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第178話 やはり別のようです
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商業ギルドで取引をしてきました日の夜のこと、私は鳥小屋の方に出向いていました。
「レチェ様、どうしてこちらにおいでなさってるんですか?」
ウィルくんやジルくんに思いっきり疑問に思われています。
私は料理をしに来たと言っておきますと、二人揃って首を傾げています。
「おお、レチェ様の手料理ですか。俺も楽しみですな」
そう言って顔を見せてきましたのは、ドーンさんです。鳥小屋の護衛を頼んでいらっしゃる方で、今日も鍛錬にお汗を流していたようです。
楽しみにして頂けるのは、とても嬉しいことですね。
みなさんの期待をの視線を集めながら、私は料理を始めます。
私が取り出したのは、昆布のような海藻ですね。形を描きまして、わざわざマソルの漁師さんたちに採っていただきました。あちらの方々はあまり食べられないそうですね。
軽く蒸発の魔法で乾かしておきまして、それと同時に魚を取り出します。
「それは魚か」
「はい。ただし、隣国の港町で水揚げされた、海のお魚です」
「ああ、アムス王国に行かれてましたっけか。なるほど、そちらの魚とは久しぶりだな」
「ご存じなのですね」
「一応、冒険者だからな」
そういえばそうでしたね。
それはそうとして、なぜドーンさんも私の調理風景を見ていらっしゃるんでしょうね。
とりあえず気にしないでおきましょう。
最初に私は野菜を大きく乱切りにしておきます。続けて魚を取り出しますと、いつものように三枚におろします。
三枚におろした身を数枚集めまして、一緒に包丁でたたいていきます。
「何をしているんだ?」
「身を崩しているんです。今日作る料理は、魚をそのまま使いませんのでね」
「ふむ。よく見させてもらうぞ」
「どうぞ」
ドーンさんが興味深くじっと見つめてきます。そのせいで、なんだかちょっと恥ずかしいんですけれど。
といいますか、ウィルくんとジルくんも同じように見ているんですよ。まったく、なんでみんなして私の料理を見ているのでしょうかね。暇なのでしょうか。
魚を叩いて、ボウルの中に放り込みます。そこに香草を刻んだものと小麦粉を放り込みまして、練っていきます。
その間、ウィルくんに頼みまして、深鍋に張った水を温めてもらいます。そこに昆布を入れてもらって、だしを取ります。
そのままにしておいてお湯が沸き立ってきますと、野菜を放り込みます。
「さて、いい感じに混ざってきましたね」
手で魚をこねていた私の手は、ものすごくべたついています。貴族の令嬢ではまず見られない光景でしょうね。
水魔法と洗浄魔法を使って手をきれいにしますと、今度は土魔法でスプーンを作ります。それで魚の身をすくって、十分温まったお湯の中に落としていきます。
「レチェ様、とても手際が良いですね。貴族だったって聞いてますけど、貴族ってここまで料理できましたっけ?」
「できませんね。でも、私は勉強しましたからね」
「勉強したってできるわけはないぞ」
ウィルくんの質問に答える私ですが、冷静にドーンさん方ツッコミを入れられてしまいました。
すみませんね。私が料理ができるのは、前世の知識のせいです。
こういった鍋料理もレシピをサイトで眺めては、妄想しているような人でしたよ、ええ。
まあ、それはどうでもいい話ですね。
ぼこぼこと煮立つ鍋の中には、あくがちょこちょこと浮かんできます。それは苦みにしかなりませんから、様子を見ながらしっかりと取り除いておきます。
(はあ、いい感じですのに、調味料で味が調えられないのは残念ですね。ですが!)
