神守の少女、二度目の人生は好きに生きます〜因縁相手は勝手に自滅〜

雪水砂糖

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31 決意の夜(父、母視点)

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(父視点)

 話を終え、子どもたちを部屋へ戻した後、重苦しい雰囲気が立ち込めていた。胸の奥が重く、息苦しい。

(娘と息子を私は死なせてしまったのだ……守れなかった。不甲斐ないにも程がある)

 悔恨が繰り返し押し寄せる。瑞葉も光矢も、あんなに小さな体で背負わなくてもよい苦しみを背負わされてきた。父親である自分は何をしていたのか。

「蒼一さん」
「兄さん」

 二人の顔に浮かぶのは、やはり同じ苦しみと後悔の色だった。

「あの子たちに……こんな重荷を背負わせてしまったのね。私も母として、どうして気づいてあげられなかったのかと……」
「すべては俺が元凶を引き入れたせいだ。そのせいで瑞葉や光矢があんな悲惨な未来に」

 三人で言葉を交わすうちに、胸の奥の痛みはますます鋭くなる。けれど、逃げてはいけない痛みだとわかっていた。

「……あの親子だけは許せないわ」
 妻の言葉に、私は深くうなずいた。
「当然だ。あの親子がどれほどの禍根をもたらしたか……。許すつもりはない。あの者たちの動向は、常に監視させる。二度とあの子たちの前に立たせはしない」

 弟が低く言う。
「それと、チエという侍女……一体どこの者か、徹底的に調べよう。花蓮の差し金か、それとも他の勢力が絡んでいるのか。必ず突き止めるべきだ」
「うむ。佳乃の件も含めて、徹底して見張らねばならぬ。もう二度と、隙を見せてはならない」

 私は拳を強く握りしめた。
「瑞葉と光矢を、今度こそ守る。どんな犠牲を払ってでも……今度は決して手放さない。あの子たちは私たちのすべてだ」

 その言葉に、妻も弟もうなずいた。

 私は静かに決意を固めた。
 もう二度と、過ちは繰り返さない。


(母視点)

 部屋に戻ると、すかさず恭子が入ってきた。
「透子様。お茶をお持ちいたしましょうか?」

「ありがとう。今は結構よ。それより、あの女狐たちはどうしているのかしら」

「はい、辺境の地で、仕事を任されるわけでもなく、茶会などに招待されることもなく、商人を呼びつけ使う予定の無いドレスや装飾品を買い漁っています。見る目はないようで、粗悪品を高価な値段で買い、いいカモだと思われているようです。ただ、克己様が夫であったときと違い予算はさほど多くはないようです」

「そう。でも、なんだか対した罰にはなってないようね」

「手のものに監視はさせていますが、辺境伯領主夫人に手紙を出します。彼女ならこちらの意図を組んで上手くやってくれるでしょう」

「彼女ね……結果を楽しみに待ちましょう」

「はい」

 今までの私は、上位の家に生まれた者として、常に気高くあらねばならないと自負していた。下位の家の者を決して見下さず、何を言われても穏やかに受け流す――それが正しいあり方だと信じていたのだ。
 けれど未来で、愛する娘と息子が無残に命を奪われる光景を知ってしまった今、悟らざるを得なかった。私の態度は、上位の家の者の矜持とは違っていたのだ。本来なら、愚か者には決して侮らせず、逆らえばどうなるかと恐れられるほどの存在感を示さなければならなかった。

 私は何もかも間違えていた。子どもたちへの接し方すら分からず、彼らを不安にさせ、寄り添うこともできていなかったのだ。
 それでも――瑞葉と光矢のおかげで、私は再びやり直す機会を与えられた。
 もう二度と同じ過ちを繰り返さない。母として、そして一族を導く立場として、今度こそすべてを賭けてこの子たちを守り抜こう。

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