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第151話 夏を待ち焦がれて
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時期的に学園が夏休みに入る頃、私の手元に手紙が届きました。
はい、予想通りアマリス様からの手紙です。
手紙には、ルーチェと一緒に遊びに来るということが書かれていました。本当に予想通りの行動で困りますね。
「どうなさったのですか、レチェ様」
手紙を見ながらため息をつく私のところに、イリスがやって来ました。
「いえ、アマリス様が夏休みにこちらに来られると仰られているのですよ」
「まあ、今年もですか?」
イリスは驚いていますね。
なにせ、去年もアマリス様はルーチェを連れて、私たちのところにやって来ましたからね。
「イリス、こちらのことは私に任せて下さい。その代わり、お店のことは頼みますよ」
「はい、レチェ様」
私と話を終えて、イリスは夕方のピークのために食堂へと戻っていきます。
さて、そうなると私は二人がやって来るまでにいろいろと準備をしなくてはいけません。
実は、このタイミングを利用して、私は海に行こうと考えたのです。
魚と海藻と塩を手に入れるためです。
ミサエラさんの話では、隣国の中ほどまで進めば海があるらしいですからね。前世は島国でしたから、海の幸が今さらながらに食べたいのですよ。
「さて、そうと決まれば準備をしませんと。海ならやっぱりあれが欲しいですよね」
私はどこからともなく布を引っ張り出してきます。
実は、この間商業ギルドに出向いた際に、帰りを利用して布を買ってきてたのですよ。
久しぶりに縫製魔法を使いましょうかね。
「ラ・ギア・ソー」
布は見る見るうちに形を変えていきます。
王族や貴族は肌の露出を嫌いますから、それを踏まえた形に服を変形させていきます。にしては、女性の服装って胸や背中、肩が大きく開いているものが多いのですけれどね。足の露出は嫌いますのに、よく分かりませんね。
そんなわけでして、肩や腰回りにひらひらとした装飾のついた、ワンピース型の水着ができました。ちなみに、私はセパレートですよ。さすがにビキニを着るような勇気はありませんけど。
それに、ボレロ風のラッシュガードやパレオを組み合わせれば、水着でもドレスっぽくなるでしょうね。
アマリス様の体型はこの間見ましたので、なんとかなるでしょう。問題はルーチェですが、魔法で伸縮させれば問題ないですね。
「タ・ギア・ハス」
ハスは撥水からイメージした言葉です。
これでただの布に撥水加工、というよりも生地が水を吸いにくくなる効果が付与されたはずです。
何かあってはいけませんから、すぐにでも実験をしなければなりませんね。
「ラ・ズミ・ボル」
目の前に水の球体を浮かばせます。
私はその中に、今作ったばかりの水着を放り込みます。しばらく放り込んでおいて、どの程度水がしみこむのか、取り出した後はどのくらいで乾くのかを核にしないといけません。なにせ、海であれ湖であれ、泳ぐとなれば重要なポイントですからね。
結果として、水に入れても服が透けるようなことはありませんでしたし、取り出した後は思ったよりも早く乾ききってしまいました。成功ですね。
私はほっとしますと、それらをしまい込んでおくかばんを作ります。
「ラ・ギア・ソー」
先程と同じ魔法で、買っておいた魔物の皮からかばんを作ります。
「タ・シェド・ペス」
でき上がったかばんに、空間魔法を付与します。
皮肉ですよね。私が魔法学園に落ちる原因となった付与魔法が、今こうやって大活躍しているんですからね。
どのくらいの容量が付与されたのか、鑑定魔法で確認してみましょう。
『高級魔法かばん:容量、馬車一台分』
ええ、思いっきり吹きましたね。
なんということでしょうか。先日作ったかばんよりも容量が増えているのですが。
うーん、このままいきますと馬車数台分が、この程度の小さなかばんひとつの中に入ってしまいますよ。馬車の荷台そのものが入ってしまいかねませんね。
イリスにだけはこっそり教えておきましょうか。黙っていると後であれこれ言われそうですからね。
アマリス様やルーチェ、あとミサエラさんにもお教えしておきましょう。アンドリュー殿下やお父様は……、やめておきましょうね。大騒ぎになりそうな気がします。
ですが、これだけの入るかばんがあれば、大量に仕入れても持って帰ってこれそうですし、移動に使うラッシュバードたちにも負担をかけずに済みますね。
……もう一つくらい作っておきましょうか。
私はどのくらいの仕入れになるのか想像がつきませんでしたので、全部で三つの魔法かばんをこしらえておきました。皮が余ったせいで、もう一つじゃなくてもう二つになってしまいましたよ。
「これでよしっと」
私は作ったばかりの魔法かばんに、余りそうなワインビネガーや作ったばかりの水着や着替えなどを放り込んでおきます。
こうなれば、あとはアマリス様とルーチェが食堂にやって来るのを待つばかりです。アマリス様がここをご存じですから、絶対こっちに来られます。だって、私のことをお姉様と慕っているのですからね。私がいないところにやって来ません。これは間違いないです。
