青い小鳥

しおりを挟む
「リラ!大好きだ!愛している!」

 シエン、聞いていたか?番云々は私にはわからんと言っているのだぞ。

「そうですか。シエンさん。言っておきますが、彼女は世界から縛られていません。ですので自由です。貴方以外の人を好きになることも自由です。」

「あ゛?」

 シエン!聖女様を睨むな!聖女様の言うことを聞かなかった事を忘れてしまったのか?

「本当のことですよ。目の前にツガイの男性がいても、何人も見た目のいい男性に声を掛けていた女性を知っていますから、だから、リラさんに捨てられないようにしてくださいね。」

 何人も・・・私はそこまでしないと思うぞ。

「それから、リラさん。これに魔力を込めてもらえますか?」

 そう言って聖女様はどこからか人の頭部ほどの大きさの青い魔石を取り出した。初めて見たよ、こんな大きな魔石。
 これに魔力を込めろって?魔石に手に触れて魔力を込める。
 ・・・どれだけ込めればいいんだ?残っている私の魔力の殆どを込めてしまっているぞ。

「まぁ。これぐらいで良いでしょう。」

 私が手を離すと今度は聖女様が魔石に手を触れ魔力を込めだした。すごい勢いで魔力を込めている。私の倍?いや5倍は魔力を入れている。
 私、魔力や魔術に関してはチートだと思っていたが、聖女様からしたら、私の魔力など雀の涙なのだろう。そんな事を考えていると、魔石から目が開けられないほどの強力な光が放たれ、光が収まり目を開けると目の前から魔石が消えていた。

「新しい守りまじないです。これなら、無くならないし、壊れませんよ。」

 そう言う聖女様の視線をたどると、シエンの頭の上に青い色をした雀が乗っていた。あれが護符?生きているように見えるけど?

 最後に聖女様は世界各地に旅をするなら、冒険者ギルドに入ることをお勧めしますと言われたので、その足で坂を下り冒険者ギルドで登録することにした。
 しかし、何かを忘れているような?

 冒険者ギルドの入り口で手を腰に当てて立っているオリビアさんがいた。なんだ?何かあったのか?と思っていたら、私と目があった瞬間、私の目の前に来て

「配達はどうしたのですか?」

 と言われた。配達?・・・あ!東地区の技術者の家に夕方までに届けてくれって言われていたのだった!

 空をみれば、完全に日が暮れ、星が瞬いていた。予定の時間をとっくに過ぎている。

「オリビアさん、実は色々あって・・・」

「言い訳は無用です。先程、依頼者が直接来られ、まだかとクレームを言われました。」

 クレーム!ヤバい。始末書?苦情処理?あ、会社員の癖が出てしまった。

「あのそれで魔石の方は・・・」

「別の物で対応しました。リラさん。中に入りなさい。」

 ヒー!何を言われるんだ?オリビアさんの赤い目が揺らめいていて恐いんだけど。
 中に入ると、サブマスの机のところに連れて行かれた。

「リラ。お前は幼児以下か。配達すらまともにできないのか。」

 そんなこと言わないで欲しい。あの落ちる直前、目的の家は見えていたんだ。すぐそこだったんだ。

「それが、王都の道が陥没して、地下に落とされたのです。」

「寝言は寝て言え。」

 そうだよな。私も人から聞いたらそんな反応すると思う。舗装された王都の道が陥没するなんて、それも王都に地下の道があるなんて、思いもよらないよな。

「もしかして、シエン様もご一緒されていました?」

 サブマスの横で首を傾げながら、オリビアさんが聞いてきた。

「すまん。俺のせいだ。」

「そうですか。それなら仕方がありませんね。」

 そこは納得するのか?

「これからはそれも抑えられると思う。新しい護符をもらった。」

 シエンはフードの隙間から頭の上に乗ったままの青い雀を見せた。

「もしかして、それは守護鳥様ですか?」

 オリビアさんは驚いたように前のめりで青い雀を見ている。

「ああ、国にいる守護獣様と同じだと思う。」

「良うございました。」

 オリビアさんは涙目で言っているが、誰か私に説明してくれないか?青い雀がなんだって?
 まぁ、後で聞けばいいか。今日は登録だけしておきたいんだけど、サブマスの目がお説教はまだあるって感じなんだよな。

 あと、3ヶ月で卒業だから、その間にやれることをやっておかなければならないな。潜れるだけダンジョンに潜って、必要な物をレシピ化して、忙しくなりそうだ。

 しかし、シエンと旅ってやっていけるのか?



とある地下の一室
 薄暗い部屋の一室に四角いモニターのような石版に青い髪の少女とフードを被った者。その向い側に人族の男と鬼族の女が映し出されていた。
 映像が映し出されている石版の前には美人には違いなが、目の下の隈が酷く顔色が悪い男が石版の光景を眺めていた。

「覗き見してるー。そんなことしているなら、私を手伝ってくれても良かったと思うよ。そろそろあの呪いの鎧を処分してくれてもいいんじゃない?」

 突然、男しかいなかった部屋に一人の女が湧き出てきた。

「覗き見は君の専売特許ではないのかね?それから、これは今後、煩わしいことをしなくてもいいという確認をしているだけだ。あと鎧は実験中だ。」

「ははー!大魔導師様にはお手数をおかけしました。出来れば鎧の数を減らして欲しいのが本音でございますぅー。」

 ショートヘアの黒髪の女はわざとらしく、男に頭を下げる。

「しかし、君も粋な事をするものだね。あの子がわざわざ番の龍に見つからないよう、小鳥に隠蔽の術を掛けていたのに、それを解除したのだろ?」

「バレてた?だって、聖女様、聖女様っていつまで頼るつもりかって思っていたし。でも、収まるところに収まったって感じだよね?」

「これで、光の神の愁いも無くなっただろう。しかし、白き神も酷いものだな。闇喰いの龍と人の心を清める小鳥で世界中を旅をさせようだなんてな。まぁ、あの子はそんな神の願いよりも、小鳥の少女の心のほうが大事だったみたいだがな。」


