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第147話 無事に終わりました?
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精霊王様の話で、なんとなく納得がいきました。なぜワイルズが物語の主人公かということが。
そうですね。魔王を倒した人物の子孫であるなら、十分主人公の素質があります。
あと、気になることがあるんですが、ワイルズはずっと私のことを見ていませんかね。気のせいならいいのですが、ずっと見られているのは困ります。
「ワイルズ」
「なんだよ、殿下」
アンドリュー殿下とアマリス様が気付かれまして、それぞれ動きます。
どういうことかと申しますと、アンドリュー殿下はワイルズに声をかけ、アマリス様は私の前にかぶさるように移動してきました。
「あまり女性をじろじろと見るものではないぞ」
「なんでだよ。見て、何か問題でもあるのか?」
アンドリュー殿下の言葉に、ワイルズがなぜか怒ってますね。彼は平民ですから、貴族のマナーのようなものは知らないのでしょうね。学園で二年も過ごしてくれば、誰かから指摘されててもいいとは思うのですけれどね。
ところが、黙って怒るような表情をするだけで、アンドリュー殿下は何も仰りません。
……それって、まだ私に未練があるとでも仰りたいんですかね。困りますね、婚約者は妹のルーチェに変わりましたのに。
アンドリュー殿下の態度には、私も困ってしまいます。
「ちぇっ、せっかくよさそうな女性を見つけたと思ったのにな」
……何を言ってるんですかね、この殿方は。
「やめておけ。平民のように振る舞ってはいるが、レイチェルは公爵令嬢だ。お前とは身分が違い過ぎる。結婚を考えているのなら、せめて伯爵位まで上り詰めてみろ」
「けっ、貴族様は身分身分うるさいもんだな」
ワイルズが悪態をついていますね。これって、本気で私に気があるおつもりなんでしょうかね。悪態をつかれながら言われますと、とても信じられないんですけれど。
目の前で繰り広げられる光景に、カリナさんたち親子とウィルくんが困惑しています。
「まったく、ワイルズ様。あまりそのようなわがままを見せるものではありませんよ。ここには幼い子たちもいらっしゃるのですよ?」
仕方ありませんので、私がワイルズに注意を入れます。
ワイルズはウィルくんたちをじろじろと見回して、ようやくおとなしくなりました。そうですよ、平民の子どもたちの見本になって頂きませんとね。
そんな中ですが、魔王の器と名指しをされたウィルくんのメンタルケアもしませんとね。
魔王といえば、それなりに悪い奴という伝承が広まっていますからね。その器とされたのなら、ウィルくんも相当なショックでしょう。
ワイルズが騒ぐせいで、私の対処が遅れてしまいました。これは反省ですね。
「ウィルくん、もう大丈夫ですからね。ひずみは消え去りましたし、私が不幸にはさせませんから。このレチェ商会の一員になったからには、私がきちんと守って差し上げます」
ウィルくんの肩に手を置きながら語りかけますと、ウィルくんはようやく笑顔を見せて頷いてくれました。いいですね、この笑顔。実に守りたい笑顔というものです。
その時の笑顔を見て、私はついウィルくんの頭を撫でてしまいます。
同時に後ろからぞわりとした視線を感じました。驚いてくるりと振り返りますと、なぜかアンドリュー殿下とワイルズの二人が揃って私を睨んでいるんですよ。
なんですか、嫉妬ですか。嫉妬なんですかね。本当に困りましたね、この二人には。
そんなこんなで、ようやく話が終わりました。
マサさん、カリナさん、マリナさんの三人は久しぶりの家族水入らずをさせることにしまして、私はウィルくんと一緒に精霊王様たちを見送ることにしました。
ウィルくんを送り届けることと、アマリス様の乗ってこられたラッシュバードを迎えに行くということで、一度鳥小屋の方へと移動します。
そこで改めて、私は殿下たちに声をかけます。
「アンドリュー殿下、アマリス様、お見送りはしなくても平気ですか?」
「ああ、構わないよ。宿に泊まっている護衛たちがいるからね」
「お姉様、ご心配には及びませんわ。わたくしにはラニがいますもの」
「ブェフェ!」
アマリス様の声に応えて鳴いているのはラニでした。そうですね、ピンクのスカーフですものね。
「精霊王様も見送りをせずとも大丈夫ですか?」
「無論だ。我は姿も気配も消せるゆえ、何も心配することはない。ただ、マサのやつが戻ってくるかどうかということだけが心配だな。あやつには罰として我の近辺に置くことにしたのだからな」
「あー……。確かに、あの雰囲気ですものね。ただ、サリナさんとも会わせないといけませんから、明日は農園の方に参りませんとね」
「ふむ、そうか……」
すぐさま連れ戻せないことに、ちょっと不満そうですね。精霊王様でも、そんな顔をなさるとは意外でした。
アンドリュー殿下、アマリス様、それと精霊王と挨拶をしました。問題は、この人ですね。
にこにこと笑って私をじっと見ているワイルズです。
ひずみのことを解決して以降、ずっと私のことを見ているんですよ。すっごく気持ち悪いんですけれど?
