神守の少女、二度目の人生は好きに生きます〜因縁相手は勝手に自滅〜

雪水砂糖

文字の大きさ
78 / 108

77 岩城家6(叔父視点)

「辺境領主の一人、黒岩家だ。」
 やはり、神守の中に裏切り者がいたらしい。かつて水無瀬家に助けられておきながら、あの鉱山は本来自分たちのものだと勘違いしたのだろう。ここで証言を得られたのは大きい。本来なら、自白した時点で命はなかったはずなのだから。

「それでは、お前らが過去に全人教から受けた依頼を洗いざらい言え」

 新たな質問を投げかけると、先ほど痛みから解放されていた刺客たちは再び苦しみ始めた。

「うっ……まただ……」

「では、順番にいこう。お前からだ」

 楽になりたい一心で、刺客たちは順に口を開き始めた。次々に証言が出てくる。

 そして、リーダーの番が回ってきた。
「俺は、神月の宴で皇女殿下を誘拐するため、結界を張る神具を壊し、禍憑を会場に入れた」

「ほう……あの事件の犯人の一人がここで見つかるとはな。それは誰の指示だ?」

「全人教幹部の金田孝之だ」

「金田だと?あの金田家のか?」

「ああ、金田家現当主だ」

 これはすぐにでも報告せねばならない。

 その後も彼らが知る限りのことを洗いざらい吐かせた。

「知っていることはすべて答えた。解放してくれ」

「するわけがないだろう。そんな約束はしていない」

「っ!!せめてこの結界からは出してくれ。とてつもなく不快なんだ」

「迎えが来るまでそこにいろ」

「迎えだと!? 俺たちを憲兵に突き出すつもりか?さっき話したことは証拠にはならないぞ!」

 俺は懐から神具を取り出し、ボタンを押した。
『全人教幹部の金田孝之だ』
 神具から先ほどのリーダーの声が流れる。

「録音していたのか!」

「ああ。当然だろう。せっかく自白してくれたのだから、二度手間はごめんだからな」

 刺客たちは呆然と立ち尽くした。

 そこへ、樹殿が駆け寄ってくる。
「浅井殿、父に早馬を送りました。そして岩城家の討伐隊、および憲兵隊を召集しました」

「樹殿、さすがだな。では、私は憲兵隊の詰所まで付き添おう」

「叔父様、私も行きます」
 瑞葉の申し出を断ろうとした矢先、当主夫人から声がかかった。

「瑞葉さん、そこまでしていただく必要はありません。岩城家に入り込んだのですから、こちらからも同行せねば。樹、浅井殿に付いていきなさい」

「はい」

「瑞葉ちゃんはよくやってくれた。樹君、行こうか」

「叔父様、それでは抵抗を防ぐため、仕上げをしておきます」

 そう言うと瑞葉は神気を込めた。

「うわぁぁっ!!!」
 刺客たちは絶叫し、次々に意識を失った。

「すごい制御だな。腕を上げたね」

「ありがとうございます」
 瑞葉は照れくさそうに笑った。その姿からは、とても先ほどまで手練の刺客四人を翻弄した人物には見えない。

 そこへ光矢が近づいてきた。
「叔父さん、これを。使えると思って持ってきていました」
 そう言って複数の腕輪型の神具を差し出す。

「これは……使えるな。光矢君、ありがとう。今のうちに嵌めておこう」

 瑞葉に結界を解除してもらい、刺客一人ひとりに腕輪をはめていく。

「浅井殿、それは何ですか?」
 遥嬢が素直に尋ねてきた。

「神気を封じる神具だ。付けた本人以外には外せない」

「すごいですね」
 樹が感嘆の声を上げる。
「行きすがら、開発の経緯を教えてください」

「ああ、もちろん。では、行こうか」

 そのとき、当主夫人が勇ましい声を放った。
「この者たちは岩城家に侵入し、大切な客人を害そうとした不届き者。それに余罪も山ほどある。心して移送せよ」

「御意!」
 討伐隊と憲兵隊が揃って声を上げるさまは圧巻だった。さすが、この厳しい地を治める当主夫人。討伐隊と憲兵隊が互いに深い信頼を寄せていることもよくわかる。

 そして俺たちは、罪人どもを連れて憲兵の詰所へと向かった。

あなたにおすすめの小説

• 『社交界の華は、影に咲く毒。〜私を捨てた世界、すべてお返しいたします〜』

YOLCA(ヨルカ)
ファンタジー
「その黄金の瞳……なんて気持ち悪いの。我が家に化け物は必要ないわ」 名門伯爵家の娘として生まれたエレーナ。しかし、彼女に宿った未知の能力を恐れた継母イザベラは、実父の留守中を狙い、幼い彼女を雪の降る町に捨て去った。 死を覚悟した彼女を拾ったのは、帝国の裏社会を支配する「皇帝の弟」ヴィンセント公爵。 彼はエレーナの力を「至宝」と呼び、彼女を公爵家の実の娘として迎え入れた。 それから数年。 エレーナは、二人の過保護な兄と、五人の精鋭部下に囲まれ、美しくも最強の工作員へと成長していた。 すべてを暴く『黄金の瞳』、すべてを操る『魅了』、そして伝説の師匠たちから授かった至高の淑女教育を武器に。 一方、継母イザベラは父を捨て、さらなる権力を手に入れるため、悪名高い侯爵の妻として社交界の頂点に君臨していた。 「お久しぶりです、お母様。……化け物と呼ばれた私からの、お返しを受け取ってくださいね」 捨てられた少女による、優雅で残酷な復讐劇。 今、その幕が上がる。

