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91 婚約1
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「アオ君……」
「なんだ?」
「アオ君のおうちって…御三家の清瀧家……」
「ああ、そうだよ。知ってただろ?」
「婚約ってことは、いずれ結婚して、清瀧家に嫁入りするのよね?」
「うん。そうしてもらえるとうれしい。もしかして……光矢君がいるから、その可能性は考えてなかったけど、瑞葉は水無瀬家の当主になりたいのか?そしたら、俺は婿に行くから大丈夫だ。うちは、親戚から養子に迎えればいいから。なんにも心配はいらない」
アオ君がとんでもないことを言い出した。いやいや、清瀧家の嫡男が上中位に婿入りなんて!何を言ってるの?!
「違うの!!!当主になりたいなんて考えてない。そうじゃなくて……私に御三家の嫁が務まるか急に不安になってきて」
言いながら、自分でも情けない声になっていくのが分かった。
「なんだ。そんなことか」
アオ君は少し笑って、優しく首を振った。
「気にしなくていいって言いたいけど、瑞葉は気にするよな。本当は、全部俺がやるから当主夫人の仕事なんてしなくていい、って言ってあげたい。でも……それじゃ瑞葉は納得しないんだろ?」
「もちろん!当主夫人の仕事をアオ君に押し付けるようなことは絶対しないわ」
「瑞葉はまだ八歳だ。もう少し大きくなったらうちの教育を受けてもらうと思う。そこで、やっぱり難しいとなったら、相談してくれ。そのとき二人で考えよう」
そうだ。今の私はまだ八歳だ。当主夫人としての教育もこれからだ。何を不安がっているのだ。一度死んで戻ってきたんだもの。全力で頑張ろう。それで出来ないのなら、その時だ。
何より自信が無いからと言ってアオ君の婚約者を辞退したくない。
「ありがとう。私、頑張るね」
「うん、俺も協力するから二人で頑張ろう。というわけで婚約者さん。これからよろしく」
アオ君が手を出してきた。
私も、そっと手を出し握手をし「よろしくお願いします」と言った。
するとコホンと近くで咳払いがする。そちらを見ると佳乃がいた。
「お二人とも、ここは寒いです。とりあえず、食堂へ入って暖かい飲み物でも頼みましょう」
にこにこしながら、食堂へ促す。
「佳乃、聞いていたの?」
「は、はい……。お二人の姿が見えたので声をかけようとしたところ、つい……耳に入ってしまいまして」
聞かれていたのか……今更ながら恥ずかしくなってきた。顔が赤くなっているのが自分でもわかる。
「そうか。説明の手間が省けてちょうどいい。瑞葉からは承諾の返事をもらった。うちから正式に申込みは行くが、当主夫妻に前もって伝えておいてほしい」
「かしこまりました。さあ、行きましょう」
佳乃に促され、私とアオ君は神殿併設の食堂に向かった。
扉を押して中に入ると、ふわりと暖気が頬を撫でる。
席に腰を下ろし、温かいハーブティーを頼むと、胸の奥にじんわりとした実感が広がってきた。
……アオ君の婚約者。私が……
カップを両手で包み込むようにしていると、隣から小さく笑う声が聞こえた。
「瑞葉、顔がまだ赤い」
「アオ君のせいでしょ……」
アオ君が嬉しそうに笑う。それを見て私と佳乃も自然と笑顔になった。
「なんだ?」
「アオ君のおうちって…御三家の清瀧家……」
「ああ、そうだよ。知ってただろ?」
「婚約ってことは、いずれ結婚して、清瀧家に嫁入りするのよね?」
「うん。そうしてもらえるとうれしい。もしかして……光矢君がいるから、その可能性は考えてなかったけど、瑞葉は水無瀬家の当主になりたいのか?そしたら、俺は婿に行くから大丈夫だ。うちは、親戚から養子に迎えればいいから。なんにも心配はいらない」
アオ君がとんでもないことを言い出した。いやいや、清瀧家の嫡男が上中位に婿入りなんて!何を言ってるの?!
「違うの!!!当主になりたいなんて考えてない。そうじゃなくて……私に御三家の嫁が務まるか急に不安になってきて」
言いながら、自分でも情けない声になっていくのが分かった。
「なんだ。そんなことか」
アオ君は少し笑って、優しく首を振った。
「気にしなくていいって言いたいけど、瑞葉は気にするよな。本当は、全部俺がやるから当主夫人の仕事なんてしなくていい、って言ってあげたい。でも……それじゃ瑞葉は納得しないんだろ?」
「もちろん!当主夫人の仕事をアオ君に押し付けるようなことは絶対しないわ」
「瑞葉はまだ八歳だ。もう少し大きくなったらうちの教育を受けてもらうと思う。そこで、やっぱり難しいとなったら、相談してくれ。そのとき二人で考えよう」
そうだ。今の私はまだ八歳だ。当主夫人としての教育もこれからだ。何を不安がっているのだ。一度死んで戻ってきたんだもの。全力で頑張ろう。それで出来ないのなら、その時だ。
何より自信が無いからと言ってアオ君の婚約者を辞退したくない。
「ありがとう。私、頑張るね」
「うん、俺も協力するから二人で頑張ろう。というわけで婚約者さん。これからよろしく」
アオ君が手を出してきた。
私も、そっと手を出し握手をし「よろしくお願いします」と言った。
するとコホンと近くで咳払いがする。そちらを見ると佳乃がいた。
「お二人とも、ここは寒いです。とりあえず、食堂へ入って暖かい飲み物でも頼みましょう」
にこにこしながら、食堂へ促す。
「佳乃、聞いていたの?」
「は、はい……。お二人の姿が見えたので声をかけようとしたところ、つい……耳に入ってしまいまして」
聞かれていたのか……今更ながら恥ずかしくなってきた。顔が赤くなっているのが自分でもわかる。
「そうか。説明の手間が省けてちょうどいい。瑞葉からは承諾の返事をもらった。うちから正式に申込みは行くが、当主夫妻に前もって伝えておいてほしい」
「かしこまりました。さあ、行きましょう」
佳乃に促され、私とアオ君は神殿併設の食堂に向かった。
扉を押して中に入ると、ふわりと暖気が頬を撫でる。
席に腰を下ろし、温かいハーブティーを頼むと、胸の奥にじんわりとした実感が広がってきた。
……アオ君の婚約者。私が……
カップを両手で包み込むようにしていると、隣から小さく笑う声が聞こえた。
「瑞葉、顔がまだ赤い」
「アオ君のせいでしょ……」
アオ君が嬉しそうに笑う。それを見て私と佳乃も自然と笑顔になった。
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