神守の少女、二度目の人生は好きに生きます〜因縁相手は勝手に自滅〜

雪水砂糖

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76 岩城家5(叔父視点)

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 結界に近づくと、四人の刺客は攻撃をやめ、こちらを鋭く睨みつけてきた。

「お前は、水無瀬家当主の弟――浅井克己だな」
 一人が口を開く。おそらく、こいつがリーダーだろう。

「ああ、そうだ。お前たちの目的は、水無瀬瑞葉と光矢の殺害か?」

「結界に閉じ込めただけで勝ったつもりか? 結界の術師の神気が尽きれば解放されることくらい、わかっている。神気は人それぞれ性質が違う。他人が補充することはできん。つまり、四人がかりで攻撃し続ければ、神気が切れるのはそちらだ。四対一だからな」

「質問には答えたくないようだな。だが、答えたくなるようにしてやろう。――瑞葉!」

「はい! 叔父様!」
 瑞葉が浄化の力を少しずつ込めていく。

 途端に、刺客たちは苦しみだした。
「な、なんだこれは!? 何をした!」
「く、苦しい……やめろっ!」

「どうだ? 話す気になったか?」

「……」

 苦悶に顔を歪めながらも、四人はまだ耐えていた。やはり、あの鉱山で捕らえた五人とは鍛え方が違うらしい。
 瑞葉はさらに出力を上げていく。

「この結界内では、真実を話せば今の苦しみから解放されるんだ。これは鉱山の五人で実験済みだよ」

「くっ……誰が言うものか!」
 その反抗に応じるように、瑞葉はさらに力を強めた。
 途端に、立っていられない者が現れる。
「い、言えば……本当に楽になるのか……?」
 一人がうずくまりながら、限界に近い声を絞り出した。

「そうだと言っている」

「やめろ!喋っても解放される保証はない!」

「だが、この痛みは耐えられん!俺は言う! 命令は水無瀬瑞葉と光矢の殺害ではない。ただ“見せしめに痛めつけろ”というものだった!」

 そう告げた瞬間、男の黒い靄がわずかに薄まり、その分楽になったようだ。

「ほ、本当に……少し楽になったぞ……」
 痛みが和らいだらしい。

「ほう。それは鉱山の不正を暴かれた腹いせか?」

 それを聞いていた別の刺客も、我慢できず口を開く。
「そうだ!上層部は失敗を嫌う。たいていは見せしめに、家族を襲撃するんだ!」

 同時に、その男からも黒い靄が抜け落ち、苦痛が軽減した様子だった。

「しゃ、喋るなと言っているだろう!」
 リーダーが苦悶に顔を歪めながら叫ぶ。

「それでも……この苦痛は耐え難い……身体の痛みだけじゃない……自分が自分でなくなるような、恐ろしい感覚だ……!」

(ふむ。これは貴重な証言だな)

「では、今回の指令を出したのは誰だ? 詳しく聞かせてもらおうか」

「う、うわぁぁ……!」
 先ほど証言して少し楽になった者が、再び苦しみだす。

「沈黙はよくないぞ。虚偽はもちろん、黙っていても苦痛は増すばかりだ」

「絶対に言うな! 言えば命はないぞ!」
 リーダーは必死に叫ぶ。

「それは心配しなくてもいい。我々は奉仕の心で、君たちの心臓にかかっていた呪いを解除してやったのだから」

「な、んだと……?」
 リーダーは呆然とした顔を見せる。
「それを……信じろというのか?」

「そうだな。証明できん。――なら、選んでもらおう」
 僕が合図を送ると、瑞葉はさらに出力を上げた。

 強烈な浄化に、刺客たちは結界の中でもがき、のたうち回る。
「ぐ、ぐわぁぁぁ……!」
 その中の一人が、ついに観念したように叫んだ。
「ど、どうせ……ここで証言しても証拠にはならん!俺は言う!こんな苦痛は死んだほうがましだ。俺たちの命令元は全人教だ!リーダーが“全人教”から指令を受けて俺たちに伝えている!俺はそれしか知らん!」
 シュウ……と音を立て、男の身体から黒い靄が抜けていく。そして、彼の顔は明らかに楽になった。

 その様子を見た他の者たちも、次々に証言を始める。

 ついにリーダーも観念した。
「……そのとおりだ。全人教から指令を受けた」
 だが、ぼやかした言い方では苦痛があまり減らないようだ。こいつはそれ以上知っているからだ。

「ほう。そうか。では、それは“誰”で、“どんな身分”の者だ?」
 もう抗う気力のないリーダーが、搾り出すように答えた。
「そ、それは……」
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