107 / 200
第107話 優しさに包まれて
しおりを挟む
やることが急になくなったり、食堂のことが気になったりとなんとも落ち着きませんでしたが、私はどうにか睡眠をとることができました。
おかげで、夕方にはすっきりとした顔で姿を見せることができましたね。
忙しい時間でしたので、私はすぐさま補助に入りました。驚かせてしまうのは仕方ありませんが、忙しいので四の五の言っていられません。
おかげさまで、営業は無事に終わることができました。これで一安心です。
「レチェ様、大丈夫だったのですか?」
「はい、ぐっすり眠れましたので、今は完全に回復していますよ」
イリスたちの心配に、私は力こぶを作るような動作をして元気をアピールします。これにはみなさん安心してくれたようですね。
「ミサエラさん、今日は本当に助かりました」
「いえ、このくらいは当然です。それに今日は副マスターではなく、おばとして手伝させてもらいました。姪がこれだけみなさんに愛されているかと思うと、嬉しくて泣けてきますね」
「み、ミサエラさん……」
私は思わず戸惑ってしまいます。
「あの、それでですけれど、朝のパンだけは営業させてもらってもいいでしょうか。さすがに全部お休みにすると、みなさん困ってしまいますでしょうから、明日の昼の食堂とあさっての朝のパンをお休みにするということでよろしいでしょうか」
私は休んでいる間に考えていたことを伝えます。
正直言いまして、ミサエラさんは悩まれるかと思いました。ですが、思いの外すぐに結論を出していらっしゃいました。
「分かりました。今日の時点で告知が出せなかったのですから、それくらいは許可します。その代わり、明日はの朝営業の後は絶対に休息を取ること、いいですね?」
「はい、もちろんです」
ミサエラさんに強く言われて、私はつい背筋を伸ばして大きな声で返事をしてしまいます。
私の勢いのある返事に、ミサエラさんは優しく笑っています。
「それでは、私はそろそろ戻らさせて頂きますね。ギルドの仕事がありますので」
「あ、ミサエラさん、食事くらいされていかれてはいかがでしょうか。警備をして下さった冒険者の方々も食事をされていかれますし、一人分増えたくらいで何の問題もありませんから」
帰ろうとするミサエラさんを、私は呼び止めます。それに、ギルドに戻られるのでしたら、冒険者の方々と一緒の方が、近いとはいえ安心できますからね。
ここは治安がいいとはいえ、何が起こるか分かりませんもの。
私の真剣な表情を見て折れたのか、ミサエラさんは誘いに乗ってくれました。
みなさんで楽しく夕食を食べますと、ミサエラさんは冒険者の方々と一緒に商業ギルドに戻っていかれました。
食事の後は片付けです。
みなさんに片付けをして頂いてもらっている間に、私は外に貼り紙をしておきます。
もちろん、今後の営業についてですよ。翌日は朝のパンのみ、あさっては昼からの食堂のみときちんと記載しておきます。
あとは、七日目のお休みをどうするかですね、ここで臨時休業を入れるならば、後ろに一日ずつずらすべきでしょうか。ここもミサエラさんと明日にでも話し合うことにしましょうか、発注ついでですけれど。
そんなこんなでこの三日目も、ちょっとトラブルはありましたが、無事に営業を終えることができました。
翌朝、三日目のパンの販売を迎えましたが、ちょっと外が騒がしいですね。
「ちょっと私、見てきますね」
「お気を付けて、レチェ様」
パンの製造をイリスたちに任せて、私は門で警備に当たっているギルバートのところへ行きます。
「どうかされまし……」
私がギルバートに問いかけるようとすると、門の外から声をかけられました。
「今日の食堂の営業はお休みなのかい?」
「一体どうしたんだよ」
貼り紙に対する質問のようですね。
いろいろと正直に答えたいところですが、ここは私の体調のことは伏せておいた方がいいでしょうね。
「申し訳ございません。ここまでの三日間、みなさまのおかげでとても繁盛しておりましたが、あまりにも予想を超えていましたので食材の在庫が厳しくなってしまいました。そのため、十分量を確保するために一日お休みをいただくことにしたんです。本当に申し訳ございません」
謝罪が大事ですから、二度口にします。私は深々と頭を下げました。
私の謝罪を受けて、集まったお客様たちが困惑しています。