ひと口分、小皿にすくって味見をしてみますが、これまた意外といい感じです。
昆布と塩、それと魚や野菜の味がいい感じですね。これといった調味料のないシンプルな味ですが、なんだか素朴でかえってよく感じられたのです。
「ドーン、戻ったわよ」
料理ができ上がった頃です。キャリーさんが戻ってこられました。ということは、ティルさんもご一緒のはずですね。
「キャリーさん、ティルさん、お帰りなさい」
料理もでき上がったことですので、私が出迎えます。
「レチェ様?!」
当然ながら、キャリーさんにものすごく驚かれてしまいました。目を丸くして指まで差されてしまいましたよ。そんなにおかしな話ですかね。
「今日はちょっと新しい料理の試作をしましたので、どうでしょうか、ご一緒に味見をして頂いても」
「そ、それは構わないけれど」
「レチェ様のお料理を私たちが最初にいただくのは、おそれ多いかと……」
二人揃って遠慮してきますね。
ですが、私がそんなことで逃すと思っているのですか。二人には先にさっぱりしてもらってから、食卓についてもらいます。
「今日の夕食は、スープですか」
ティルさんが大きな深鍋を見てそう呟きます。
「ええ。ただし、マソルの街から仕入れた海産物を使ってのスープですよ」
「海産物って、何ですか?」
ティルさんにはこう言われてしまう始末です。
そういえばそうでした。ウィズタリア王国は内陸国ですから、海を知らないんですよね。まったく困った話ですよね。ここから説明ですよ。
とはいえ、説明したところで分かってもらえるとは限りませんので、とりあえずは食べてもらいましょう。
初めて食べるものですから、ティルさんが一番警戒していましたね。目の前で調理する様子を見ていたウィルくんとジルくんは、さほど抵抗なく食べていらっしゃいました。
「これは、結構おいしいですね」
「でしょう? どうですか、食堂の料理に加えられそうですかね」
「できないことはないでしょうけれど、今の食堂に出すかといわれましたら、ちょっと迷いますね」
私の質問に、ティルさんはそう答えていました。
やはり、海産物ですと毛色が違いますでしょうかね。
「そうですか。ありがとうございます」
私は一応お礼を言っておきます。
やはり、ここは海産物を扱う二号店、それを立ち上げるしかないでしょうね。
ティルさんたちの意見を参考に、私は次なる計画を立ち上げることにしたのです。
「レチェ様、どうしてこちらにおいでなさってるんですか?」
ウィルくんやジルくんに思いっきり疑問に思われています。
私は料理をしに来たと言っておきますと、二人揃って首を傾げています。
「おお、レチェ様の手料理ですか。俺も楽しみですな」
そう言って顔を見せてきましたのは、ドーンさんです。鳥小屋の護衛を頼んでいらっしゃる方で、今日も鍛錬にお汗を流していたようです。
楽しみにして頂けるのは、とても嬉しいことですね。
みなさんの期待をの視線を集めながら、私は料理を始めます。
私が取り出したのは、昆布のような海藻ですね。形を描きまして、わざわざマソルの漁師さんたちに採っていただきました。あちらの方々はあまり食べられないそうですね。
軽く蒸発の魔法で乾かしておきまして、それと同時に魚を取り出します。
「それは魚か」
「はい。ただし、隣国の港町で水揚げされた、海のお魚です」
「ああ、アムス王国に行かれてましたっけか。なるほど、そちらの魚とは久しぶりだな」
「ご存じなのですね」
「一応、冒険者だからな」
そういえばそうでしたね。
それはそうとして、なぜドーンさんも私の調理風景を見ていらっしゃるんでしょうね。
とりあえず気にしないでおきましょう。
最初に私は野菜を大きく乱切りにしておきます。続けて魚を取り出しますと、いつものように三枚におろします。
三枚におろした身を数枚集めまして、一緒に包丁でたたいていきます。
「何をしているんだ?」
「身を崩しているんです。今日作る料理は、魚をそのまま使いませんのでね」
「ふむ。よく見させてもらうぞ」
「どうぞ」
ドーンさんが興味深くじっと見つめてきます。そのせいで、なんだかちょっと恥ずかしいんですけれど。