しっかりと準備ができましたので、私は静かにその時を待ちます。
さて、今年の夏はどういった感じになるのでしょうかね。
はい、予想通りアマリス様からの手紙です。
手紙には、ルーチェと一緒に遊びに来るということが書かれていました。本当に予想通りの行動で困りますね。
「どうなさったのですか、レチェ様」
手紙を見ながらため息をつく私のところに、イリスがやって来ました。
「いえ、アマリス様が夏休みにこちらに来られると仰られているのですよ」
「まあ、今年もですか?」
イリスは驚いていますね。
なにせ、去年もアマリス様はルーチェを連れて、私たちのところにやって来ましたからね。
「イリス、こちらのことは私に任せて下さい。その代わり、お店のことは頼みますよ」
「はい、レチェ様」
私と話を終えて、イリスは夕方のピークのために食堂へと戻っていきます。
さて、そうなると私は二人がやって来るまでにいろいろと準備をしなくてはいけません。
実は、このタイミングを利用して、私は海に行こうと考えたのです。
魚と海藻と塩を手に入れるためです。
ミサエラさんの話では、隣国の中ほどまで進めば海があるらしいですからね。前世は島国でしたから、海の幸が今さらながらに食べたいのですよ。
「さて、そうと決まれば準備をしませんと。海ならやっぱりあれが欲しいですよね」
私はどこからともなく布を引っ張り出してきます。
実は、この間商業ギルドに出向いた際に、帰りを利用して布を買ってきてたのですよ。
久しぶりに縫製魔法を使いましょうかね。
「ラ・ギア・ソー」
布は見る見るうちに形を変えていきます。
王族や貴族は肌の露出を嫌いますから、それを踏まえた形に服を変形させていきます。にしては、女性の服装って胸や背中、肩が大きく開いているものが多いのですけれどね。足の露出は嫌いますのに、よく分かりませんね。
そんなわけでして、肩や腰回りにひらひらとした装飾のついた、ワンピース型の水着ができました。ちなみに、私はセパレートですよ。さすがにビキニを着るような勇気はありませんけど。
それに、ボレロ風のラッシュガードやパレオを組み合わせれば、水着でもドレスっぽくなるでしょうね。
アマリス様の体型はこの間見ましたので、なんとかなるでしょう。問題はルーチェですが、魔法で伸縮させれば問題ないですね。
「タ・ギア・ハス」
ハスは撥水からイメージした言葉です。
これでただの布に撥水加工、というよりも生地が水を吸いにくくなる効果が付与されたはずです。
何かあってはいけませんから、すぐにでも実験をしなければなりませんね。
「ラ・ズミ・ボル」
目の前に水の球体を浮かばせます。
私はその中に、今作ったばかりの水着を放り込みます。しばらく放り込んでおいて、どの程度水がしみこむのか、取り出した後はどのくらいで乾くのかを核にしないといけません。なにせ、海であれ湖であれ、泳ぐとなれば重要なポイントですからね。
結果として、水に入れても服が透けるようなことはありませんでしたし、取り出した後は思ったよりも早く乾ききってしまいました。成功ですね。
私はほっとしますと、それらをしまい込んでおくかばんを作ります。
「ラ・ギア・ソー」
先程と同じ魔法で、買っておいた魔物の皮からかばんを作ります。
「タ・シェド・ペス」
でき上がったかばんに、空間魔法を付与します。
皮肉ですよね。私が魔法学園に落ちる原因となった付与魔法が、今こうやって大活躍しているんですからね。
どのくらいの容量が付与されたのか、鑑定魔法で確認してみましょう。
『高級魔法かばん:容量、馬車一台分』
ええ、思いっきり吹きましたね。
なんということでしょうか。先日作ったかばんよりも容量が増えているのですが。
うーん、このままいきますと馬車数台分が、この程度の小さなかばんひとつの中に入ってしまいますよ。馬車の荷台そのものが入ってしまいかねませんね。
イリスにだけはこっそり教えておきましょうか。黙っていると後であれこれ言われそうですからね。
アマリス様やルーチェ、あとミサエラさんにもお教えしておきましょう。アンドリュー殿下やお父様は……、やめておきましょうね。大騒ぎになりそうな気がします。
ですが、これだけの入るかばんがあれば、大量に仕入れても持って帰ってこれそうですし、移動に使うラッシュバードたちにも負担をかけずに済みますね。
……もう一つくらい作っておきましょうか。
私はどのくらいの仕入れになるのか想像がつきませんでしたので、全部で三つの魔法かばんをこしらえておきました。皮が余ったせいで、もう一つじゃなくてもう二つになってしまいましたよ。
「これでよしっと」
私は作ったばかりの魔法かばんに、余りそうなワインビネガーや作ったばかりの水着や着替えなどを放り込んでおきます。
こうなれば、あとはアマリス様とルーチェが食堂にやって来るのを待つばかりです。アマリス様がここをご存じですから、絶対こっちに来られます。だって、私のことをお姉様と慕っているのですからね。私がいないところにやって来ません。これは間違いないです。
しっかりと準備ができましたので、私は静かにその時を待ちます。
さて、今年の夏はどういった感じになるのでしょうかね。
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