繰り返しのその先は

みなせ
ファンタジー
婚約者がある女性をそばに置くようになってから、 私は悪女と呼ばれるようになった。 私が声を上げると、彼女は涙を流す。 そのたびに私の居場所はなくなっていく。 そして、とうとう命を落とした。 そう、死んでしまったはずだった。 なのに死んだと思ったのに、目を覚ます。 婚約が決まったあの日の朝に。

政治家の娘が悪役令嬢転生 ~前パパの教えで異世界政治をぶっ壊させていただきますわ~

巫叶月良成
ファンタジー
政治家の娘として生まれ、父から様々なことを学んだ少女が異世界の悪徳政治をぶった切る!? //////////////////////////////////////////////////// 悪役令嬢に転生させられた琴音は政治家の娘。 しかしテンプレも何もわからないまま放り出された悪役令嬢の世界で、しかもすでに婚約破棄から令嬢が暗殺された後のお話。 琴音は前世の父親の教えをもとに、口先と策謀で相手を騙し、男を篭絡しながら自分を陥れた相手に復讐し、歪んだ王国の政治ゲームを支配しようという一大謀略劇! ※魔法とかゲーム的要素はありません。恋愛要素、バトル要素も薄め……? ※注意:作者が悪役令嬢知識ほぼゼロで書いてます。こんなの悪役令嬢ものじゃねぇという内容かもしれませんが、ご留意ください。 ※あくまでこの物語はフィクションです。政治家が全部そういう思考回路とかいうわけではないのでこちらもご留意を。 隔日くらいに更新出来たらいいな、の更新です。のんびりお楽しみください。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

夫に欠陥品と吐き捨てられた妃は、魔法使いの手を取るか?

里見
恋愛
リュシアーナは、公爵家の生まれで、容姿は清楚で美しく、所作も惚れ惚れするほどだと評判の妃だ。ただ、彼女が第一皇子に嫁いでから三年が経とうとしていたが、子どもはまだできなかった。 そんな時、夫は陰でこう言った。 「完璧な妻だと思ったのに、肝心なところが欠陥とは」 立ち聞きしてしまい、失望するリュシアーナ。そんな彼女の前に教え子だった魔法使いが現れた。そして、魔法使いは、手を差し出して、提案する。リュシアーナの願いを叶える手伝いをするとーー。 リュシアーナは、自身を子を産む道具のように扱う夫とその周囲を利用してのしあがることを決意し、その手をとる。様々な思惑が交錯する中、彼女と魔法使いは策謀を巡らして、次々と世論を操っていく。 男尊女卑の帝国の中で、リュシアーナは願いを叶えることができるのか、魔法使いは本当に味方なのか……。成り上がりを目論むリュシアーナの陰謀が幕を開ける。 *************************** 本編完結済み。番外編を不定期更新中。

【第2部開始】ぬいぐるみばかり作っていたら実家を追い出された件〜だけど作ったぬいぐるみが意志を持ったので何も不自由してません〜

月森かれん
ファンタジー
 中流貴族シーラ・カロンは、ある日勘当された。理由はぬいぐるみ作りしかしないから。 戸惑いながらも少量の荷物と作りかけのぬいぐるみ1つを持って家を出たシーラは1番近い町を目指すが、その日のうちに辿り着けず野宿をすることに。 暇だったので、ぬいぐるみを完成させようと意気込み、ついに夜更けに完成させる。  疲れから眠りこけていると聞き慣れない低い声。 なんと、ぬいぐるみが喋っていた。 しかもぬいぐるみには帰りたい場所があるようで……。     天真爛漫娘✕ワケアリぬいぐるみのドタバタ冒険ファンタジー。  ※この作品は小説家になろう・ノベルアップ+にも掲載しています。

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

本の虫な転生赤ちゃんは血塗りの宰相の義愛娘~本の世界に入れる『ひみちゅのちから』でピンチの帝国を救ったら、冷酷パパに溺愛されてます

青空あかな
ファンタジー
ブラック企業に勤める本の虫でアラサーOLの星花は、突然水に突き落とされた衝撃を感じる。 藻掻くうちに、自分はなぜか赤ちゃんになっていることを理解する。 溺死寸前の彼女を助けたのは、冷徹な手腕により周囲から「血塗りの宰相」と恐れられるアイザック・リヴィエール公爵だった。 その後、熱に浮かされながら見た夢で前世を思い出し、星花は異世界の赤ちゃんに転生したことを自覚する。 目覚めた彼女は周囲の会話から、赤ちゃんの自分を川に落としたのは実の両親だと知って、強いショックを受けた。 前世の両親もいわゆる毒親であり、今世では「親」に愛されたかったと……。 リヴィエール公爵家の屋敷に連れて行かれると、星花にはとても貴重な聖属性の魔力があるとわかった。 アイザックに星花は「ステラ」と名付けられ彼の屋敷で暮らすようになる。 当のアイザックとはほとんど会わない塩対応だが、屋敷の善良な人たちに温かく育てられる。 そんなある日、精霊と冒険する絵本を読んだステラはその世界に入り込み、実際に精霊と冒険した。 ステラには「本の世界に入り込み、その本の知識や内容を実際に体験したように習得できる特別な力」があったのだ。 彼女はその力を使って、隣国との条約締結に関する通訳不在問題や皇帝陛下の病気を治す薬草探索など、様々な問題を解決する。 やがて、アイザックは最初は煩わしかったはずのステラの活躍と愛らしさを目の当たりにし、彼女を「娘として」大切に思うようになる。 これは赤ちゃんに転生した本好きアラサーの社畜OLが、前世の知識と本好きの力を活かして活躍した結果、冷徹な義父から溺愛される話である。