そんなわけでして、ようやく忘れていたイベント『精霊に愛されし少女』が無事に終わりました。
マリナさんにはどのような能力が芽生えたのかは、またおいおい確認することにしましょう。精霊になったとしても、マリナさんはマリナさんですからね。
こうして、アンドリュー殿下たちの姿を見送った私は、食堂へと引き上げていったのでした。
そうですね。魔王を倒した人物の子孫であるなら、十分主人公の素質があります。
あと、気になることがあるんですが、ワイルズはずっと私のことを見ていませんかね。気のせいならいいのですが、ずっと見られているのは困ります。
「ワイルズ」
「なんだよ、殿下」
アンドリュー殿下とアマリス様が気付かれまして、それぞれ動きます。
どういうことかと申しますと、アンドリュー殿下はワイルズに声をかけ、アマリス様は私の前にかぶさるように移動してきました。
「あまり女性をじろじろと見るものではないぞ」
「なんでだよ。見て、何か問題でもあるのか?」
アンドリュー殿下の言葉に、ワイルズがなぜか怒ってますね。彼は平民ですから、貴族のマナーのようなものは知らないのでしょうね。学園で二年も過ごしてくれば、誰かから指摘されててもいいとは思うのですけれどね。
ところが、黙って怒るような表情をするだけで、アンドリュー殿下は何も仰りません。
……それって、まだ私に未練があるとでも仰りたいんですかね。困りますね、婚約者は妹のルーチェに変わりましたのに。
アンドリュー殿下の態度には、私も困ってしまいます。
「ちぇっ、せっかくよさそうな女性を見つけたと思ったのにな」
……何を言ってるんですかね、この殿方は。
「やめておけ。平民のように振る舞ってはいるが、レイチェルは公爵令嬢だ。お前とは身分が違い過ぎる。結婚を考えているのなら、せめて伯爵位まで上り詰めてみろ」
「けっ、貴族様は身分身分うるさいもんだな」
ワイルズが悪態をついていますね。これって、本気で私に気があるおつもりなんでしょうかね。悪態をつかれながら言われますと、とても信じられないんですけれど。
目の前で繰り広げられる光景に、カリナさんたち親子とウィルくんが困惑しています。
「まったく、ワイルズ様。あまりそのようなわがままを見せるものではありませんよ。ここには幼い子たちもいらっしゃるのですよ?」
仕方ありませんので、私がワイルズに注意を入れます。
ワイルズはウィルくんたちをじろじろと見回して、ようやくおとなしくなりました。そうですよ、平民の子どもたちの見本になって頂きませんとね。
そんな中ですが、魔王の器と名指しをされたウィルくんのメンタルケアもしませんとね。
魔王といえば、それなりに悪い奴という伝承が広まっていますからね。その器とされたのなら、ウィルくんも相当なショックでしょう。
ワイルズが騒ぐせいで、私の対処が遅れてしまいました。これは反省ですね。
「ウィルくん、もう大丈夫ですからね。ひずみは消え去りましたし、私が不幸にはさせませんから。このレチェ商会の一員になったからには、私がきちんと守って差し上げます」
ウィルくんの肩に手を置きながら語りかけますと、ウィルくんはようやく笑顔を見せて頷いてくれました。いいですね、この笑顔。実に守りたい笑顔というものです。
その時の笑顔を見て、私はついウィルくんの頭を撫でてしまいます。
同時に後ろからぞわりとした視線を感じました。驚いてくるりと振り返りますと、なぜかアンドリュー殿下とワイルズの二人が揃って私を睨んでいるんですよ。
なんですか、嫉妬ですか。嫉妬なんですかね。本当に困りましたね、この二人には。
そんなこんなで、ようやく話が終わりました。
マサさん、カリナさん、マリナさんの三人は久しぶりの家族水入らずをさせることにしまして、私はウィルくんと一緒に精霊王様たちを見送ることにしました。
ウィルくんを送り届けることと、アマリス様の乗ってこられたラッシュバードを迎えに行くということで、一度鳥小屋の方へと移動します。
そこで改めて、私は殿下たちに声をかけます。
「アンドリュー殿下、アマリス様、お見送りはしなくても平気ですか?」
「ああ、構わないよ。宿に泊まっている護衛たちがいるからね」
「お姉様、ご心配には及びませんわ。わたくしにはラニがいますもの」
「ブェフェ!」
アマリス様の声に応えて鳴いているのはラニでした。そうですね、ピンクのスカーフですものね。
「精霊王様も見送りをせずとも大丈夫ですか?」
「無論だ。我は姿も気配も消せるゆえ、何も心配することはない。ただ、マサのやつが戻ってくるかどうかということだけが心配だな。あやつには罰として我の近辺に置くことにしたのだからな」
「あー……。確かに、あの雰囲気ですものね。ただ、サリナさんとも会わせないといけませんから、明日は農園の方に参りませんとね」
「ふむ、そうか……」
すぐさま連れ戻せないことに、ちょっと不満そうですね。精霊王様でも、そんな顔をなさるとは意外でした。
アンドリュー殿下、アマリス様、それと精霊王と挨拶をしました。問題は、この人ですね。
にこにこと笑って私をじっと見ているワイルズです。
ひずみのことを解決して以降、ずっと私のことを見ているんですよ。すっごく気持ち悪いんですけれど?
そんなわけでして、ようやく忘れていたイベント『精霊に愛されし少女』が無事に終わりました。
マリナさんにはどのような能力が芽生えたのかは、またおいおい確認することにしましょう。精霊になったとしても、マリナさんはマリナさんですからね。
こうして、アンドリュー殿下たちの姿を見送った私は、食堂へと引き上げていったのでした。
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