「そ、そうか。それなら仕方がないな。材料は無限じゃないもんな」
「ましてや今は確保のしにくい時期だししょうがないな」
お客様たちは納得して下さいました。
「でも、体は大丈夫なのかい?」
「ほへ?」
「そうだな。俺たちの間を回ってた女性たち、なんだか顔色が悪い気がしたからよ。もしかして、本当の理由はそっちじゃないのかい?」
わわっと、察されてしまいましたか。
ギルバートにも心配そうな顔をされてしまいましたし、正直に話した方がいいみたいですね。
「はい、実は体調の問題が出てきまして。食材の話も本当なのですが、このまま無理をして倒れてしまえば、結局みなさんにご迷惑をかけてしまいます。ですので、今回のお休みに至ったのです。申し訳ございません」
「いや、それならそうといってくれよ」
「俺たちも応援に力が入りすぎて、ちょっと一斉に押しかけすぎちまった。こうなったのは俺たちの責任でもある、気にしないで休んでくれ」
「いえいえ、そんな悪いですよ。お店である以上、みなさんの期待に副うのは当然なのですから」
私はそう言いながらも、みなさんの優しさについ泣きそうになってしまいます。
「本当にごめんなさい。自分が未熟なせいでみなさんに気を遣わせてしまって……」
私はつい泣きじゃくってしまいます。
みなさんが困っている状況で、イリスの声が聞こえてきます。
その声を聞いた私は、気持ちを引き締めてどうにか泣き止みます。
「それでは、今日のパンの販売を始めます。今日もかごはご用意してありますし、制限はお一人様十個です。どうぞお入りになって下さい」
私の気丈なふるまいに、みなさんは困惑していました。
ですが、中に入っていかれるみなさんから優しい声をかけて頂きまして、食堂を開いてよかったと思いました。
みなさんの優しさに応えられるように、私、これからも頑張ります。
おかげで、夕方にはすっきりとした顔で姿を見せることができましたね。
忙しい時間でしたので、私はすぐさま補助に入りました。驚かせてしまうのは仕方ありませんが、忙しいので四の五の言っていられません。
おかげさまで、営業は無事に終わることができました。これで一安心です。
「レチェ様、大丈夫だったのですか?」
「はい、ぐっすり眠れましたので、今は完全に回復していますよ」
イリスたちの心配に、私は力こぶを作るような動作をして元気をアピールします。これにはみなさん安心してくれたようですね。
「ミサエラさん、今日は本当に助かりました」
「いえ、このくらいは当然です。それに今日は副マスターではなく、おばとして手伝させてもらいました。姪がこれだけみなさんに愛されているかと思うと、嬉しくて泣けてきますね」
「み、ミサエラさん……」
私は思わず戸惑ってしまいます。
「あの、それでですけれど、朝のパンだけは営業させてもらってもいいでしょうか。さすがに全部お休みにすると、みなさん困ってしまいますでしょうから、明日の昼の食堂とあさっての朝のパンをお休みにするということでよろしいでしょうか」
私は休んでいる間に考えていたことを伝えます。
正直言いまして、ミサエラさんは悩まれるかと思いました。ですが、思いの外すぐに結論を出していらっしゃいました。
「分かりました。今日の時点で告知が出せなかったのですから、それくらいは許可します。その代わり、明日はの朝営業の後は絶対に休息を取ること、いいですね?」
「はい、もちろんです」
ミサエラさんに強く言われて、私はつい背筋を伸ばして大きな声で返事をしてしまいます。
私の勢いのある返事に、ミサエラさんは優しく笑っています。
「それでは、私はそろそろ戻らさせて頂きますね。ギルドの仕事がありますので」
「あ、ミサエラさん、食事くらいされていかれてはいかがでしょうか。警備をして下さった冒険者の方々も食事をされていかれますし、一人分増えたくらいで何の問題もありませんから」
帰ろうとするミサエラさんを、私は呼び止めます。それに、ギルドに戻られるのでしたら、冒険者の方々と一緒の方が、近いとはいえ安心できますからね。
ここは治安がいいとはいえ、何が起こるか分かりませんもの。
私の真剣な表情を見て折れたのか、ミサエラさんは誘いに乗ってくれました。
みなさんで楽しく夕食を食べますと、ミサエラさんは冒険者の方々と一緒に商業ギルドに戻っていかれました。
食事の後は片付けです。
