神守の少女、二度目の人生は好きに生きます〜因縁相手は勝手に自滅〜

雪水砂糖

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92 婚約2

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 食堂にて、三人で温かい飲み物を囲んで話していると、表の方からドタバタと賑やかな足音が近づいてきた。

「戻りましたよ~。あっ、みんな何か飲んでる。俺も飲もうっと」
 と、祥太朗さんがのほほんと戻ってくる。

 だが、椅子に座ろうとする祥太朗さんの腕を、アオ君が素早くつかんだ。
「祥太朗、そんな時間はない!帰るぞ! 父上と母上に、すぐに報告しなければ!」

「ええ!ちょっと休憩させてくださいよ~!」
 と叫びながらも、抵抗虚しくアオ君に引きずられていく。

 その姿を見送りながら、私は苦笑した。

「碧人様、ずいぶんはりきっておられますね。……おめでとうございます」
 隣で見ていた佳乃が、穏やかに微笑んで言った。

「うん……ありがとう。……佳乃はどう思う?」

 私の問いに、佳乃は一瞬だけ真面目な顔をして、すぐに柔らかな表情に戻った。

「僭越ながら、私は小さな頃から瑞葉様にお仕えしてまいりましたので……瑞葉様の婚約者となられる方については、どうしても厳しく見てしまうものです。しかし――」

 そこで言葉を区切り、いつになく早口で続ける。
「碧人様なら大賛成です。もちろん、水無瀬家と釣り合う家格であることは大前提ですが、それだけではございません。碧人様は人柄がすばらしい。瑞葉様のピンチには迷わず駆けつけ、そして何より……瑞葉様のことを、心の底から大切にしているのが、あのお姿から強く伝わってきます。これこそが一番重要なことです」

 佳乃の言葉が胸の奥にしみこんでいく。
「……ありがとう。もしかして、佳乃は、アオ君の気持ち…わかってた?」

「ええ。なんとなく、ですが」
 とくすりと笑う佳乃。

 その笑顔を見て、胸の中の不安がすっと軽くなる。

 そこへ、食堂の入り口から明るい声がした。
「ただいま~。無事送り届けてきたよ」

 叔父様と光矢が戻ってきた。

「叔父様、光矢、お疲れ様です。おじいさんとお孫さんの様子はどうでした?」

「問題ないよ。二人とも肝が据わってて、ケロッとしてた。お孫さんなんか、僕たちのこと“かっこいい”って言ってね。訓練して強くなるんだって、張り切ってたよ」

 叔父様も笑みを浮かべながら続ける。
「村長さんにまた感謝されたけど、むしろ我々の問題に巻き込んでしまったから謝ってきたよ」

「そうよね。私たちへの報復に巻き込まれた被害者ですものね……」

 光矢が私の顔をじっと見て、首をかしげた。
「姉さま、碧人様は?」

「あ、あのね。アオ君は用事があるから、先に帰ったわ」

「姉さま、赤くなってどうしたの? 告白でもされた? それとも、婚約の申込とか?」

「えぇ!なんでわかるの? 聞いてた?」

「……やっぱりね」

 光矢は肩をすくめ、そして穏やかに微笑む。
「まあ、碧人様なら僕は反対しないよ。姉さまのこと、大事にしてくれそうだし。おめでとう」

「……光矢……ありがとう」

 叔父様も目を細めた。
「瑞葉ちゃん、おめでとう。碧人様なら私も安心だよ。でも、何かあったらすぐ両親や私たちを頼りなさいね」

「はい。叔父様、ありがとう」

「じゃあ、兄さんと義姉さんに早く伝えなきゃね。帰ろうか」

 佳乃も静かに頷く。
「瑞葉様、依頼達成の報告は済んでおりますので、戻りましょう」

「佳乃、ありがとう。行きましょうか」
 そうして、四人で馬車に乗り込んだ。
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