____________


 ここまで読んでいただきましてありがとうございました。


 お気に入り評価をしていただきました読者様ありがとうございます。
 毎回、書きたいものを書いているだけなのですみません。


 ご意見、ご感想等がありましたらよろしくお願いします。


 本当は炎国に行ったり、旅に出ようかと思っていたのですが、あまり読まれていないので、この辺が妥当でしょうね。
しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

ゆきねこ
2025.07.14 ゆきねこ

いつか続きが読めないかなあと思いながら時々読み返しております。
正座待機中。

2025.07.14 白雲八鈴

確かに序章でしかないです 
(´・ω:;.:...

解除

あなたにおすすめの小説

転生皇女セラフィナ

秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。 目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。 赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。 皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。 前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。 しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。 一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。 「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」 そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。 言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。 それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。 転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。 ※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。

恋愛初心者の恋の行方

あおくん
恋愛
魔法がある世界で生まれ育ったサラは、とあるきっかけで冒険者に憧れる。 冒険者になるために名門校といわれる王都のオーレ学園に入学し、周りが貴族だらけという環境の中、平民でありながらも優秀な成績をおさめ、そして卒業。さぁ冒険者として活動しようじゃないかという中、聖女じゃなければ倒せないと言われる魔物が現れた。 え?ソロで活動しちゃダメ?地元の同年代の人達はもうパーティー組んでいるし、そもそも実力とランクが合わない為にパーティーを組めない。一体どうやって活動していけばいいのよ!と悩んだサラの前に、学生時代のライバル…いや師匠ともいえる人が現れた。 一緒にパーティーメンバーとしてクエストやってくれるの?嬉しい!…ってアンタ騎士団所属じゃん!冒険者じゃないじゃん!…うえええ、いいの!?どうなってんだ騎士団……まぁこれからよろしくね! といった感じで冒険者になったサラと騎士団に入った男の子とのラブコメを目指しつつ、世界を平和に導く?物語です。 続きを読みたいと思っていただけたら、是非ともお気に入り登録していただけると嬉しいです! 長編への挑戦なので、応援していただけると作者のモチベーションも上がりやすくなりますので、どうぞよろしくお願いします! また投稿するまでの間に30万文字分は書いている為、ストックが尽きるまでに完結迄目指して毎日投稿していきますので、どうぞよろしくお願いします。 一話につき4000文字を超えないように調節してみましたが、文字数が多く感じられましたらすみません。 投稿時間は朝と夜の6時に更新するよう設定しています。 完結までの大体の流れは決めていますので、完結は保証させていただきます。 どうぞよろしくお願いいたします。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

異世界召喚されたアラサー聖女、王弟の愛人になるそうです

籠の中のうさぎ
恋愛
 日々の生活に疲れたOL如月茉莉は、帰宅ラッシュの時間から大幅にずれた電車の中でつぶやいた。 「はー、何もかも投げだしたぁい……」  直後電車の座席部分が光輝き、気づけば見知らぬ異世界に聖女として召喚されていた。  十六歳の王子と結婚?未成年淫行罪というものがありまして。  王様の側妃?三十年間一夫一妻の国で生きてきたので、それもちょっと……。  聖女の後ろ盾となる大義名分が欲しい王家と、王家の一員になるのは荷が勝ちすぎるので遠慮したい茉莉。  そんな中、王弟陛下が名案と言わんばかりに声をあげた。 「では、私の愛人はいかがでしょう」

聖女は友人に任せて、出戻りの私は新しい生活を始めます

あみにあ
恋愛
私の婚約者は第二王子のクリストファー。 腐れ縁で恋愛感情なんてないのに、両親に勝手に決められたの。 お互い納得できなくて、婚約破棄できる方法を探してた。 うんうんと頭を悩ませた結果、 この世界に稀にやってくる異世界の聖女を呼び出す事だった。 聖女がやってくるのは不定期で、こちらから召喚させた例はない。 だけど私は婚約が決まったあの日から探し続けてようやく見つけた。 早速呼び出してみようと聖堂へいったら、なんと私が異世界へ生まれ変わってしまったのだった。 表紙イラスト:San+様(Twitterアカウント@San_plus_) ――――――――――――――――――――――――― ※以前投稿しておりました[聖女の私と異世界の聖女様]の連載版となります。 ※連載版を投稿するにあたり、アルファポリス様の規約に従い、短編は削除しておりますのでご了承下さい。 ※基本21時更新(50話完結)

黒騎士団の娼婦

星森
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。 異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。 頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。 煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。 誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。 「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」 ※本作はAIとの共同制作作品です。 ※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。

【完結】私が誰だか、分かってますか?

美麗
恋愛
アスターテ皇国 時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった 出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。 皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。 そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。 以降の子は妾妃との娘のみであった。 表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。 ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。 残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。 また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。 そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか… 17話完結予定です。 完結まで書き終わっております。 よろしくお願いいたします。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。