みなさんに片付けをして頂いてもらっている間に、私は外に貼り紙をしておきます。
もちろん、今後の営業についてですよ。翌日は朝のパンのみ、あさっては昼からの食堂のみときちんと記載しておきます。
あとは、七日目のお休みをどうするかですね、ここで臨時休業を入れるならば、後ろに一日ずつずらすべきでしょうか。ここもミサエラさんと明日にでも話し合うことにしましょうか、発注ついでですけれど。
そんなこんなでこの三日目も、ちょっとトラブルはありましたが、無事に営業を終えることができました。
翌朝、三日目のパンの販売を迎えましたが、ちょっと外が騒がしいですね。
「ちょっと私、見てきますね」
「お気を付けて、レチェ様」
パンの製造をイリスたちに任せて、私は門で警備に当たっているギルバートのところへ行きます。
「どうかされまし……」
私がギルバートに問いかけるようとすると、門の外から声をかけられました。
「今日の食堂の営業はお休みなのかい?」
「一体どうしたんだよ」
貼り紙に対する質問のようですね。
いろいろと正直に答えたいところですが、ここは私の体調のことは伏せておいた方がいいでしょうね。
「申し訳ございません。ここまでの三日間、みなさまのおかげでとても繁盛しておりましたが、あまりにも予想を超えていましたので食材の在庫が厳しくなってしまいました。そのため、十分量を確保するために一日お休みをいただくことにしたんです。本当に申し訳ございません」
謝罪が大事ですから、二度口にします。私は深々と頭を下げました。
私の謝罪を受けて、集まったお客様たちが困惑しています。
「そ、そうか。それなら仕方がないな。材料は無限じゃないもんな」
「ましてや今は確保のしにくい時期だししょうがないな」
お客様たちは納得して下さいました。
「でも、体は大丈夫なのかい?」
「ほへ?」
「そうだな。俺たちの間を回ってた女性たち、なんだか顔色が悪い気がしたからよ。もしかして、本当の理由はそっちじゃないのかい?」
わわっと、察されてしまいましたか。
ギルバートにも心配そうな顔をされてしまいましたし、正直に話した方がいいみたいですね。
「はい、実は体調の問題が出てきまして。食材の話も本当なのですが、このまま無理をして倒れてしまえば、結局みなさんにご迷惑をかけてしまいます。ですので、今回のお休みに至ったのです。申し訳ございません」
「いや、それならそうといってくれよ」
「俺たちも応援に力が入りすぎて、ちょっと一斉に押しかけすぎちまった。こうなったのは俺たちの責任でもある、気にしないで休んでくれ」
「いえいえ、そんな悪いですよ。お店である以上、みなさんの期待に副うのは当然なのですから」
私はそう言いながらも、みなさんの優しさについ泣きそうになってしまいます。
「本当にごめんなさい。自分が未熟なせいでみなさんに気を遣わせてしまって……」
私はつい泣きじゃくってしまいます。
みなさんが困っている状況で、イリスの声が聞こえてきます。
その声を聞いた私は、気持ちを引き締めてどうにか泣き止みます。
「それでは、今日のパンの販売を始めます。今日もかごはご用意してありますし、制限はお一人様十個です。どうぞお入りになって下さい」
私の気丈なふるまいに、みなさんは困惑していました。
ですが、中に入っていかれるみなさんから優しい声をかけて頂きまして、食堂を開いてよかったと思いました。
みなさんの優しさに応えられるように、私、これからも頑張ります。
67
あなたにおすすめの小説
転生幼女は追放先で総愛され生活を満喫中。前世で私を虐げていた姉が異世界から召喚されたので、聖女見習いは不要のようです。
桜城恋詠
ファンタジー
聖女見習いのロルティ(6)は、五月雨瑠衣としての前世の記憶を思い出す。
異世界から召喚された聖女が、自身を虐げてきた前世の姉だと気づいたからだ。
彼女は神官に聖女は2人もいらないと教会から追放。
迷いの森に捨てられるが――そこで重傷のアンゴラウサギと生き別れた実父に出会う。
「絶対、誰にも渡さない」
「君を深く愛している」
「あなたは私の、最愛の娘よ」
公爵家の娘になった幼子は腹違いの兄と血の繋がった父と母、2匹のもふもふにたくさんの愛を注がれて暮らす。
そんな中、養父や前世の姉から命を奪われそうになって……?
命乞いをしたって、もう遅い。
あなたたちは絶対に、許さないんだから!