といいますか、ウィルくんとジルくんも同じように見ているんですよ。まったく、なんでみんなして私の料理を見ているのでしょうかね。暇なのでしょうか。
魚を叩いて、ボウルの中に放り込みます。そこに香草を刻んだものと小麦粉を放り込みまして、練っていきます。
その間、ウィルくんに頼みまして、深鍋に張った水を温めてもらいます。そこに昆布を入れてもらって、だしを取ります。
そのままにしておいてお湯が沸き立ってきますと、野菜を放り込みます。
「さて、いい感じに混ざってきましたね」
手で魚をこねていた私の手は、ものすごくべたついています。貴族の令嬢ではまず見られない光景でしょうね。
水魔法と洗浄魔法を使って手をきれいにしますと、今度は土魔法でスプーンを作ります。それで魚の身をすくって、十分温まったお湯の中に落としていきます。
「レチェ様、とても手際が良いですね。貴族だったって聞いてますけど、貴族ってここまで料理できましたっけ?」
「できませんね。でも、私は勉強しましたからね」
「勉強したってできるわけはないぞ」
ウィルくんの質問に答える私ですが、冷静にドーンさん方ツッコミを入れられてしまいました。
すみませんね。私が料理ができるのは、前世の知識のせいです。
こういった鍋料理もレシピをサイトで眺めては、妄想しているような人でしたよ、ええ。
まあ、それはどうでもいい話ですね。
ぼこぼこと煮立つ鍋の中には、あくがちょこちょこと浮かんできます。それは苦みにしかなりませんから、様子を見ながらしっかりと取り除いておきます。
(はあ、いい感じですのに、調味料で味が調えられないのは残念ですね。ですが!)
ひと口分、小皿にすくって味見をしてみますが、これまた意外といい感じです。
昆布と塩、それと魚や野菜の味がいい感じですね。これといった調味料のないシンプルな味ですが、なんだか素朴でかえってよく感じられたのです。
「ドーン、戻ったわよ」
料理ができ上がった頃です。キャリーさんが戻ってこられました。ということは、ティルさんもご一緒のはずですね。
「キャリーさん、ティルさん、お帰りなさい」
料理もでき上がったことですので、私が出迎えます。
「レチェ様?!」
当然ながら、キャリーさんにものすごく驚かれてしまいました。目を丸くして指まで差されてしまいましたよ。そんなにおかしな話ですかね。
「今日はちょっと新しい料理の試作をしましたので、どうでしょうか、ご一緒に味見をして頂いても」
「そ、それは構わないけれど」
「レチェ様のお料理を私たちが最初にいただくのは、おそれ多いかと……」
二人揃って遠慮してきますね。
ですが、私がそんなことで逃すと思っているのですか。二人には先にさっぱりしてもらってから、食卓についてもらいます。
「今日の夕食は、スープですか」
ティルさんが大きな深鍋を見てそう呟きます。
「ええ。ただし、マソルの街から仕入れた海産物を使ってのスープですよ」
「海産物って、何ですか?」
ティルさんにはこう言われてしまう始末です。
そういえばそうでした。ウィズタリア王国は内陸国ですから、海を知らないんですよね。まったく困った話ですよね。ここから説明ですよ。
とはいえ、説明したところで分かってもらえるとは限りませんので、とりあえずは食べてもらいましょう。
初めて食べるものですから、ティルさんが一番警戒していましたね。目の前で調理する様子を見ていたウィルくんとジルくんは、さほど抵抗なく食べていらっしゃいました。
「これは、結構おいしいですね」
「でしょう? どうですか、食堂の料理に加えられそうですかね」
「できないことはないでしょうけれど、今の食堂に出すかといわれましたら、ちょっと迷いますね」
私の質問に、ティルさんはそう答えていました。
やはり、海産物ですと毛色が違いますでしょうかね。
「そうですか。ありがとうございます」
私は一応お礼を言っておきます。
やはり、ここは海産物を扱う二号店、それを立ち上げるしかないでしょうね。
ティルさんたちの意見を参考に、私は次なる計画を立ち上げることにしたのです。
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