☆ ☆ ☆
★ベリーズカフェ(別タイトル)・小説家になろう(同タイトル)掲載した作品を加筆修正したものになります。
こちらはトゥルーエンドとなり、内容が異なります。
※9/28 誤字修正
『追放令嬢は薬草(ハーブ)に夢中 ~前世の知識でポーションを作っていたら、聖女様より崇められ、私を捨てた王太子が泣きついてきました~』
とびぃ
ファンタジー
追放悪役令嬢の薬学スローライフ ~断罪されたら、そこは未知の薬草宝庫(ランクS)でした。知識チートでポーション作ってたら、王都のパンデミックを救う羽目に~
-第二部(11章~20章)追加しました-
【あらすじ】
「貴様を追放する! 魔物の巣窟『霧深き森』で、朽ち果てるがいい!」
王太子の婚約者ソフィアは、卒業パーティーで断罪された。 しかし、その顔に絶望はなかった。なぜなら、その「断罪劇」こそが、彼女の完璧な計画だったからだ。
彼女の魂は、前世で薬学研究に没頭し過労死した、日本の研究者。 王妃の座も権力闘争も、彼女には退屈な枷でしかない。 彼女が求めたのはただ一つ——誰にも邪魔されず、未知の植物を研究できる「アトリエ」だった。
追放先『霧深き森』は「死の土地」。 だが、チート能力【植物図鑑インターフェイス】を持つソフィアにとって、そこは未知の薬草が群生する、最高の「研究フィールド(ランクS)」だった!
石造りの廃屋を「アトリエ」に改造し、ガラクタから蒸留器を自作。村人を救い、薬師様と慕われ、理想のスローライフ(研究生活)が始まる。 だが、その平穏は長く続かない。 王都では、王宮薬師長の陰謀により、聖女の奇跡すら効かないパンデミック『紫死病』が発生していた。 ソフィアが開発した『特製回復ポーション』の噂が王都に届くとき、彼女の「研究成果」を巡る、新たな戦いが幕を開ける——。
【主な登場人物】
ソフィア・フォン・クライネルト 本作の主人公。元・侯爵令嬢。魂は日本の薬学研究者。 合理的かつ冷徹な思考で、スローライフ(研究)を妨げる障害を「薬学」で排除する。未知の薬草の解析が至上の喜び。
ギルバート・ヴァイス 王宮魔術師団・研究室所属の魔術師。 ソフィアの「科学(薬学)」に魅了され、助手(兼・共同研究者)としてアトリエに入り浸る知的な理解者。
アルベルト王太子 ソフィアの元婚約者。愚かな「正義」でソフィアを追放した張本人。王都の危機に際し、薬を強奪しに来るが……。
リリア 無力な「聖女」。アルベルトに庇護されるが、本物の災厄の前では無力な「駒」。
ロイド・バルトロメウス 『天秤と剣(スケイル&ソード)商会』の会頭。ソフィアに命を救われ、彼女の「薬学」の価値を見抜くビジネスパートナー。
【読みどころ】
「悪役令嬢追放」から始まる、痛快な「ざまぁ」展開! そして、知識チートを駆使した本格的な「薬学(ものづくり)」と、理想の「アトリエ」開拓。 科学と魔法が融合し、パンデミックというシリアスな災厄に立ち向かう、読み応え抜群の薬学ファンタジーをお楽しみください。
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
悪役令嬢、休職致します
碧井 汐桜香
ファンタジー
そのキツい目つきと高飛車な言動から悪役令嬢として中傷されるサーシャ・ツンドール公爵令嬢。王太子殿下の婚約者候補として、他の婚約者候補の妨害をするように父に言われて、実行しているのも一因だろう。
しかし、ある日突然身体が動かなくなり、母のいる領地で療養することに。
作中、主人公が精神を病む描写があります。ご注意ください。
作品内に登場する医療行為や病気、治療などは創作です。作者は医療従事者ではありません。実際の症状や治療に関する判断は、必ず医師など専門家にご相談ください。
【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです
ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。
女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。
前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る!
そんな変わった公爵令嬢の物語。
アルファポリスOnly
2019/4/21 完結しました。
沢山のお気に入り、本当に感謝します。
7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。
2021年9月。
ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。
10月、再び完結に戻します。
御声援御愛読ありがとうございました。
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく
転生してきた令嬢、婚約破棄されたけど、冷酷だった世界が私にだけ優しすぎる話
タマ マコト
ファンタジー
前世の記憶を持って貴族令嬢として生きるセレフィーナは、感情を見せない“冷たい令嬢”として王都で誤解されていた。
王太子クラウスとの婚約も役割として受け入れていたが、舞踏会の夜、正義を掲げたクラウスの婚約破棄宣言によって彼女は一方的に切り捨てられる。
王都のクラウスに対する拍手と聖女マリアへの祝福に包まれる中、何も求めなかった彼女の沈黙が、王都という冷酷な世界の歪みを静かに揺らし始め、追放先の辺境での運命が動き出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる